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【感想】5つの怖い作品集!人気作家たちのリレー小説(『宮辻薬東宮』)

複数人の作家の短編集で1冊の小説を作り上げる、アンソロジー。その中でも今回は少し異質なものを取り上げてみようと思います。

宮部みゆきさん、辻村深月さん、薬丸岳さん、東山彰良さん、宮内悠介さん。この5名で作られた小説『宮辻薬東宮』です。

宮部みゆきさんの書き下ろし短編「人・で・なし」を読んだ辻村深月さんが「ママ・はは」を書き下ろし、その辻村さんの短編を読んだ薬丸岳さんが「わたし・わたし」を書き下ろし…バトンは東山彰良さん、宮内悠介さんへ。超人気作家5人のちょっぴり怖いリレーミステリーアンソロジー!(「BOOKデータベース」より)

作者は、前の作品を読んでから、新しい作品を書き下ろす。このようにしてバトンが繋がれていく物語集。ホラーテイストとテーマは決まっていますが、このような形式のアンソロジーは珍しいですね。

今回もネタバレなしで作品を紹介してみます!

宮部さんはやはりスゴイ…

まず最初の話は宮部みゆき「ひと・で・なし」です。

宝くじが当たって家を買った家族の物語。記念に撮った写真には不可解なものが写りこんでいました。そして、家では不可解な現象までも…。不気味な物語にどんどん引きこまれていくのですが、最後には衝撃的なオチがつく。

あまり宮部作品にはハマってなかったのですが、これはとても良かったですね。バトンの最初としては相当ハードルを上げる物語な気もしました。笑

テイストは作家によって様々

ちなみに私のお目当ては辻村深月さん。「ママ・はは」もなかなか素晴らしい作品でした。

厳しい親の躾で育った友人のスミちゃん。成人式で撮った1枚の写真が現実とは異なると言うのです。そこにはある奇妙な話のおまけが付いていました。

宮部さんのバトンを“写真”という共通点で繋いだ作品。『きのうの影踏み』の「十円参り」にちょっと似てるなと感じます。

【感想】ゾッとする読後感!13編の奇妙な物語(辻村深月『きのうの影踏み』)

個人的には薬丸岳さんの「わたし・わたし」も良かったですね。ネタバラシ直前に一気に物語に「?」が大量発生します。でもちゃんとオチがしっかりしている。

作家さんによってテイストが様々で読んでいて楽しいですね!

作者のあとがきも面白い!

物語の最後には各作家のあとがきがついています。各々、このアンソロジーの執筆に関する楽しさや難しさを書かれていて、物語の裏側を知れた気になります。

また、皆さんが“写真”に関して言及しているのも、面白い部分でしたね。笑

ホラー小説としても面白い小説なので、不気味な物語が好きな人にオススメです!