全国の書店員が「今一番売りたい本」を選ぶ・本屋大賞。
2024年2月1日に、全10作のノミネート作品が発表されました。大賞の発表は4月10日です。
2024年本屋大賞ノミネートを発表しました!
本日より二次投票スタート〜2月29日まで。https://t.co/19nkuleUCM#本屋大賞 pic.twitter.com/JiMmHJnF0g— 本屋大賞 (@hontai) February 1, 2024
2024年はミステリーよりも、メッセージがはっきりした作品や心に響かせるような作品が多い印象を受けました。また、新人作家さんも多い一方で、川上未映子さんを始めとして、中堅・ベテラン作家さんの選出も多いように感じました。
例年、本屋大賞の順位予想をしている私として、2024年もやらないわけにはいきません!
全作品を読んで順位・大賞予想をしながら、個人的なランキングも発表しようと思います。ぜひ最後までお付き合いください。
Contents
本屋大賞とは何?
本題に入る前に、簡単に本屋大賞について説明をします。
本屋大賞とは、書店員が選ぶ賞として、2004年からスタートしました。一般の文学賞とは異なり、作家や文学者が選考に入ることはない。その名の通り、本屋が選ぶ本の大賞です。
2024年では、2022年12月1日~2023年11月30日までに出版された書籍が対象となっています。
本屋大賞には2回の投票があります。
一次投票では、全国の書店員が3冊の本に投票をします。一次投票の期間は12月1日~1月8日まで。ここで選ばれた上位10作品がノミネート作品として発表されます。
二次投票ではノミネート作品をすべて読んだ上で、全作品に感想コメントを書き、ベスト3に順位をつけて投票します。投票の得点換算は1位が3点、2位が2点、3位が1.5点です。
現在は、一次投票で選出されたノミネート作品が10作品公表されている状態です。二次投票の締切が2月29日。この二次投票の集計結果により大賞作品を決定します。
2024年は4月10日に大賞とランキングが発表される予定です。
2024年本屋大賞ノミネート作品一覧とあらすじ
それでは、2024年本屋大賞のノミネート作品一覧とあらすじを紹介します。かっこ内の数字は、著者が本屋大賞にノミネートされた回数となっていますので、あわせてみてください!
『黄色い家』川上未映子(3回目)
十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。
『君が手にするはずだった黄金について』小川哲(2回目)
才能に焦がれる作家が、自身を主人公に描くのは「承認欲求のなれの果て」。
認められたくて、必死だったあいつを、お前は笑えるの? 青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家……。著者自身を彷彿とさせる「僕」が、怪しげな人物たちと遭遇する連作短篇集。彼らはどこまで嘘をついているのか? いや、噓を物語にする「僕」は、彼らと一体何が違うというのか? いま注目を集める直木賞作家が、成功と承認を渇望する人々の虚実を描く話題作!
『水車小屋のネネ』津村記久子(初)
18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉
ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――
助け合い支え合う人々の40年を描く長編小説
毎日新聞夕刊で話題となった連載小説、待望の書籍化!
『スピノザの診察室』夏川草介(3回目)
雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。三十代の後半に差し掛かった時、最愛の妹が若くしてこの世を去り、 一人残された甥の龍之介と暮らすためにその職を得たが、かつては大学病院で数々の難手術を成功させ、将来を嘱望された凄腕医師だった。 哲郎の医師としての力量に惚れ込んでいた大学准教授の花垣は、愛弟子の南茉莉を研修と称して哲郎のもとに送り込むが……。
『存在のすべてを』塩田武士(3回目)
平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。
異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。
質感なき時代に「実」を見つめる、著者渾身、圧巻の最新作。
『成瀬は天下を取りにいく』宮島未奈(初)
2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!
『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』知念実希人(5回目)
夜の学校。プールに放たれた金魚。だれが、なんのために?
4年1組の辻堂天馬・柚木陸・神山美鈴、通称「ミステリトリオ」が先生の依頼で動き出す!
