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【感想】親子の絆を描いた感動作!親が5回も変わった女子高生の物語(瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』)

今回は、瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』を紹介します。2019年の本屋大賞受賞作品。父と母、娘の絆を描いた物語です。

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき―。大絶賛の本屋大賞受賞作。(「BOOKデータベース」より)

タイトルの通り、バトンが繋がれた先にあるラストシーンには思わず涙しそうになりました。ネタバレなしで紹介していきます。

苗字が3回も変わった女子高生

父が3人、母が2人もいる優子。今は3人目の父親である、森宮さんと二人で暮らしています。そして、父親の姓である“森宮”は、優子にとって4つ目の苗字です。

まず、この導入が真新し過ぎました。17年の間で、彼女が波乱万丈だったのではないかと考えざるを得ません。しかし、優子は普通の女子高生というような性格をしています。

父や母が変わることで、寂しい別れはあっても、優子が嫌な思いをすることはなかったのでした。血が繋がっていなくても、5人の両親は優子を大事にしていたのです。

全員の親から愛された優子

本作は2つの章から成り立つ物語です。

第一章は優子が高校生の時の話。高校生生活を描く現在と、それまでの過去の2つの時間軸で話が進んでいきます。

とんでもない人生だったのかなと思いきや、誰もかれもが優子を大事にしている人ばかり。仕方のない理由で、優子は血の繋がりのない森宮さんと生活することになったのでした。

そして、森宮さんも優子のことを本当の娘のように可愛がっていました。このような流れで、優子がどのような人生を描いているのかがわかるのが第一章です。

続く、第二章。ここでは高校生を卒業してから数年後。優子は結婚しようとしていました。それに対して父親である森宮さんがとった行動とは?

親子とは?血の繋がりとは?

本作は全体を通して、家族の絆や親子に関して考えさせてくれます。子どもの成長には親の愛情が大切なのだなと痛感しました。

その中でも、特に心に響いたのが第二章。そして、ラストシーンです。細かく書いてしまうとネタバレになるので避けますが、親子の絆につい、泣きそうになるほどでした。そして、タイトルになっている『そして、バトンは渡された』の意味が、想像以上に素晴らしい意味を持っていました。

全員の親から愛された優子。彼女というバトンを渡された、親たちの成長物語でもある本作。ラストシーンは、胸にぐっとくるものがあります。映画化もされる本作ですが、小説ならではの表現もあり、人間ドラマが素晴らしい一冊でした!