日常の謎と呼ばれる、人が死なないミステリを多数書いている米澤穂信さん。今回は小市民シリーズの第三弾を紹介します。
米澤穂信『秋季限定栗きんとん事件』です。
あの日の放課後、手紙で呼び出されて以降、ぼくの幸せな高校生活は始まった。学校中を二人で巡った文化祭。夜風がちょっと寒かったクリスマス。お正月には揃って初詣。ぼくに「小さな誤解でやきもち焼いて口げんか」みたいな日が来るとは、実際、まるで思っていなかったのだ。―それなのに、小鳩君は機会があれば彼女そっちのけで謎解きを繰り広げてしまい…シリーズ第三弾。(「BOOKデータベース」より)
過去の小市民シリーズはこちら。
【感想】小市民を目指す2人の高校生!日常の謎を解く!(米澤穂信『春季限定イチゴタルト事件』) 【感想】小市民第2弾!前作よりもパワーアップした日常の謎(米澤穂信『夏季限定トロピカルパフェ事件』)Contents
互恵関係がなくなった二人
小市民になりたい、小鳩常悟朗と小佐内ゆき。二人は小市民としての平穏な暮らしのためにお互いを利用し合う、互恵関係でした。
しかし、前作のある事件がきっかけで解消することになってしまいます。本作では、二人はそれぞれ別の人と恋仲になっています。
小市民としての、平穏な暮らしを二人は続けられるのか?
そもそも、二人は離れ離れになったままなのか?
連続放火犯は誰?
過去の2作では、日常の謎がメインでした。
しかし、今回は放火犯は誰?という大きな謎に挑む図式になっています。放火が行われる共通点や、犯人の目的。これらを考えながら読み進められます。
行動を別にするようになった、小鳩と小佐内。それぞれの視点で事件の謎に迫っていくので楽しめます。また、上下巻と言っても400ページ程度なので、すぐに読み切れますよ!
日常の謎もあるよ!
小市民シリーズなので、日常の謎ももちろんあります。
小鳩と彼女(仲丸)がバスで出かけていたシーン。乗客の多い車内で、どの座席が空くのかを推理で当てようとします。大きな謎だけではなく、きちんとした推理シーンがあって、中だるみせずに読めて楽しいです。
個人的には古典部シリーズ好きなのですが、テンポの良い小市民シリーズも面白いですよ!