荻原浩『ちょいな人々』を紹介します。7つの短編が収録されている本作。軽めの文体なのでサクサク読める上に、風刺の効いた話ばかり。ゆっくりしたい時にオススメの作品です。
「カジュアル・フライデー」に翻弄される課長の悲喜劇を描く表題作、奇矯な発明で世の中を混乱させるおもちゃ会社の顛末「犬猫語完全翻訳機」と「正直メール」、阪神ファンが結婚の挨拶に行くと、彼女の父は巨人ファンだった…「くたばれ、タイガース」など、ブームに翻弄される人々を描くユーモア短篇集。(「BOOKデータベース」より)
今回は7つのあらすじと一言で感想をしていきます!
ちょいな人々
カジュアルフライデーという制度の導入で、金曜日はカジュアルな服装での出勤が強制された会社での話。ファッションに慣れていない中年男性たちは、頑張ってカッコ良い服装を目指していきます。
上の決定に振り回せる現場の人間をコミカルに描いた物語。最後には別の角度からの笑いもあり、終始クスっとできるようなお話でした。
ガーデンウォーズ
庭の手入れを楽しんでいる主婦と老人。隣人同士の二人はお互いに自分の庭を悪い方に手入れされていると感じていました。自分の庭を守るために、両者は工作をし始めます。
それぞれの視点から描かれる物語で、どちらもお互いを小馬鹿にしながら様々な作戦を企てます。攻防が続く中でどのようにオチがつくのかなと思っていたのですが、見事にまとまって面白かったです。
占い師の悪運
営業から占い師に転職をした男性の物語。営業時代よりも快適な生活に憧れて転職したものの、そうそう上手くいくわけがなく、全くの鳴かず飛ばずでした。しかし、あることがきっかけで男性の占いは当たると評判になるのですが…。
導入から引きこまれる話であったのですが、最後が少し「うーん」と思ってしまった話でした。つまらないわけではなかったのですが…。
いじめ電話相談室
子どもからのいじめ相談の電話を受け付けている職場での話。女性相談員の聡子は子どもに向き合って精一杯のことをしていきます。そして、子どもから指名で電話がかかってくるまでの人気になるのですが…。
個人的には一番好きな話。社会風刺、ブラックユーモアがかなり効いています。日本人の性格を嫌な見方した話で、人によっては胸糞悪くなるかもしれません。ただ、オチまで含めて素晴らしい話でした。
犬猫後完全翻訳機
犬や猫が何を話しているのかを翻訳できる機械が発明された。ペットを飼っている人からしたらビッグニュース。テストモニターたちが実際に使って見るのですが…。
めっちゃくだらない話だなというのが感想です笑。犬や猫は人間が思っているようなことは一切考えていない。自己満足に注意しましょうと同時に、知らない方が良いこともあるというような感じですね。
正直メール
前の話と微妙にリンクしているお話。犬猫翻訳機の機能を用いた携帯電話が発明されます。話言葉を感情まで読み取ってメールにしてくれるというもの。この携帯電話によって事件が…。
本音だけでのメールではとんでもないことになるという話。建前も大事なんだなというのがわかります笑。これもくだらないっちゃくだらない話でしたね。
くたばれ、タイガース
大のタイガースファンの男性と結婚をしようとしている女性。彼女の父親は大のジャイアンツファンだった。結婚の挨拶に向かうが、上手くやりきれることはできるのか?
お互いの掛け合いが軽妙だし、その節々で入る女性の感想がなかなか面白かった。犬猿の仲同士だったら、それはそれで盛り上がるんじゃないかなとも想像したりしました笑。
サクサク読めて楽しい!
軽い気持ちで読めてクスっとできるものばかり。「人間ってこうだよな」というブラックジョークが満載なので、疲れた時に読んでみるのも良いですね。すぐに読めるので結構オススメです!