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【ネタバレ考察】道尾秀介『いけない』写真の意味と各話の真相を解説

各話の最後に掲載されている、写真を見ることで話のオチがわかる短編集。道尾秀介さんの『いけない』です。今回は本作に関してのネタバレを含む考察記事です。

各章の最後のページに挟まれた「写真」には、物語がががらりと変貌するトリックが仕掛けられていて……。2度読み確実! あまりの面白さが大反響をもたらした、道尾秀介渾身の超絶ミステリ。

今回は既に読み終えた人に向けた内容になっています。各話の写真の意味とそこから導き出される真相について考えてみました。そのため、あらすじや人物に関する情報は省略しています。

まだ読んでいない人は絶対にここから先は読まないでください!!!!!(かなりスクロールして下に続いています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一章 「弓投げの崖を見てはいけない」の答え合わせ

この章の謎については、最後に死んだのは誰なのか?という点でしょう。吉住と宮下が運転している車が何者かを轢いてしまった。それは雅也、邦夫、隅島の3人のうちの誰だったのか。

まず、写真の前までに与えられている文章の情報を整理してみましょう。

車は右側からやってきた人を撥ねてしまったということが本文内になります。車のルートは、白蝦蟇シーラインから分岐した道を南に向かっていたとあります。そして、事故が起きたのはゆかり荘の前を抜けようとしたその時。

この時点で邦夫は候補から除外されます。なぜなら、地図を見てみると、邦夫がいたゆかり荘は、車から見て左側にあるからです。邦夫が飛び出した直後に事故が起きているようなので、右側から撥ねられるのは不可能でしょう。

次に雅也ですが、彼も除外できます。彼は商店街を南に抜けてからゆかり荘のある通りに出ています。地図を確認すると、商店街を抜けてから通りに出る場合、ゆかり荘の前を過ぎていることになります。事故はゆかり荘の前で起きているので、彼が飛び出した先ではありません。

最後に隅島です。消去法では、死んだのは彼になりますが念のため確認します。隅島も、雅也と同じように商店街を南に駆け抜けていました。しかし、山車の影響で混雑していたこともあり、山車に背後を向けて路地に出たとあります。商店街の路地からゆかり荘に向かった場合、事故が起きた場所にいきついてしまいます。

以上のことから、第一章で死んだのは隅島と考えるのが自然でしょう。

第二章 「その話を聞かせてはいけない」の答え合わせ

本作については、珂を誘拐した犯人はなぜ死んだのか?というのが提示されている謎でしょう。こちらについてはまず写真の解説からしてみましょう。

写真には、インタビューを受けている背後の車の横に子どもが写っています。またよく見ると、着ている服には「H」の文字があります。この子どもは、文中で何度か「いつもHAPPYと書かれたトレーナーを着ている」と描写されている山内でしょう。

では、彼は何をしていたのか。きっと珂が誘拐される前から車の中に潜んでいたのでしょう。何をしていたのかはわかりませんが、珂が誘拐されている時、山内も車内にいたのです。

そして、珂が崖から落とされそうになっている時、山内が犯人を突き落とした。これが第二章の答えになるのではないかなと思います。

第三章 「絵の謎に気づいてはいけない」の答え合わせ

本作については何が謎なんだろうかという部分から整理が必要かもしれません。まず、最後の写真で何者かがメモに手を加えていることがわかります。こちらについては、竹梨がやっていると何となく想像がつく人も多いでしょう。

根拠としては、写真にあるボールペン。こちらはモンブランという高級ボールペンのようです。そして、作中で竹梨がモンブランのボールペンを使っていると言っている描写があります。

このことから、竹梨は中川殺しの隠蔽に関わっていることがわかります。では、竹梨はなぜこんなことをしたのか。それは彼が宗教に入信していたからです。

次になぜ水元は死んだのか。これも上からわかるように、竹梨が殺害したと考えるのが自然でしょう。水元はすべてを見抜いてしまった。しかし、竹梨自身に言うことは最後までできなかった。そして、殺されてしまったというのが真相でしょう。

終章 「街の平和を信じてはいけない」の答え合わせ

終章に関しては大きな謎はないでしょう。話を読んで手紙に行き着けばオチがわかるようになっていると思います。写真には真っ白の便箋が5枚。

本来であれば、邦夫が妻に伝えた罪の告白が書き記されているはずでした。しかし、便箋は白紙。妻が夫の告白をなかったことにしているというのがこの話のオチとして考えられるでしょう。

それ以上に、終章はタイトルが秀逸だと思います。というのも、本作は珂と山内が「この街ってなんかいいよね、平和というか」という感じの会話で締められます。ただ、よく考えてみてください。本作で罪を犯している人は、誰も捕まっていないんですよね…。

2人の青年を殺した邦夫、隅島を殺した吉住、珂のために2人を崖から突き落とした山内、宮下と中川を殺した守谷、水元を殺した竹梨。

みんなまだこの街にいます。はたしてこの街は平和だと言えるのでしょうか…?

タイトルの通り「街の平和を信じてはいけない」ですね。