驚きのラストに定評のある道尾秀介さん。
どこか不気味な世界観で語られるミステリと、その中に用意周到に張り巡らされた伏線の数々。爽快な読後感が味わえる作家さんです。
秋内、京也、ひろ子、智佳たち大学生4人の平凡な夏は、まだ幼い友・陽介の死で破られた。飼い犬に引きずられての事故。だが、現場での友人の不可解な言動に疑問を感じた秋内は動物生態学に詳しい間宮助教授に相談に行く。そして予想不可能の結末が…。青春の滑稽さ、悲しみを鮮やかに切り取った、俊英の傑作ミステリー。(「BOOKデータベース」より)
Contents
殺人犯は誰なのか?
大雨の喫茶店で向かい合う4人の男女。秋内静、友江京也、羽住智佳、巻坂ひろ子は同じ大学に通っています。
話の内容は、この中に殺人犯がいるのではないか?というもの。ある事故で死んでしまったのは陽介という少年。彼は秋内たちが通う大学の教授、椎崎鏡子の息子でした。
事故現場を目撃していた秋内。彼が目にしたのは、陽介の飼い犬・オービーが急に車道に飛び出す瞬間でした。
大人しいはずのオービーがなぜそのような行動をとったのか?
秋内とは別に現場に居合わせていた、京也、智佳、ひろ子。彼らは事件と関連しているのか?
事件は1つだけでは終わらない
本作は、喫茶店パートと事件を振り返る過去の回想が交互に語られます。
その中で、前半はオービーがとった行動の謎が中心です。誰かが事故に見せかけて、事件を仕組んだのではないか?など、様々な見解が語られます。
しかし、事件はこれだけではありません。話が進むにつれて、新しい事件が起こり、また別の謎が姿を表わします。
読んでいて飽きない展開なので、ページをめくる手が止まりませんでした。
伏線の張り方が巧妙
事件の真相が何だったのか?という物語の核心はもちろんですが、他にも驚きポイントが多すぎました。
道尾作品ならではの、どんでん返しがしっかりと用意されているので、構えていてもしっかり騙されます。笑
後半は「そういうことだったの?」というものばかりで読んでいて飽きません。しかも、謎が解明されたと思ったらそれがひっくり返されてしまう。
物語全体にも仕掛けが施されており、二転三転する展開が面白すぎました。
ちゃんと伏線が張られているので、騙された感がしっかりあるし、読者が伏線に気付かないようなミスリードもキチンと仕掛けている。
どんでん返しが好き、伏線回収がちゃんとしている作品が好きな人にはぜひ読んで欲しい小説です!