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【感想】騙されない人はいないどんでん返し(歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』)

どんでん返しがスゴイ!

この触れ込みがあったら、必ずと言っていいほど名前が挙がる小説を紹介します。

歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』です。

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。

そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。

あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。(「BOOK」データベースより)

そこまでスゴイならみんな警戒するのではないか?

騙されない人もいるでしょ?

私も読む前はこのように考えていました。

しかし、ご安心ください。

本作は、読んだ人を騙すために作られた小説です。笑

よほどのことがない限り、タネに気付くことはないでしょう。

あらすじ紹介が難しい

主人公の成瀬は、ある日、後輩の芹沢から相談を受けます。

思いを寄せる女性の親戚が詐欺被害に遭っているらしく、彼女を助けてはくれないかというものでした。

そんな折、成瀬は、駅で自殺を図ろうとしていた、麻宮さくらという女性と知り合います。

彼女も少し問題を抱えているようで、相談に乗ることになるのですが…。

彼らの背後にある大きな闇を追っかける若干ハードボイルド要素もある本作。

ただ、これ以上語ってしまうとネタバレになりかねないのでこの辺で。笑

読んでみればわかりますが、なかなかにあらすじ紹介が難しい作品でした。

また、途中まで読みづらい(盛り上がりに欠ける)シーンも続きますが、とにかく読み続けてください。

ラストは思っている以上にとんでもないことになっています。

どんでん返しはすさまじい

後半に明かされるある真実。

これによって物語の見方が一気に変わります。

衝撃度は『イニシエーション・ラブ』以上でした。

【感想】二度読み必至!世界が反転どころじゃない(乾くるみ『イニシエーション・ラブ』)

それくらいにインパクトはすさまじいです。

叙述トリックだからできるネタを思う存分に利用した本作。

大きく広がった風呂敷を一気に畳みかける様はとても美しかったです。

これは絶対に騙されない人はいないでしょう。

賛否両論がある小説

ただし、良い意見ばかりではありません。

この作品、とにかく賛否両論が激しい。

というのも、読者が勝手にミスリードを考えるようにできているのではなく、意図的に無理矢理ミスリードさせる書き方をしている節があるからです。

そのため「アンフェアだ!」という意見も多く存在しています。

ただ、冒頭にも書きましたが私の場合は、本作はどんでん返しのために作られた作品だと割り切っています。

騙されるために読んでキレイに騙されたからOKです。笑

その辺も含めて読んでもらえると楽しいかなと思います。

途中飽きそうになっても、最後まで読めば絶対に「おー!」とはなるはずです!!!