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【感想】神様は極悪人なのか?ゆるいテンポの先にある驚愕のラスト(藤崎翔『神様の裏の顔』)

人気作家、伊坂幸太郎。

小説を読まない人でも、名前を知っている人は多いでしょう。

小気味良いテンポで進むストーリーと後半に訪れるどんでん返しの連続。

そして、個性豊かなキャラクターたち。

読む人を離さない魅力がたくさんです。

今回は、そんな伊坂幸太郎の小説が好きという人がハマりそうな作品を紹介します。

藤崎翔『神様の裏の顔』です。

神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した。

…のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。

実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか…。

坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今時ギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は!?

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作者の藤崎さんはお笑い芸人でもあるので、コメディタッチもしっかりしている本作。

スムーズに読みやすいテイストの作品です。

ただ、後半にはとんでもないことが起こるのですが…。

聖人と思いきや実は…

物語の舞台は坪井誠造のお通夜。

自己犠牲もいとわずに周囲に尽くすその姿から、坪井は神様のような人と形容される教師でした。

そんな彼を慕って、教え子はもちろん、たくさんの人が参列にやってきます。

坪井の長女で小学校教師の坪井晴美。

晴美の妹で自由奔放な次女、坪井友美。

坪井の教え子で、晴美とはクラスメイトだった斉木直光。

坪井の元同僚で厳しい体育教師だった根岸義法。

坪井家の隣に住んでいる主婦の香村広子。

坪井の教え子で、坪井が所有するアパートに住む鮎川茉希。

坪井が所有するアパートに住んでいる、売れないお笑い芸人の寺島悠。

坪井との思い出を各々思い出す面々でしたが、ちょっとしたきっかけで事態は急変。

坪井はとんでもない凶悪犯罪者だったのではないか?

という疑念が発生するのでした。

登場人物が絡む事件の背景とは?

5つの章から成り立っている本編。

章ごとに、上で紹介した登場人物の視点が切り替わって物語は進んでいきます。

実は、彼らはそれぞれ問題を抱えていました。

根岸は見た目に反してとてつもなく臆病な教師。

夫の徘徊に困っていた妻の香村広子。

しかし、これらの問題点は今ではすべて解決していました。

そして、その背景には坪井の存在があったのかもしれないとなります。

彼が人を殺して、悪要素を取り除かれていた可能性が浮上したのでした。

これらの他にも、坪井の学校の問題児が転落死した事故。

晴美を退職に追い込んだ生徒への暴行事件。

一連の出来事は坪井が働いたのではないか?という展開に。

果たして事件の真相は?

そして坪井は実は神様ではなかったのか?

伏線回収が巧妙!

キャラクターの個性が強いのと、設定がしっかりしているため、入り込みやすい作品です。

そして、会話のテンポも良いのでスラスラと読めます。

また、伏線の張り方が巧妙です。

物語が進んでいくにつれて、真実を明らかになりますが、その中にもどんでん返しの種を蒔いていました。

ラストの一気に行われるネタバラシはすごかったです。

先が気になりすぎてどんどん読み込んでいってしまいました。

ちょっと丁寧に語り過ぎかなとも感じましたが、それはそれで、絶対に読み逃しがないので良いでしょう。笑

思わず二度読みしたくなる。そして、二回目は印象がガラッと変わっていることでしょう。

これからの作品が気になる藤崎さん。

気になった人はまずはデビュー作を手に取ってみてください!