『かがみの孤城』で本屋大賞を受賞している作家、辻村深月さん。
【感想】少し不思議な冒険ミステリ(辻村深月『かがみの孤城』)心優しい物語と爽快な読後感がやみつきになります。巧妙に張られている伏線。そして、最後に明かされる衝撃の真実。
長編作品が多いのですが、とても楽しめる小説ばかり。ページをめくる手が止まらず、どれも徹夜本になってしまいます。笑
その中でも、今回は特に伏線回収がスゴイ作品を紹介します。
『名前探しの放課後』です。
依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。(「BOOK」データベースより)
上下巻で800ページを超える作品ですが、面白すぎてどんどん読み進められます。
何がそんなに素晴らしい小説なのかを紹介していきます。
自殺した生徒は誰が?
主人公の依田いつかは、違和感をおぼえます。
それは、自分は過去に戻っているのではないか?という疑問でした。
いつかは、3か月後に同じ学校の生徒が自殺をしたことを記憶していました。
でもそれが誰なのかわかっていない。
クラスメイトの坂崎あすなと一緒に、自殺する人を探し出します。
二人の名前探しが始まるのでした。
相変わらずの独自設定
上で説明をした通り、設定が突飛な作品です。
デビュー作の『冷たい校舎の時は止まる』にも似た設定だなと感じました。
【感想】青春小説の最高峰!デビュー作から健在の伏線回収の巧みさ(辻村深月『冷たい校舎の時は止まる』)友人・秀人とその彼女・椿。同級生の天木。そして、アスナ。
この4人と一緒に、いつかは名前探しを開始するのですが、この流れも何となく似ている雰囲気。
過去に戻った主人公。なぜこのような現象が起こったのか?
タイムパラドクスの要素を含んだミステリ。そして、自殺した生徒を探すという推理展開。
これらがキレイにかみ合わさって、後半の伏線回収につながるのでした。
本作はラストに明かされるネタがとんでもないです!
伏線が色々なところに張り巡らされているので、騙された時の爽快感もひとしおでした。
作品間のリンクが凄まじい!
この記事のタイトルに集大成という言葉を使いました。
本作は、講談社から出版されている辻堂作品では6作目ですが、過去作とのリンクが多いです。
辻村ファンとしてはこれほど嬉しいことはないですね。
読みながら、この人が出ている!となりながら読み進められます。
『名前探しの放課後』は、このような楽しみ方もできる、素晴らしい小説なのです!
なので、本作はできるだけ後半に読むことをオススメします。
できることなら『子どもたちは夜と遊ぶ』と『ぼくのメジャースプーン』の後。
少なくとも『ぼくのメジャースプーン』の後に読んでください。
【感想】残酷な事件の結末とは?大人になり切れない大学生の物語(辻村深月『子どもたちは夜と遊ぶ』) 【感想】ただの成長物語じゃない!小説好きは絶対に読むべき1冊(辻村深月『ぼくのメジャースプーン』)そっちの方が楽しみ方は数倍にもなるはずです!!