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【感想】犯人に財産を譲る!?謎の遺言状に隠された真実(新川帆立『元彼の遺言状』)

元彼の遺言状

第19回「このミステリーがすごい!大賞」で大賞を受賞した作品。新川帆立『元彼の遺言状』を紹介します。

金に目がない凄腕女性弁護士が活躍する、遺産相続ミステリー! 「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と3か月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家の主催する「犯人選考会」に参加することとなった。数百億円とも言われる財産の分け前を獲得するべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。一方、麗子は元カノの一人としても軽井沢の屋敷を譲り受けることになっていた。ところが、避暑地を訪れて手続きを行なったその晩、くだんの遺書が保管されていた金庫が盗まれ、栄治の顧問弁護士であった町弁が何者かによって殺害されてしまう――。

自分を殺した犯人に全財産を譲るという、謎の遺言状を残した元カレ。その真意とは一体なんだったのか?

犯人が財産をもらえる?

本作の主人子は弁護士の剣持麗子。お金が第一の彼女は、働いて得られる報酬に目がありません。また、男性に対しても相応のお金を求めています。

作品冒頭で、彼氏からプロポーズをされるのですが、指輪が小さいという理由で呆気なくふってしまいました。

彼女のもとに奇妙な話が舞い込みます。元カレでもある、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が遺した謎の遺言状に関するものでした。

そこには「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」とありました。病気が原因で死んだらしい彼は、本当は誰かに殺されていたのだろうか。他殺だとしても、この遺言状の真意とは何なのか?

設定が奇想天外で素晴らしい

遺言状が普通ではないというテーマ。このミス大賞ならではの、奇抜な設定で一気に引きこまれました。犯人に財産を譲るというだけで、いくつもの謎が浮かんでしまいます。

そもそも彼は他殺なのか? 他殺ならなぜ犯人に譲ると言っているのか? こんな遺言状を遺した理由は何なのか?

こうした魅力的な謎のおかげで、先が気になってどんどんページをめくってしまいました。

また、犯人を調べる途中で、遺言状が保管されていた金庫がなくなってしまったり、一緒に捜査をしていた弁護士が殺害されてしまったり、冒頭の謎だけではすまないのも本作の魅力。

最初から最後まで気になる要素をこれでもかと用意している素晴らしい作品でした。

気付いたら終わってる作品

内容だけ見ると、重めな話に見えるかもしれません。ただ、本作はわりとテンポが良くサクサク読めてしまいます。主人公が強気な女性ということもあり、ひとつひとつの言動が痛快でした。

先が気になってしまう魅力的な謎と相まって、スラスラとページが進んでしまう。そんな一冊です。(ちょっと現実的ではない描写もありますが、本質ではないかなと)

ただ、個人的には、もっと意外性のあるオチだと良かったなと思ってしまいました…。謎が魅力的なのでかなり期待値を上げてしまいました。

また、若干登場人物が多く、名前なくても良いのではという人も多々いたように思います。少し整理が大変でした。

とはいえ、一気に読み切れるくらい没頭できるミステリです。遺言状の謎が気になった方は絶対に読んでみましょう!