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【読書会レポート】第10回_小説限定の読書会(たかひでの本棚主催)

たかひでの本棚では、小説限定の読書会をおこなっています。

第10回は2024年9月15日(日)渋谷にて開催いたしました。今回の参加者は10名

今回はミステリー小説限定の読書会ということで、ジャンルを絞っての開催になりました。思いのほか早くお申し込みが埋まり、ミステリー人気の高さも感じました。

今回の読書会でご紹介いただいた小説と、読書会の雰囲気をレポートとしてお届けします。

読書会の雰囲気

今回も1つのテーブルに集まって、順々に話をしたり、聞いたりという流れでした。

ミステリー小説限定ということで、ネタバレは厳禁。探り探りでの紹介となりましたが、謎が提示されると面白そうと感じてしまいました。

あらすじを聞いているだけで、ワクワクする作品も多く、読みたい本がまた増えてしまいます。ミステリー小説限定にしても、自分が読んだことない作品と出会えて面白かったです。

また、初めての読書会として参加してくださった方が3名もいらっしゃって嬉しい限りでした。

紹介いただいた小説一覧

今回紹介された作品は13冊。それぞれ紹介します。

道尾秀介『ラットマン』

道尾秀介さんがお好きな方が紹介した一冊。暗さの中にある温かさが魅力の道尾秀介さん。その中でもどんでん返しがすごいお話として、『ラットマン』を紹介いただきました。

「ネズミにもおじさんにも見える騙し絵」がモチーフになっている作品(実際の絵を紹介しているブログ)で、その比喩を受けて物語が進んでいく感じがある。

宇佐見まこと『羊のように草を食み』

認知症を患っている女性の過去と現在を描いた物語で、その女性の過去に何があったのかを探っていくミステリー作品とのこと。作品の中に俳句がチラホラ出てくるらしいです。

戦争の中の話もありつつ、彼女の過去に何があったのかが徐々に明らかになっていく感じが面白い作品とのこと。

朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』

世にも奇妙な物語のような、作品が5つ入った短編集。

どれもイヤミスな雰囲気がある作品ばかりだそうです。紹介いただいた方のおすすめは、2つ目の「リア充裁判」と5つ目の「脇役バトルロワイアル」の2編。

「リア充裁判」は、リア充をアピールすることを裁判形式で求められる世界。リア充ではない場合は、罰ゲームを与えられてしまう。リア充として生きるために、姉はどんどん変貌し、最終的には被害者になってしまった。

そんな姉の姿を目の当たりにした妹が、裁判官と対峙して…という物語。

「脇役バトルロワイアル」は、脇役たちが主役の座を得るためにオーディションに奮闘するお話。脇役っぽいセリフを言うと脱落するみたいな、ちょっとクスっとできそうな感じも。

他にも読んだことがある方がいらっしゃって、5つ目の「脇役バトルロワイアル」がお気に入りだったとのこと。

プリーストリー『夜の来訪者』

戯曲の作品だそうで、会話劇を楽しむような物語とのこと。

裕福な実業家の家庭で、娘の婚約を祝う一家団らんの最中に、警部を名乗る男がやってくる。彼はある女性が自殺したことを家族に告げると、家族全員が彼女のことを知っていたとして、追及をし始めることになる。

イギリスでは何度も舞台になっており賞もとっているとのこと。どんでん返しもある作品だそうで、短く読みやすいところも含めて、とっても気になった作品でした。

夕木春央『方舟』

文庫化されて大ヒット中の作品。ミステリー好きは読んで後悔しないそんな物語です。紹介者曰く、あまりに評判が高いからハードルだけが上がっていたそうですが、ハードルを越える作品だったとのこと。

今回の参加者は読了者が半分くらいだったので、ネタバレ会話はできず。ただ、読んだ方からも読了直後の感想をもらって、「そうだよね」という話で少し盛り上がりを見せました。

米澤穂信『満願』

読みやすい短編集をということで、図書館でおすすめされた1冊だそうです。(その時は20冊も紹介されたらしく、司書さんの熱量がすごいと思いました。そんな方におすすめされたい…)

イヤミスの短編集で6つの物語が入っているのが、この『満願』という一冊。紹介者が特に印象に残っているのは「関守」というお話だそうで、年齢によって読み方が変わると感じたそうです。

