小説を読む頻度が多い手前、「オススメの小説って何?」と聞かれることがよくあります。
小説をよく読む人へのオススメは候補が挙がりやすいですが、普段あまり読まない人へのオススメは結構難しいです。笑
「小説は面白い」と思ってもらいたいので、以下のポイントを満たす小説を探してしまうからです。(気にしすぎかもしれませんが。笑)
・文章が読みやすい
・長すぎない
・退屈に感じるポイントが少ない
(後半の伏線回収がすごいでは遅い)
というわけで、これらを満たす初心者でも楽しめる作品を紹介します。
米澤穂信『氷菓』です。
アニメ化、実写映画化をされている本作。名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
まずは簡単なあらすじをご紹介。
いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実―。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ登場!第五回角川学園小説大賞奨励賞受賞。(「BOOK」データベースより)
Contents
古典部なのになぜ“氷菓”なのか?
この作品は連作短編集(関連のある短編が連なって1つの長編が出来上がる小説)のような作りをしています。
見出しに書きましたが、本作の大きな謎は「古典部の文集の名前がなぜ氷菓なのか?」です。
主人公の折木奉太郎を始めとする古典部のメンバーは、この大きな謎に挑みます。
小説初心者の方でも楽しめる理由は、この謎を解明する過程で起こる、小さな謎(日常の謎)です。
小説内では、ちょっとした不思議な事件が3つ起こるので、中だるみせずに楽しむことができます。
日常の謎について
すべてを語るとネタバレになるので、小さな謎の問いの部分だけ紹介したいと思います。
①古典部の部室が、いつのまにか密室になったのはなぜか? その目的は?
②学校の歴史をまとめた本が、毎週決まった時間に借りられて、返却されるのはなぜか?
③教室にあるはずの文集を、少年が「ない」と言い張るのはなぜか?
これらの謎が間に挟まるので、楽しめることはもちろんですが、小説自体のテンポもとても良いです。
特に②の推理シーンについて。古典部の会話を以下に引用します。
「本を、読む以外に使うとしたら、どう使う?」
「重ねれば、浅漬けが漬かります」
「腕につければ、盾になるね」
「何冊か積めば、枕にいいかもね」
お前らにはもう訊かない。
このような調子で地の文(会話以外の文)も続くので、心地よいリズムで読み続けることができるでしょう。
尚、古典部シリーズは現在6作品が刊行されていますよ!
【古典部シリーズ】米澤穂信『氷菓』の読む順番と全作の感想まとめ
冒頭に記した読みやすい小説の特徴。
・文章が読みやすい
・長すぎない
・退屈に感じるポイントが少ない
(後半で一気に伏線回収がすごいでは遅い)
これらを満たした、とても面白い小説が『氷菓』です。
アニメ化・実写映画化もされていますが、文字だからこそ伝わってくる印象もあります。
内容は詰まっていますが、ページ数はたった200程度しかありません。
本好きはもちろんですが、小説初心者にもぜひ活字で楽しんでもらいたいと思います。