藤崎翔さんの『モノマネ芸人、死体を埋める』を紹介します。
モノマネ芸人として生計を立てている浩樹は、モノマネをしている相手・竹下竜司に呼び出される。竹下はある女性を殺してしまったのでした。自分の生活のためにも、浩樹は完全犯罪を計画するのですが…。
関野浩樹は、往年の名投手竹下竜司のモノマネ一本で生計を立てている。竜司本人にも気に入られ、晩酌のお供をして多額の小遣いまで稼ぐ順風満帆な芸人生活……のはずだった。ある夜、竜司が行きずりの女性を殺してしまうまでは!現場に呼び出された浩樹は愕然とする。竜司が捕まれば、モノマネ芸人は廃業必至!? 咄嗟の機転で完全犯罪を目論む浩樹だったが……。
『逆転美人』でTwitterを始めとして話題になっている作家さんの最新作です。ネタバレなしで紹介をしていきます。
死体を埋めないと廃業してしまう芸人
主人公の関野浩樹はマネ下竜司という芸名にで、モノマネ芸人をしていました。彼がモノマネしていうのは、往年の名投手と言われている、竹下竜司という人物です。
浩樹は竹下竜司のモノマネ一本で仕事を獲得し、生活をしていますが、実はこれ以外にはモノマネのレパートリーがないのでした。
竜司にはモノマネのお墨付きをもらっており、公認となっているものの、機嫌を損ねるわけにはいかない。浩樹は、竹下には逆らえない環境にいるのでした。
そんなある日、竹下から電話がかかってきます。自宅に向かった浩樹が目にしたのは女性の死体でした。どうやら竹下が勢い余って殺害してしまったのです。
竹下が捕まったら、浩樹もモノマネ芸人として終わってしまう。そこで浩樹は、死体を埋めて事件を隠すことにするのですが…。
終盤に待っている衝撃の展開の連続
伏線を伏線だと気づかせないように練って、最後に回収するのが上手な作家さんという印象ですが、本作でも健在でした。
他のおすすめ作品はこちらでまとめています。
【厳選】藤崎翔のおすすめ小説5選!ユーモアな展開から放たれる衝撃の数々ちょっとした違和感はもちろんあるのですが、話が別のところにいってしまうので、その正体に気付くことができない。そして、最後にはどのような裏事情があったのかが明らかになります。
本作では、物語の終盤に怒涛のスピードで話が展開していきます。
一山過ぎたと思っていたら、別の角度から新しい展開が待ち構えている。これはどんな風に着地するのだろうと気になってしまいました。
ただ、個人的にはもうひと捻りの衝撃があったらより嬉しかったなというのが正直な感想でした。
しかし、後半のある人物視点での語りが一番の驚きポイントになるはず。この人と事件がどのように繋がるのかなと思っていたら…。ここからは是非読んで体験してみて欲しいなと思います。