小説ならではのトリック。文字で表現できるからこその驚きが用意されています。今回はその中でも少し異質な作品を紹介します。
中村文則『去年の冬、君と別れ』です。
ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は二人の女性を殺した罪で死刑判決を受けていた。だが、動機は不可解。事件の関係者も全員どこか歪んでいる。この異様さは何なのか?それは本当に殺人だったのか?「僕」が真相に辿り着けないのは必然だった。なぜなら、この事件は実は―。話題騒然のベストセラー、遂に文庫化!(「BOOKデータベース」より)
ただの叙述トリックではなく、小説という媒体を思う存分に活用した仕掛けが施されていました…。ネタバレなしで内容を紹介していきます。
事件の真相を追い求めるライター
猟奇殺人事件の被告、木原坂雄大を取材するライターの「僕」。木原坂は二人の女性を焼き殺した罪に問われていたが、動機は不明たっだ。むしろ、本当に彼が犯人なのかも不明。
彼の周辺人物に聞き込みをするも、どこかおかしな、捉えどころのない印象でした。事件の真相は何なのか?
「僕」は追い求めて少しずつ取材を進めるのですが…。
タイトルに隠された意味
読み始める時には「何で長くて、読みづらくて、よくわからないタイトルなのかな」と思ってました。しかし、読み終わったら「なんだこの秀逸なタイトルは…」となります。笑
タイトルの意味を考えながら本書を読んでみるのも楽しいでしょう。ただ、読みながら意味がわかるということは絶対にないと思いますが…。
小説ならではの大仕掛け
本作の一番の見どころは“小説”という媒体を存分に活用した仕掛けです!ただ、このようなことを書いていますが、読み終わった直後は、ラストの意味がまったくわかりませんでした。笑
小説の冒頭から伏線は張られていて、実はその時から騙されていた。そんなこと気付けるわけありません…。
まとめ
2018年に実写映画化もされている本作。
映画もかなり楽しめる内容ではあるのですが、小説では文字ならではの大仕掛けが施されています。
一回読んだだけではよくわからない。でも、読み返してみると「おー!」となる仕掛けがされています。200ページもない、短い作品なので、ぜひ手に取って読んでほしいなと思います!