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【厳選】藤崎翔のおすすめ小説5選!ユーモアな展開から放たれる衝撃の数々

藤崎翔ーおすすめ

思わず笑ってしまいそうになるユーモアと軽い文体で読みやすい作品が魅力的な作家さん・藤崎翔さん。2022年にTwitterのTLを賑わせた『逆転美人』でご存じの方も多いのではないでしょうか?

元お笑い芸人で、2014年に横溝正史ミステリ大賞を受賞し、小説家としてデビューしています。もちろん『逆転美人』以外にも面白い作品はたくさんあります!

ユーモアの溢れる雰囲気の中で話が進むことが多いのですが、急にシリアスな展開になったり、予想外の事実が浮かんできたり、ミステリ小説としての完成度もとても高いのが特徴です。

伊坂幸太郎さんが好きな人にはハマるのではないかと思っています。特に、伏線回収が好きな方にはぜひ読んでもらいたい。ということで、今回は個人的な好みで、おすすめの作品を5つ厳選して紹介します。

5位『指名手配作家』

売れない小説家・大菅賢は担当編集者を口論の末に殺してしまい、茨城に逃亡する。潜伏先で自殺を決意するも、すんでの所で桐畑直美と出会い、彼女の家に匿われることに。さらに、直美の覆面作家として賢が小説を書いて再デビューを狙うことで二人は意気投合したが、そんなゴーストライター作戦が簡単にうまくいくはずもなく――。傑作ピカレスク・サスペンスホームコメディの誕生!

編集者を殺してしまった売れない小説家と、自殺を考えていた女性が出会い、二人は共同生活を始めることになる。女性の覆面作家として、小説を書こうと計画し、実行に移す。

しかし、売れない小説家がいきなり売れる小説を書けるわけもなくて…。という展開から物語は進んでいく。

思っていた以上に話は膨らんでいきます。中盤から後半にかけてはドキドキの連続です。そして、最後には思ってもいなかった事実が明かされます。

違和感がなかったわけではない。だからこそ「なるほど、そういうことだったのか!」となります。

4位『殺意の対談』

人気作家・山中怜子と、若手女優・井出夏希。新作映画の原作者と主演女優の誌上対談は、表向きは和やかに行われたのだが、笑顔の裏には忌まわしい殺人の過去が…。同様に、ライバル同士のサッカー選手、男女混成の人気バンド、ホームドラマの出演俳優らが対談で「裏の顔」を暴露する時、恐るべき犯罪の全貌が明らかに!?ほぼ全編「対談記事+対談中の人物の心の声」という前代未聞の形式で送る、逆転連発の超絶変化球ミステリ!(「BOOK」データベースより)

ミステリ作家と若手女優、先輩と後輩のサッカー選手、3人組の人気バンド、ドラマの出演者など。彼らの対談の様子を描いた作品です。

対談での表面上の回答と一緒に、裏の声として本音も描かれています。

それぞれの対談が次の章で絡んできたり、伏線として用意されていたりします。また、会話のテンポが良いのでスラスラと読めるのも特徴です。

そして、最後に章。複雑過ぎるくらいの伏線が回収されます。正直、少し理解するのが難しいこともありました…。ただ、『逆転美人』とはひと味違った展開を楽しめるはずですよ!

【感想】対談相手は何を考えている?複雑に絡まる伏線の数々(藤崎翔『殺意の対談』)

3位『逆転美人』

「私は報道されている通り、美人に該当する人間です。でもそれが私の人生に不幸を招き続けているのです」飛び抜けた美人であるせいで不幸ばかりの人生を歩むシングルマザーの香織(仮名)。娘の学校の教師に襲われた事件が報道されたのを機に、手記『逆転美人』を出版したのだが、それは社会を震撼させる大事件の幕開けだった――。果たして『逆転美人』の本当の意味とは!? ミステリー史に残る伝説級超絶トリックに驚愕せよ!!

美人だったせいで、人生が不幸になってしまった女性。娘の教師に襲われた事件をきっかけに発表した書記という体裁の作品です。彼女の不幸な生い立ちや、事件にいたるまでの話が心が痛くなるほどに書かれています。

どのような結末を迎えるのかなと思いきや、後半からは、今回もしっかりと伏線回収がありました。ただ、他の藤崎さんの作品と比べると、伏線や衝撃が弱いなと思っていました。

しかし、最後には、予想をしていなかった展開が待ち構えていました。そんなところに仕掛けがあったとは…。と読み終わった後には感服してしまうこと間違いなしです。

Twitterでも話題の作品。まだ読めてない人は、ネタバレを見てしまう前に、今すぐに読んでください。

2位『お隣さんが殺し屋さん』

専門学校入学のために田舎から上京した美菜は、隣人に挨拶することに。お隣さんの雄也はどこか陰のある長身の青年で、美菜は好意を抱く。一方、雄也は美菜にある物を見られ動揺する。それは一発の銃弾だった。雄也はそれを使った「仕事」を思い出す。ある弁護士を闇に葬った、恐るべき出来事を。さらに雄也の今度の仕事場は、美菜が通う専門学校で…。純朴女子学生と危険な殺し屋が交錯する、衝撃的ラストのユーモアミステリ!(「BOOK」データベースより)

専門学校に入学するために上京してきた美菜。挨拶に向かったお隣さんは雄也という長身の好青年。美菜は雄也に一目惚れをしてしまうのですが、その時、雄也の部屋に銃弾があるのでした…。

タイトルにある通り、殺し屋が隣に住んでいるという状況の作品。殺し屋だとバレないように行動する姿や仕事のシーンが面白いです。

そして、本作の真骨頂は300ページを超えたあたり。世界が一気に反転します。この衝撃は間違いなく『逆転美人』以上です。まさかそんな事が起きていたなんてとなってしまいました。

【感想】まさかのどんでん返し!読んでいた世界が一気に反転する(藤崎翔『お隣さんが殺し屋さん』)

1位『神様の裏の顔』

神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰もが涙した。…のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか…。坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今時ギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は!?どんでん返しの結末に話題騒然!!第34回横溝正史ミステリ大賞“大賞”受賞の衝撃ミステリ!(「BOOK」データベースより)

横溝正史ミステリ大賞を受賞している本作。控えめにいっても最高でした。

物語は「神様」と慕われていた教師・坪井誠造の葬儀。教え子や元同僚、ご近所さんなど、たくさんの人が参列をします。故人を偲んでいた面々でしたが、あることがきっかけで、彼は極悪人だったのではないか?という疑惑が浮上します。

作品は5つの章で構成されており、それぞれの章で各登場人物の視点が切り替わりつつが描かれています。本作も会話のテンポが良いので、スラスラと読めてしまいます。

物語が進んでいくにつれて、真実がわかってきますが、それと同時に、どんでん返しの種も仕掛けられているのでした。そのため、最後のネタバラシは圧巻でした。

まったく予想していなかった。考えもしなかった事実が浮かび上がってくるのです。二度読み必至で、騙される心地よさが素晴らしい一冊でした。

【感想】神様は極悪人なのか?ゆるいテンポの先にある驚愕のラスト(藤崎翔『神様の裏の顔』)