「ぼくは読者に挑戦する」 名探偵・辻堂天馬の挑戦に、キミはこたえられるかーー?
『星を編む』凪良ゆう(4回目)※大賞受賞回数2回
『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語
「春に翔ぶ」–瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?
「星を編む」–才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。
「波を渡る」–花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。
『リカバリー・カバヒコ』青山美智子(4回目)
5階建ての新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。近くの日の出公園には古くから設置されているカバのアニマルライドがあり、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで”リカバリー・カバヒコ”。アドヴァンス・ヒルに住まう人々は、それぞれの悩みをカバヒコに打ち明ける。誰もが抱く小さな痛みにやさしく寄り添う、青山ワールドの真骨頂。
『レ―エンデ国物語』多崎礼(初)
異なる世界、聖イジョルニ帝国フェデル城。家に縛られてきた貴族の娘・ユリアは、英雄の父と旅に出る。呪われた地・レーエンデで出会ったのは、琥珀の瞳を持つ寡黙な射手・トリスタンだった。
空を舞う泡虫、乳白色に天へ伸びる古代樹、湖に建つ孤島城。
その数々に魅了されたユリアは、はじめての友達、はじめての仕事、はじめての恋を経て、やがてレーエンデ全土の争乱に巻き込まれていく。
本屋大賞の大賞予想&順位予想
最後に私が考える2024年の本屋大賞ランキング予想と、私の好みランキングを紹介します!
まずはランキング(順位)予想です!
■本屋大賞のランキング予想
1位:多崎礼『レ―エンデ国物語』
2位:塩田武士『存在のすべてを』
3位:津村記久子『水車小屋のネネ』
4位:川上未映子『黄色い家』
5位:夏川草介『スピノザの診察室』
6位:凪良ゆう『星を編む』
7位:青山美智子『リカバリー・カバヒコ』
8位:宮島未奈『成瀬は天下を取りに行く』
9位:知念実希人『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』
10位:小川哲『君が手にするはずだった黄金について』
本屋大賞の予想は多崎礼さんの『レ―エンデ国物語』です。前評判通りの壮大な物語で、気付けば世界観にハマってしまう。
こうした冒険ファンタジーというのは、ワクワクする面が多いため、好きな人が多くハマっている人が多いことにも納得でした。票は集まるであろうことを想像して、大賞予想としました。
2位には、塩田武士さんの『存在のすべてを』を予想しています。誘拐事件というミステリー要素のある展開でありつつも、最後には心に響くメッセージがあったり、感情を揺さぶられたりするので、色々な面で楽しめる作品でした。
3位は津村記久子さんの『水車小屋のネネ』を予想しました。わかりやすいまでの人と人との交流を描いた物語で、読後には前を向いて今を精一杯に生きようと思えること間違いなし。そんな心が温かくなる作品です。
続いて個人的な好みのランキングも紹介します!
■個人的なランキング
1位:津村記久子『水車小屋のネネ』
2位:小川哲『君が手にするはずだった黄金について』
3位:夏川草介『スピノザの診察室』
4位:塩田武士『存在のすべてを』
5位:凪良ゆう『星を編む』
6位:川上未映子『黄色い家』
7位:宮島未奈『成瀬は天下を取りに行く』
8位:青山美智子『リカバリー・カバヒコ』
9位:多崎礼『レ―エンデ国物語』
10位:知念実希人『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』
津村記久子さんの『水車小屋のネネ』が、個人的には一番好きな作品でした。
ランキング予想でも書いた通り、人々の交流が美しく描かれていて、持ちつ持たれつの関係や助け合って生きていくことの素晴らしさなど、交流の描き方が上手すぎました。40年という年月を美しく描いており、心に残る素晴らしい作品でした。
2位は小川哲さんの『君が手にするはずだった黄金について』です。哲学的な問いの多い作品で、物語を読んでいるはずなのに、哲学書を読んでいるかのような感覚にもなってしまう不思議な短編集でした。考えながら読むのが好きな私には、ドはまりの作品でした。