道尾秀介『カエルの小指』の感想をまとめました。本作は阿部寛さん主演で映画化されている人気作品『カラスの親指』の続編です。
詐欺を生業にしていた武沢竹男は自身の過去に大きな負い目を持っていました。前作は、これを精算するために大きなペテンを仕掛けるという話でした。
今作の舞台はそれから15年後。武沢も、現在は詐欺から足を洗っていました。嘘をつかずに生活できることに喜びを感じていた彼でしたが、再び事件が…。
謎の中学生・キョウとの出会いで、武沢は再びペテンを仕掛けることになるのです。
意外な依頼人からはじまる大事件! 『カラスの親指』から時を越え――あいつらが帰ってきた!! 詐欺師から足を洗い、実演販売員として生計をたてる武沢竹夫。真面目に働きながらも一人寂しく暮らしていた彼のもとに、謎の中学生・キョウが現れる。突如「実演販売のやり方を教えてほしい」と言い出すが、どうやら理由がありそうで……。
Contents
謎の中学生の目的は?
実演販売士として、生活をしている武沢。それを見ていたキョウは、ある事情から実演販売を習うことになります。何か裏があるというのは武沢も感じているのですが、何を目論んでいるのかはわからない。
読者にも、いくつかの情報が提示されているため、予想が立てられるようなっています。「どんな展開になるのか?」と予想をしながら読めるので、とても楽しめます。
もちろん、この目論見も一筋縄ではない、入り組んだ設計になっているので、考察の幅も広がります。まあどれほど考えても、当たらないんですけどね…。笑
ミスリードは一級品
先ほども説明の通り、考察は膨らめば膨らむんですが、どれも予想を上回る真実が明らかになります。ミスリードがとにかく上手なんです。
伏線が様々に張り巡らされているので、二転三転していく素晴らしいストーリー展開でした。とにかく驚きがとんでもないんです!
例えばキョウが実演販売を習うことにした理由。テレビに出るためだったということはすぐにわかるのですが、その先にあった本当の狙いは、最後の最後まで見抜けませんでした…。
騙されまくりの展開
予想をしてもその上を行く展開が待っている本作。騙されまくりの展開で飽きません。さすがは詐欺師を題材にした小説でした。
前作もそうですが、爽快に騙されたいという人は読んで損はない作品です。
ただ、正直『カラスの親指』の方がどんでん返しや伏線回収は鮮やかでした。
未読であれば、前作から読むことを強くオススメしますよ!