パラレルワールドものの小説と言われたら何を思い浮かべますか?
映画にもなった『パラレルワールド・ラブストーリー』や『ボトルネック』を以前は紹介しました。
【感想】彼女は誰の恋人なのか?(東野圭吾『パラレルワールド・ラブストーリー』) 【感想】落ち込んでる時に読んだらダメ!自分は不要な人間?(米澤穂信『ボトルネック』)パラレルワールドと言ってもタイプは様々です。
並行世界を舞台にした小説。
タイムパラドクスも一種のパラレルワールドです。
先に挙げた2つの小説は、並行世界を題材にした作品でした。
今回は過去に戻って人生をやり直すという、タイムパラドクス形式の小説を紹介します。
乾くるみ『リピート』です。
もし、現在の記憶を持ったまま十ヵ月前の自分に戻れるとしたら?
この夢のような「リピート」に誘われ、疑いつつも人生のやり直しに臨んだ十人の男女。ところが彼らは一人、また一人と不審な死を遂げて…。
あの『イニシエーション・ラブ』の鬼才が、『リプレイ』+『そして誰もいなくなった』に挑んだ仰天の傑作。(「BOOK」データベースより)
未来からやってきた男からの誘い
大学4年生の毛利にかかってきた一本の電話。それは地震を予知するものだった。
信じていなかった毛利だったが、電話の通りに地震が起こる。
そこへ再び電話が。声の主、風間はこれは未来予知ではないと主張する。
彼は未来からやって来たと言うのである。
風間は「リピート」という過去に戻れる現象を発見しており、何度も未来から過去にやってきているという。
しかも「リピート」をすれば、現在の記憶を保持したまま過去をやり直せるというのだ。
半信半疑の毛利だったが、実際に過去に戻ることができて…。
1人ずついなくなっていき…
「リピート」によって、過去に戻ったのは毛利と風間の他に8名。
それぞれ好きなように過去を変えるのかと思いきや、いきなり事件が起こる。
「リピート」をしたメンバーの1人が事故で亡くなってしまう。
その後も事件は続き、別のメンバーも次々と死んでしまう。
「リピート」をしなかった世界では起こらなかったはずの事件。
誰かが「リピート」の秘密を知ってメンバーを殺しているのか?
他にもリピーターがいるのではないか?
事件の犯人は? そしてその目的は?
さすがはどんでん返しの名手
著者の乾くるみさんは、想定外の展開に定評のある作家です。
映画化もされている人気小説『イニシエーションラブ』が有名ですね。
【感想】二度読み必至!世界が反転どころじゃない(乾くるみ『イニシエーション・ラブ』)そんな人が仕掛けるパラレルワールド作品。
一筋縄でいくはずがありません。
事件の真相には思わずビックリ。この考え方は盲点だったなと感じました。
さすがはどんでん返しの名手だなと思います。
リピーターを狙った事件の謎。是非、衝撃の事実をその目で確認してほしいです。
そしてラスト。これは好き嫌いが人によって別れる気がします。
個人的には大好きなラストでした。笑