古典部シリーズでおなじみの米澤穂信さん。実は暗めのミステリ作品もたくさん発表しています。
【古典部シリーズ】米澤穂信『氷菓』の読む順番と全作の感想どの作品も大好きでオススメなのですが、今回はその中でも世間の評価が高い一冊を紹介します。
米澤穂信『満願』です。
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。(「BOOKデータベース」より)
ミステリ大賞で三冠を達成している短編集。6つのドロッとした作品が収録されています。
ここでは、私が特に好きな3篇を紹介します。
死人宿
恋人・佐和子との復縁を迫って、山奥の温泉宿を訪れた私。そこは自殺の名所として知られる・死人宿だった。私がやってきた日の夜、何者かの遺書が発見された。宿泊客3人のうち、誰かが自殺をしようとしている。佐和子に依頼された私は、自殺志願者を探そうとするが…。
お客さんの性格や行動から、誰が自殺しようとしているのかを探る主人公。ちょっとした推理小説になっているので、純粋なミステリとして楽しめる作品です。
しかし、闇を描いている作品なので一筋縄ではいきません…。最後の最後の展開にはビックリでした。
何がすごいかって、答えが最初から用意されていたことです…。意味が気になる人は是非ご一読を!
万灯
商社勤務のビジネスマン・伊丹。ガス油田開発のために東南アジアの村を訪れた。しかし、土地の買収話はうまくいかず、計画は頓挫してしまう。どうするかを考えていた伊丹だったが、そこへある手紙が届くのだが…。
仕事を全うするために動き回る主人公だったが、なかなか予定通りには事は運ばず。そんな折、追い風になるきっかけが起こります。
因果応報をうまく体現しているなと感じる作品。ちょっと長いんですが、最後まで濃厚な展開が用意されています。
始まりに書かれていた裁きとは何なのか?
ラストには似たような表現でキレイにまとまっています。
関守
ライターで生計を立てている主人公は「死を呼ぶ峠」を訪れた。そこは、4年で4件も事故が起こっている峠で都市伝説にもなっていた。記事を作るためにドライブインで出会った老婆に取材を始めるのだが…。
これはただの怖い話ですね。笑
「死を呼ぶ峠」に隠された真実が徐々に明らかになる物語。そしてタイトルの意味。ラストに向けて様々なことがわかってくるのですが、畳みかけがお見事です。
読み切ったらゾッとすること間違いなしの物語。
まとめ
今回紹介した他にも、人間の闇の一面に焦点を当てた作品ばかり。また、ミステリ三冠の作品だけあって、オチも謎もきっちりしています。
ミステリ好き、怖い話好き、ドロッとした人間ドラマ好きの方はぜひ読んでください!笑