【感想】ラストですべてが繋がる爽快感(木下半太『悪夢の観覧車』)

伏線回収が素晴らしい作品を紹介します。

木下半太『悪夢の観覧車』です。


作者の木下さんは、劇団の主宰もしています。

そのためか、物語の展開はまさに舞台を見ているように滑らか。

視点の切り替えや伏線回収は素晴らしいです。

まずはあらすじを紹介します。

ゴールデンウィークの行楽地で、手品が趣味のチンピラ・大二郎が、大観覧車をジャックした。

スイッチひとつで、観覧車を爆破するという。

目的は、ワケありの美人医師・ニーナの身代金6億円。

警察に声明文まで発表した、白昼堂々の公開誘拐だ。

死角ゼロの観覧車上で、そんな大金の受け渡しは成功するのか!?

謎が謎を呼ぶ、傑作サスペンス。(「BOOK」データベースより)

4つの視点進む物語

本作の舞台はジャックされた観覧車の乗客。

その中でも4つの視点で物語は進みます。

17号車の4人家族。18号車の大二郎とニーナ。19号車のスリの先輩と後輩。20号車の別れさせ屋。

一見、何も関連性のない4組ですが、物語が進むにつれてある事実が明らかになり…。

伏線回収に次ぐ、伏線回収。

「あれはこういう意味だったのか!」となる物語展開は楽しめること間違いなしです。

コメディタッチで読みやすい

また、この作品はとにかく読みやすいです。

テンポよく進んでいくストーリー性に加えて、会話がユーモラス。

地の文にも面白みがあり、読んでいて疲れることはないでしょう。

演劇を主宰している作家だけあって、エンタメに富んだ作品となっています。

最後の最後まで気を抜くな!

ミステリもあり、コメディもある本作ですが、ハラハラもします。

観覧車はどうなってしまうの?

4組はそれぞれ大丈夫なの?

大どんでん返しもある本作ですが、とにかく最後まで気を抜かずに読んでください。

あるタイミングで「そういうことだったのか!」ともなりますが、まだ先があります。

笑えて、ドキドキハラハラできるミステリ小説。是非最後まで楽しんでくださいね。