森博嗣『恋恋蓮歩の演習』を紹介します。Vシリーズの6作目。
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【感想】Vシリーズ5作目!飛行機内で起こった密室殺人(森博嗣『魔剣天翔』)この作品、めちゃめちゃ良かったです。Vシリーズで最も好きな作品になりそう。今回もネタバレなしで魅力を紹介していきます。
世界一周中の豪華客船ヒミコ号に持ち込まれた天才画家・関根朔太の自画像を巡る陰謀。仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草と紫子、無賃乗船した紅子と練無は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。交錯する謎、ロマンティックな罠、スリリングに深まるVシリーズ長編第6作。(「BOOKデータベース」より)
Contents
豪華客船で起きた失踪事件
本作も題材は密室ものでした。豪華客船から消えた謎の男性。どうやら何者かに撃たれて海に落ちた様子なのです。犯人は何の目的でこのような事件を起こしたのか?
これまでの作品とは違い、死体がない、事件が起きたかも。みたいなレベルの本作。謎は弱いなと思っていたのですが、全然そんなことありませんでした。これまでの6作の中で一番濃い作品のように思います。
視点が珍しい作品
本作はVシリーズには珍しく、初登場キャラクターの視点でストーリーが語られるシーンが多いです。いつもは保呂草や他の主要キャラクターの視点で進んでいたので、新しい演出でした。
ただ、その分、ちょっと読みづらいというか、いつもと違うなという印象を持ってしまいました。これまでの作品よりは、ページをめくる手が鈍かったように思います。
事件も、これまでのようなセンセーションな密室殺人とは違って、人が海に落ちたかもというもの。“かも”なので、そもそも事件なの?というところから始まります。
もう1つの謎も盗難事件なので、正直これまでよりインパクトは弱いように感じます。ただ、このように思ってしまった時点で作者の思う壺だったのですが…。
前知識なしに読むべき
「面白いの?」みたいな紹介になったかもしれませんが、ご安心ください。最高の作品でした。ここまで色々と紹介してきましたが、あまり前知識はいれずに読んで欲しいです。
あらすじ読んで気になった人、Vシリーズを読み続けている人、ミステリが好きな人。何でも良いです。とりあえず読んでください。冒頭でめちゃめちゃ良かったとお伝えしましたが、読後には同じ感想を持っていると思います。
構成からストーリー展開、キャラクターのやりとり、トリック。すべてが完璧なんですよね。途中、「うーん」と思うところがあるかもしれません。私もそうでした。でも、最後まで読めば後悔しません!
本作のすごさ、ぜひ体験してほしいです!
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