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【読書会レポート】第13回_小説限定の読書会(たかひでの本棚主催)

たかひでの本棚では、小説限定の読書会をおこなっています。

第13回は2025年3月1日(土)神保町にて開催いたしました。今回の参加者は9名。テーマは本屋大賞の小説です。

2025年も4月に大賞発表が待っている本屋大賞。今回は過去のノミネート作を含めて紹介し合う会でした。

読書会でご紹介いただいた小説と、読書会の雰囲気をレポートとしてお届けします!

読書会の雰囲気

1つのテーブルに集まって、まずは自己紹介。その後、順々に小説を紹介したり、話を聞いたりという流れでした。

今回は自己紹介の中で、2025年の本屋大賞予想をしてもらう件を用意してました。

1番人気は名前が多く挙がったのは、阿部暁子さんの『カフネ』朝井リョウさんの『生殖記』でした。

はたして結果がどうなるか?というのも楽しみです!

紹介いただいた小説一覧

今回は本屋大賞がテーマだったので、発表は作品のあいうえお順にしました。9作品をそれぞれ紹介します。

今回紹介された作品は9冊。それぞれ紹介します。

平野啓一郎『ある男』

2019年のノミネート作品。

かつて再婚した男性はまったくの他人だった。愛していた夫が事故で命を落としてしまう。そんな彼が、まったくの別人だったことがわかります。

平野さんの中ではわりとエンタメに寄った作品とのこと。平野啓一郎さんが三島由紀夫の要素があることを本日初めて知りました。芥川賞をとった『日蝕』は特にそうみたいです。

新しい価値観を気付かせてくれた作品だそうで、特にラストの感情がすっと入ってきたとのこと。紹介してくださった方は、ふだんは本を借りることが多いそうですが、好きだったので買ったとのことでした。

一穂ミチ『恋とか愛とかやさしさなら』

2025年のノミネート作品。

感情の機微を描くのが上手な一穂ミチさん。本作は二人の男女の視点で物語を描いています。2つの中編が収録されているそうです。

プロポーズの翌日に、婚約者が盗撮容疑で逮捕された。彼はなぜそんなことをしたのか?をわかろうと女性。事件の後に彼女たちや周囲の人間関係はどのように変化していくのかを描いた作品。

男性視点の話では、盗撮をされた女子高生が彼に声をかけるシーンがあります。このシーンの生々しさもすごいようで、印象的なシーンとして語ってくださいました。

3度目の正直として、今年の本屋大賞の受賞はあるのでしょうか!

ソン・ウォンビン『三十の反撃』

2022年の翻訳小説部門の大賞作品。

舞台は韓国。子どもが最も生まれた年に、最もよく名付けられた名前を与えられた女性の物語です。

大企業のインターン(非正規雇用の状態)になっている彼女は、平凡な毎日を過ごしていた。そんな彼女は自分と同じような人たちと法律に触れない範囲での「反撃」をするという話とのこと。

平凡の中にある安心と、本来の欲望との間にある溝やそのギャップに向けての行動しない様子がリアルに感じました。辻村深月さんが好きな方であればハマるのではないかとのことでした。

ガブリエル・セヴィン『書店主フィクリーのものがたり』

2016年の翻訳小説部門の大賞作品。続いても翻訳小説部門の大賞作品をご紹介いただきました。

島にある小さな書店の男性は、交通事故で妻を亡くしてしまう。しかも、プレミア本を何者かに盗まれてしまい、踏んだり蹴ったりの状況だった。そんな中、彼は本と一緒に2,3歳の少女を拾うことになる。

偏屈な人と思われていた男性が、子育てを経て徐々に変わっていき、島自体にも大きな明るい影響がもたらされる。

本が好きな人にはおすすめで、本は良いなと思わせてくれる作品だそうです。

金子玲介『死んだ山田と教室』

2025年のノミネート作品。

2025年の本屋大賞の中で1番面白いと思った作品として、主催の私が紹介した本です。

クラスの人気者だった山田が事故で亡くなってしまう。悲しみに暮れるクラスメイトだったが、なぜか山田は教室のスピーカーに乗り移っていた。スピーカーの山田との楽しい日々が再び訪れるが…。

前半はくだらないコメディとしてとにかく面白い。男子校のくだらなさを存分に描いていて、おバカな日常に笑えてしまいます。

しかし、徐々にシリアスな展開も増えてきて、笑ったと思えば少し胸を抉られるような展開も出てくる。そして、ミステリー要素も少しあるので、読んでいて飽きがきませんでした。

砥上裕將『線は、僕を描く』

2020年のノミネート作品。この年の大賞は凪良ゆうさんの『流浪の月』だったそうです。

大学生の青年が、書道の発表会で、偉大な先生に才能を見つけられるところから始まります。書道に通じてはいなかった彼が徐々に才能を広げていくという物語で、映画や漫画化もされています。

作者は水墨画の先生でもあるようで、表紙がご本人が描いた水墨画になっているのも印象的でした。タイトルが『線は、僕を描く』になっていることにも意味があるそう。

紹介者の方は、読み終えた後に、墨汁と半紙を買って筆をとってみたとのこと。ここまでの影響を与えられる作品はスゴイです…。

呉勝博『爆弾』

2023年のノミネート作品。

都内に爆弾があると予知をする、スズキタゴサクを名乗る男と警察の頭脳戦のようなお話。スズキタゴサクのキャラクターにイライラしてしまい、爪が皮膚に食い込まんばかりにムカついてしまうほどだそうです笑。

紹介者の方は、どんでん返しのミステリーがお好きで色々と読んでいたが、最近は色んなジャンルへの広がりもあり少し食傷気味に。そんな中でサスペンスも強く、直球のミステリーという部分も良さだったようです。

映画化に伴って、誰がスズキタゴサクをやるのか?は読了済みの方の話題になりました。

柚月裕子『盤上の向日葵』

2018年のノミネート作品。この年は2位だったそうです。(ちなみに1位は辻村深月さんの『かがみの孤城』なので相手が悪すぎます笑)

実業界から転身した異端の天才棋士・上条桂介。彼が世紀の一戦に挑もうとしていた時、埼玉県の山中で白骨死体が見つかりました。現場には将棋の駒もあり…。

1人の男が出会う人たちに影響されて、変わったり人生に変化が起こったりする物語のようです。ミステリーとしても良さそうで、お仕事小説としての面白さもあるそうです。

三浦しをん『舟を編む』

2012年の本屋大賞作品。

高円寺でやっている辞書を読む読書会で知った作品とのことです。読書会のテーマが面白いですね。

作品としては、キャラクターの個性が強いらしく、スピンオフを全員でつくれるくらいに印象的なんだそう。みんなで辞書を作るという壮大なお話を、丁寧に描いている物語で、映画化やアニメ化もされている本作。

読了済みがほとんどで、読んでいない人も映画を観ているなど、全員が作品を知っている状態でした。今度はドラマ化するそうで、キービジュアルについても少し話題になりました。(「右を説明する」のところなど)

次回の読書会情報

次回は4月26日(土)15時開始の初心者限定の読書会です。6月にはミステリー限定の読書会を開催予定です。

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