記事内ではアフィリエイトURLを使用しています

【森博嗣】S&Mシリーズの読む順番は?『すべてがFになる』からなる全10作のあらすじと一緒に紹介!

森博嗣さんの「S&Mシリーズ」について紹介をしていきます。『すべてがFになる』から始まる、全10冊から成るシリーズもの。理系ミステリと言われるジャンルです。

ちなみに、S&Mは主人公コンビの名前から取られています。Sは犀川創平、Mは西之園萌絵です。

今回は全作品のあらすじと読む順番を書いてみました。

S&Mシリーズとは?

本シリーズは大学教授の犀川創平、教え子の西之園萌絵のコンビが、難解な事件を解決するという構図です。

ミステリではあるものの、犯人のトリックに物理や数学チックな内容が特徴。理系要素が強い作風です。といっても、『探偵ガリレオ』のようなものではなく、解き方やアプローチが理系ぽいですね。話のところどころに、数学ネタもあり、それはそれで楽しめました。

見どころは主に3つ。1つはミステリとしての素晴らしさ。もう1つが人間ドラマ、最後がタイトルです。

ミステリと言えばトリックやどんでん返しの秀逸さが求められます。本シリーズはどれも素晴らしい内容でした。詳細は以下で書きますが、それぞれで異なる驚きを用意してくれています。

人間ドラマについては、主人公コンビについて。二人の関係やお互いを思う掛け合いなどが、作品が進むにつれて変化してきます。この描き方がとても美しく、どんどん作品の世界に引き込まれていきます。虜になる快感はぜひ味わっていただきたいですね!

最後のタイトルについて。どの作品もタイトルに込められている意味がスゴイのです。

読んだらわかりますが、思っている以上に、すべての作品で話とタイトルがリンクしています。読んだら「そういうことだったのか!」とわかるようになってます。この爽快感は他の小説ではなかなか味わえないでしょう。

それでは、S&Mシリーズを読む順番に紹介してきます。

1作目:『すべてがFになる』

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。新しい形の本格ミステリィ登場。(「BOOKデータベース」より)

シリーズの1作目。ミステリが好きな人は知っている人も多いでしょう。誰も出入りをしていないはずの密室で起こる殺人事件。

後半には『すべてがFになる』の意味が明らかになるのですが、あまりにも意外なことで椅子からひっくり返りそうになりました。トリックが大胆な上に、まさかのどんでん返しが待ち構えています。

読めばミステリとしての評価が高い理由がわかります。様々なところに伏線が張られており、謎解きシーンで一気に明らかになる。とても面白い作品でした。ミステリ好きには、衝撃的なラストを体感してほしいです!

【感想】タイトルに隠された意味がすごい!理系ミステリの一作目(森博嗣『すべてがFになる』)

2作目:『冷たい密室と博士たち』

同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人環視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが…。究極の森ミステリィ第2弾。(「BOOKデータベース」より)

大学の実験室で起こった密室殺人。逃走経路の関係から、犯人は中に入ることも逃げることもできないはずだった。しかも、被害者もどのようにして密室に入ったのかわからない状況だった。事件はどんな背景で起こったのだろうか?

『すべてがFになる』と比較すると、衝撃度は弱めの作品。ただ、トリックは結構好きでした。ミステリ小説としてはかなり楽しめました。「金田一少年の事件簿」が好きな人にはハマる作品かなと思います。

【感想】S&Mシリーズ2作目!実験室で起こる殺人の真相とは?(森博嗣『冷たい密室と博士たち』)

3作目:『笑わない数学者』

偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され…。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾。(「BOOKデータベース」より)

数学者の屋敷で起こった密室殺人。そして、消えた巨大な像。2つの謎に犀川と萌絵が挑みます。

トリック自体はそんなに難しくない作品。作者自身もそのように語っているそうです。状況の整理ができれば、犯人とトリックは検討つくのかなと思います。本作の醍醐味はその後!

