【感想】小市民第2弾！前作よりもパワーアップした日常の謎（米澤穂信『夏季限定トロピカルパフェ事件』）

日常の謎を扱ったシリーズ作品。小市民シリーズ。

小市民を目指す、2人の高校生が描かれています。

今回は2作目『夏季限定トロピカルパフェ事件』を紹介します。

高校2年生になった2人の夏休みの物語です。

小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。

賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。

諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!

そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?

待望のシリーズ第二弾。（「BOOK」データベースより）

日常の謎は前作以上！

今回の方が日常の謎の面白さは際立っていました。

最初の「シャルロットだけはぼくのもの」。

小佐内さんの目を欺いて、シャルロットを食べようとする小鳩くんの様子が描かれています。

シャルロットは2つしかなかったように見せるためのトリック。

そして、小佐内さんを騙し通せるのか？

日常の謎というよりは、古畑任三郎のような倒叙ものですね。

これ以外にももう1つ日常の謎が用意されていますが、このオチもなかなかに面白かったです！

そして、その後の大きな事件の伏線にもなっていました…。

ラストの種明かしが見事！

本作の大きな事件とは、ずばり小佐内さんが誘拐されること。

犯人グループから身代金を要求され、危険な目に遭っている小佐内さんを小鳩くんは救えるのか？

もうこの時点で小市民にはなれてないですよね。笑

小佐内さんを助けるための推理や、そこに行きつくまでの伏線回収はさすが米澤さんでした。

日常の謎の時点からしっかりと種を蒔いていました。

そして、最後の最後に明かされるラストには感服しました。

大どんでん返しとはいかないまでも、「そんなときから、騙されていたなんて…」となりました。

納得感のあるように展開をしてくれるので、読んでいて心地よいですし、テンポが良いのでスラスラ読めます。

前作同様、小説を読み慣れていなくても読みやすい、とても良い小説です！