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【感想】S&Mシリーズ2作目!実験室で起こる殺人の真相とは?(森博嗣『冷たい密室と博士たち』)

森博嗣『冷たい密室と博士たち』を紹介します。今作は以前紹介した『すべてがFになる』の続編で、S&Mシリーズの2作目です。

【感想】タイトルに隠された意味がすごい!理系ミステリの一作目(森博嗣『すべてがFになる』)

同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。究極の森ミステリィ第2弾。(「BOOKデータベース」より)

同僚の喜多に誘われて彼の実験室を訪れた犀川(と西之園)。実験の見学だけのつもりが、その夜、密室で殺人が…。犯人は誰か?そしてトリックは?

大学の実験室で起こる殺人

前作では孤島で起こる殺人事件。いわゆるクローズドサークルが題材の作品でした。今回は密室という共通点はありますが、場所は大学の実験室

どこか日常に近しいような舞台のように感じました。実験室は氷点下20℃。シャーベット状の氷が浮くプールに船の模型が浮かんでいます。

実験があった日の夜。パーティーに姿が見えなかった研究室の生徒の2人が、実験室で死んでいるのが見つかります。2人は明らかに他殺体。現場に繋がる入口には鍵がかかっていたり、壊れていたりで、入るのは不可能だった。タイトルの通り、冷たい密室で事件が起きたのでした。

タイトルの意味は今作も健在!

今回もタイトルに意味が込められていました。こうした作品外に仕掛けをしてくれているのは、個人的には好きなんですよね…。多くを語るとネタバレになりそうなので、詳しく書くのはやめます笑。

個人的に感じた『冷たい密室と博士たち』の意味が合っているのかはわかりませんが、読後にはいいタイトルだなと思いました。誰を指しているのか?という解釈が楽しいです。

トリックも楽しい

ミステリ小説なので当たり前といえば当たり前ですが、今作でも殺人トリックの解明シーンは楽しめました。何となくの想像はできるのですが、細かい点まで整合性をとって答えるのは無理ですね。

「何の目的があっての密室だったのか?」「どのようにして作り上げたのか?」こうした点は論理的にすべてわかるようになってるので、金田一やコナン好きには嬉しい気がします。

尚、本作に限らず「動機が弱い」みたいな触れ込みが多いシリーズだそう。わからなくはないですが、重きを置いていないなら良いのではと思ってます。無理過ぎるわけでもないですし。

事件の真相を推理しながら読む。前作よりも推理小説っぽさがあって、犯人を当てに行くというのは本作が結構好みかもしれません。小説全体のインパクトは前作の方が良いですが、こちらも十分に楽しめました!

次回作のレビューはこちら。

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