本を読み終えてから、ある謎が姿を現します。その推理が楽しかったですね。タイトルの意味が全く不明でしたが、めっちゃ重要だったことに気付きます…。

mathematical-goodbye【感想】S&Mシリーズ3作目!わざと簡単なトリックって?小説外の仕掛けに感服(森博嗣『笑わない数学者』)

4作目:『詩的私的ジャック』

大学施設で女子大生が連続して殺された。現場は密室状態で死体には文字状の傷が残されていた。捜査線上に浮かんだのはロック歌手の結城稔。被害者と面識があった上、事件と彼の歌詞が似ていたのだ。N大学工学部助教授・犀川創平とお嬢様学生・西之園萌絵が、明敏な知性を駆使して事件の構造を解体する!

連続密室殺人の謎を解くという、これまでと同じような構図の作品。

ただ、本作はミステリ要素が弱いかなと思います。作品の早い段階で密室トリックが解かれ、正直、驚くようなオチがあるわけではなかったです。(「○○で言える?」良かったですが。伏字部分は読んでチェックしてください!)

どちらかというと、犀川&萌絵の関係性に重点を置いた作品でした。心理的距離と物理的距離の描き方が上手で、引きこまれていきます。ミステリを求めて読む人、S&Mシリーズを初めて読む人にはオススメできない作品です。

the-poetical-private【感想】S&Mシリーズ4作目!ミステリよりは成長物語(森博嗣『詩的私的ジャック』)

5作目:『封印再度』

50年前、日本画家・香山風采は息子・林水に家宝「天地の瓢」と「無我の匣」を残して密室の中で謎の死をとげた。不思議な言い伝えのある家宝と風采の死の秘密は、現在にいたるまで誰にも解かれていない。そして今度は、林水が死体となって発見された。2つの死と家宝の謎に人気の犀川・西之園コンビが迫る。(「BOOKデータベース」より)

家宝にまつわる謎と50年前の密室殺人。時を経て、同じような密室殺人が起こる。家宝と2つの死の謎に犀川と萌絵が挑む。シリーズで1番好きな作品です。

家宝にまつわる謎(トリック)がとても大胆なのに巧妙に仕掛けられています。そして2つの死の謎。ここにも思いがけない展開が用意されており、度肝を抜かれました。これだけでも十分に楽しめるのですが、本作はタイトルが特にスゴイ!

なぜ『封印再度』なのか。英語は「who inside」なのか。読めばこの意味がわかるのですが、『すべてがFになる』以上によくできた構成だなと思いました。

シリーズ5作目ですが、ミステリ色が強いので本作だけ読んでも問題ない作品。ミステリ好きは見逃し厳禁な一冊でした。

who-inside【感想】S&Mシリーズ5作目!遊び心満載のタイトルと大胆なトリック(森博嗣『封印再度』)

6作目:『幻惑の死と使途』

「諸君が、一度でも私の名を呼べば、どんな密室からも抜け出してみせよう」いかなる状況からも奇跡の脱出を果たす天才奇術師・有里匠幻が衆人環視のショーの最中に殺された。しかも遺体は、霊柩車から消失。これは匠幻最後の脱出か?幾重にも重なる謎に秘められた真実を犀川・西之園の理系師弟が解明する。

マジックショーという衆人環視で起こった殺人。そして、その死体が霊柩車から消えた。誰がどのように一連の事件を起こしたのか?

『封印再度』と競る面白さでした。というか謎が気になり過ぎました。どちらも明らかになれば「なるほど」となりますが、それまでは「こんなことどうやったらできるの?」となっていました笑。

また、本作は奇数の章しかありません。次作の『夏のレプリカ』と同時期の作品ということで、そちらに偶数章が書かれているのです。

もちろん、この作品だけで先ほどの謎は解明されます。むしろ一緒に『夏のレプリカ』を読むと混乱するので避けた方が良いでしょう。

ただ、『夏のレプリカ』で本作のある謎が明らかになります。大事なことではありませんでしたが、これには鳥肌が立ちました…。

illusion-acts-like-magic【感想】S&Mシリーズ6作目!マジックショーで起きた密室殺人(森博嗣『幻惑の死と使途』)

7作目:『夏のレプリカ』

那古野市の実家に帰省したT大大学院生の前に現れた仮面の誘拐者。そこには血のつながらない詩人の兄が住んでいた。誘拐が奇妙な結末を迎えたとき、詩人は外から施錠されていたはずの部屋から消え去っていた。朦朧とするような夏の日に起きた事件の裏に隠された過去とは!?事件は前作と表裏をなし進展する。(「BOOKデータベース」より)