アンソロジー『黒猫を飼い始めた』

一行目が「黒猫を飼い始めた」から始まる26人の作家によるアンソロジー。しっかりとしたミステリーもあれば、クスっとするようなコメディもあるようで、中身は多種多様。

紹介者が特にお好きなのは、犬飼ねこそぎさんの『スフィンクスの謎かけ』とのこと。猫好きが「フフフ」とするようなところがあるみたいで、猫好きには嬉しいらしい。また、謎解きも論理的なので面白いそうです。

青崎有吾『地雷グリコ』

頭脳戦を題材にした5つの連作短編集。みんなが知っているグリコやジャンケンにちょっとした要素を加えて、新しいゲームにしてしまうという発想が面白い。

主人公が女子高生でゲームを通じて敵?に勝っていく感じは、「賭ケグルイ」に一番近いよねという話にもなりました。

また、東大生YouTuberのQuizKnockが「実際に自由律ジャンケンをやってみた」という動画を出しており、その話でも盛り上がりました。(本は読んでないけど、この動画だけ見ていた人も)

新川帆立『女の国会』

途中まで読んでいる作品ということで、ご紹介をいただきました!

国会のマドンナが遺書を残して自殺ししてしまった。死の真相を探るべく、女性が謎解きに挑むというお話だそう。新川帆立さんの描く、戦う女の姿がお上手な点が好きとのことでした。

途中までだけど、そこまでのすべてが良くて思わずご紹介したとのことで、どんな作品なのかとても興味が湧きました。

また、新川帆立さんの執筆ペースの早さと、弁護士兼作家のような方が最近増えてきたよねというお話にもなりました。(織守きょうやさんもそうだったのは知りませんでした)

エラリー・クイーン『Xの悲劇』

パーティーの中で毒殺事件が起こる。凶器は、針を植えつけたコルク球という前代未聞の大胆な犯行で、容疑者は多数。連続殺人にも発展してしまい…。

4部作(X,Y,Z,最後の事件)の1つ目にあたる作品。有栖川有栖が解説を担当している新版が出たそうです。この中の有栖川さんの熱量がスゴイらしいです。

探偵と言えば、超人的な発想をしたり、奇抜だったりがミステリーのあるあるですが、この作品の探偵は元役者のイケおじで、理詰めのカッコいい感じだそうです。彼の名前はドルリー・レーン。国名シリーズとは別の人みたい(国名シリーズは、探偵役の名前は作者と同じエラリー・クイーン)。

紀蔚然『台北プライベートアイ』

台湾の文学作品を最近よく読んでいらっしゃるそうで、その中でもエンタメ系の作品としてご紹介いただきました。劇作家で教授をつとめていた男が、急に探偵としての仕事を始めてしまう。

探偵としてなんとかうまくいっていたものの、ある時、連続殺人に巻き込まれることになる。しかも、探偵が犯人なのでは?と疑われてしまうそうで…。

ハードボイルド小説と表紙にありますが、探偵はあまりかっこよくはないそう笑。どうやら主人公のモデルは作者自身ということで、その点も投影しているのかな。続編も出ているので、人気の高そうなお話でした。

東野圭吾『白鳥とコウモリ』

ドストエフスキーの『罪と罰』をモチーフにもしているような物語。白と黒が白鳥とコウモリを暗喩しており、誰が白で誰が黒なのかという面を描いた、どちらかというと人間ドラマが強い作品のようでした。

タイプとしては、『白夜行』や『流星の絆』に近い感じみたいです。

余談として、東野圭吾さんの作品は東京の城東地区を描いているものが多いよねという話にもなりました。今作も門前仲町あたりが描かれているみたい。

若竹七海『クール・キャンデー』

ストーカーに追われて意識不明の重体だった兄の嫁が亡くなった。時を同じくして、ストーカーも事故で亡くなった。兄がストーカーを事故死に見せかけ殺したのでは?という疑惑が。

妹は兄の無実を晴らすべく、事件の捜査に踏み切るが…。150ページくらいのサクッと読める本なのに、最後がかなり強烈。全然爽やかではない。お兄ちゃんのために頑張る妹の話と思っていたら痛い目を見る(人もいそう)な作品。

読後はかなり痛い気持ちと怖さに襲われます。

次回の読書会情報

次回は開催日未定です!

テーマはフリーもしくは、ちょっと変わった感じの内容にしようかなと思っています。2024年は多くてあと2回、最低でも1回は開催したいなと考えてます!

予定はこちらのページにて更新予定です。