森博嗣『捩れ屋敷の利鈍』を紹介します。Vシリーズの8作目です。
前作のレビューはこちら
【感想】Vシリーズ7作目!首無し死体と研究所の謎(森博嗣『六人の超音波科学者』)エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣が眠る“メビウスの帯”構造の巨大なオブジェの捩れ屋敷。密室状態の建物内部で死体が発見され、宝剣も消えた。そして発見される第二の死体。屋敷に招待されていた保呂草潤平と西之園萌絵が、事件の真相に至る。S&MシリーズとVシリーズがリンクする密室ミステリィ。(「BOOKデータベース」より)
作品自体は短め。ただ、トリックから最後のオチまで重厚な物語でした。また、シリーズを読み続けている人には嬉しい作品です!
今回もネタバレなしで紹介していきます。
屋敷で起きた殺人事件と盗難事件
メビウスの帯の構造をした捩れ屋敷。ここで2つの密室殺人が起こります。そして、同時に保管されていたエンジェル・マヌーヴァが消えてしまった。
犯人はどのように密室状態を作り出したのか。そして、盗んだエンジェル・マヌーヴァをどこに隠しているのか?
エンジェル・マヌーヴァを探していた保呂草は、この謎に立ち向かいますが…。
西之園萌絵が登場!
本作の嬉しいポイントは、S&Mシリーズの西之園萌絵が登場すること。そして、犀川先生も電話越しですが、出てきます。Vシリーズでもこうやって出番があるのは嬉しいですね…。
そして、保呂草と萌絵とのバトルがあるのも本作の見どころ。保呂草を事件の犯人として疑う萌絵。この二人のやり取りは結構楽しめました。萌絵の強気な性格はまだまだ顕在でしたね。
尚、本作では紅子があまり出てこないので、萌絵が探偵役を務めています。謎解きはこれまでと遜色なく楽しめました。
シリーズ読んでる人には嬉しい演出も
犀川と萌絵が出てくる時点でS&Mシリーズを読んでいた人には嬉しいのですが、それだけではありません。これまでのシリーズを読まずに、本作だけ読んでも楽しめないと思います。S&Mシリーズの8作目でもそうでしたね笑。
【感想】S&Mシリーズ8作目!傑作と呼ばれる所以は最後の…(森博嗣『今はもうない』)物語の後半であることがわかるのですが、かなり衝撃的な内容でした。前知識をいれずに読んでいたので、正直全然気づきませんでした。てか、Vシリーズ読んでる人はこのことを既に予想してたんですかね…?
S&Mシリーズから長編18作目にして、意外なことが起こる本作。シリーズファンは読み逃し厳禁な物語ですね。トリックよりもシリーズの流れが重要な一冊でした。
次作のレビューはこちら
【感想】Vシリーズ9作目!密室で見つかった死体は誰?(森博嗣『朽ちる散る落ちる』)