偶数章しかない作品。萌絵の友人が巻き込まれた誘拐事件が題材です。

本作のトリックはこれまでとは一線を画するものだったように思います。もちろん本格ミステリなので、謎の提示はきちんとされていますが、これまでとは異なる手法での驚きがありました。

尚、本作では『幻惑の死と使途』のネタバレがあるので、読んでから手に取ってください。その方が驚きが大きいはずです…。

夏のレプリカ【感想】S&Mシリーズ7作目!誘拐事件と兄の失踪の謎(森博嗣『夏のレプリカ』)

8作目:『今はもうない』

避暑地にある別荘で、美人姉妹が隣り合わせた部屋で一人ずつ死体となって発見された。二つの部屋は、映写室と鑑賞室で、いずれも密室状態。遺体が発見されたときスクリーンには、まだ映画が…。おりしも嵐が襲い、電話さえ通じなくなる。S&Mシリーズナンバーワンに挙げる声も多い清冽な森ミステリィ。(「BOOKデータベース」より)

西之園の屋敷の隣で起こった密室殺人。嵐の山荘で起こった事件の真相とは?

シリーズナンバーワンの呼び声高い作品。読めば意味がわかることでしょう。

本作は萌絵が過去の事件を犀川に話すという形式で進んでいきます。なので、事件に犀川は立ち会っていないのです。そんな中でどのように解決に向かうのか?と思っていましたが、きっちりしていましたね。

尚、本作は絶対に最初に読まないでください。読んでもおそらく楽しめません。これまでシリーズを読み進めてやっと成立する話です。この点だけはお気をつけて!

【感想】S&Mシリーズ8作目!傑作と呼ばれる所以は最後の…(森博嗣『今はもうない』)

9作目:『数奇にして模型』

模型交換会会場の公会堂でモデル女性の死体が発見された。死体の首は切断されており、発見された部屋は密室状態。同じ密室内で昏倒していた大学院生・寺林高司に嫌疑がかけられたが、彼は同じ頃にM工業大で起こった女子大学院生密室殺人の容疑者でもあった。複雑に絡まった謎に犀川・西之園師弟が挑む。(「BOOKデータベース」より)

大学構内で起きた2つの密室殺人。そして、現場に居合わせた怪しさ満載の容疑者。ミステリ好きならよだれが出そうなあらすじです。

かなり複雑な状況で起きている事件のため、推理が二転三転していく様は読んでいて爽快でした。

そしてラスト。あまりにも簡単な真実だったことに驚き。「まさか、そんなことはないだろう」が現実になり、衝撃的でした。あまりにも奇抜なので、賛否両論は激しい作品。(個人的には好きですが)

【感想】S&Mシリーズ9作目!二つの密室と奇妙な死体たち(森博嗣『数奇にして模型』)

10作目:『有限と微小のパン』

日本最大のソフトメーカ「ナノクラフト」の経営するテーマパークを訪れたN大生西之園萌絵と友人たち。そこでは「シードラゴンの事件」と呼ばれる死体消失があったという。彼女らを待ち構えていたかのように事件は続発。すべてがあの天才の演出によるものなのか!?全編に漲る緊張感!最高潮森ミステリィ。 (「BOOKデータベース」より)

シリーズの完結作。800ページを超える超大作です。あまりにも有り得ない謎が次々と起こるので、長いのにどんどんページをめくってしまいます。

「何がどうしてこうなった?」が気になって仕方ありませんでした。(トリック自体はすごいけど、驚き度は過去作に比べると高くはありませんでしたが…)

犀川と真賀田博士の掛け合いや萌絵との関係。数学遊びなど、シリーズのすべてが詰め込まれた集大成でした。この作品だけ読むよりは、順番に読んで最後に手に取ることをオススメします。

【感想】S&Mシリーズ完結作!真賀田四季が仕掛けた壮大なトリック?(森博嗣『有限と微小のパン』)

読み終わったらVシリーズへ!

S&Mシリーズはこの10作品で終わりますが、次はVシリーズというものがあります。登場人物は変わりますが、犀川と萌絵が出てくる話があるそうなので、私も手に取ってみたいと思います。

【感想】奇妙な共通性の意味とは?衆人環視で起きた密室殺人(森博嗣『黒猫の三角』)