【感想】どんでん返し好きなら読んでおきたい一冊(米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』)

どんでん返しが好きなら、絶対に読んでおいた方が良い本があります。

米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』です。

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。

夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。

翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。

優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。

甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。

米澤流暗黒ミステリの真骨頂。(「BOOK」データベースより)

5つの物語が収録された短編集。そのどれもで、最後の1行にとんでもないどんでん返しが起こります。

正直こんな謳い文句の作品はたくさんあるので、「またいつものやつね」と思う人もいるでしょう。笑

でも本当にラスト1行のインパクトがすごすぎるんです!!!

僕は今までで数千冊以上の小説を読んできました。その中でも長編短編併せても1番面白かった小説です。

以下の5つの物語をそれぞれ簡単に紹介します。

身内に不幸がありまして

夢想家のお嬢様が集う読書会「バベルの会」。夏合宿の2日前に会員の丹山吹子の屋敷で事件が起こる。次の年と事件から2年後、事件と同日に吹子の近親者が殺害されてしまう。3年目の今年、使用人の村里夕日はある考えを手記に残すが…。

1つ目の作品ということもあり、40ページ程度と短めでした。

展開やこんな感じなのかなと思いつつ、特に驚く要素はなく終わりを迎えかけました。

「こんなもんか」と思っていたのも束の間。ラストの1行にやられました。

愉快なわけではないのに、笑いそうになってしまうくらいよくできたオチが待っていました。

2つ目の作品も早く読みたいと思える、入り口にはピッタリの作品です。

北の館の罪人

母を亡くした内名あまりは、ある事情で権力者一族の六綱家で使用人をすることになる。命じられた役割は、別館である北の館に住む長男・光次のお世話。六綱家を継ぐはずだった光次がなぜ、隔離をされているのか?疑問に感じるあまりに、光次は不思議な買い物を依頼するようになる。

本作で最もこの物語が好きです。

  • 六綱家の長男である光次が除け者にされている理由
  • なぜ光次はあまりに脈絡のない買い物を頼むのか?

これらの謎が解明された時のなるほど感は良い余韻を与えてくれました。

ただ、ラスト1行でその余韻は一気にひっくり返るのですが。笑

ちょっぴり感動を覚えていたのに、「何その終わり方!?」ってなり、めちゃくちゃ鳥肌が立ったのを覚えています。

良い話と思って油断していたら、最後の最後におばけが出てきた本怖みたいな作品でした。(伝われ)

山荘秘聞

貿易商が所有する「飛鶏館」の管理を任された屋島守子。ある日、登山中に滑落して大怪我をしている越智を救助します。客人が滅多に来ない「飛鶏館」。守子は久しぶりのお客様を丁重におもてなししますが…。

ラスト1行がお上手という作品です。正直最初は意味がわかりませんでした。笑

怖い雰囲気や異様な雰囲気があった前2作と比較すると少し弱いですが、最後のオチはさすがでした。

名前の言葉遊びもあったり、前の2作品と比較すると箸休め的な感じなのかもしれません。

玉野五十鈴の誉れ

地主一族の小栗家に生まれた女の子、純花。15歳になったある日、玉野五十鈴という同い年の使用人を与えられることになった。五十鈴と出会い、人生が豊かになったのも束の間、伯父が殺人事件の被疑者に。一族の恥とされた純花は屋敷に幽閉され、五十鈴とも離れ離れになってしまう。

読んだ人の中で最も評価されているのはこの作品。

僕がオススメして読んだ人からの評価でもやはりこれが1番です。

評価のポイントは、なんといっても「オチが強烈」に尽きるでしょう。

実際に読んだ時は「あれはラストのための伏線だったのか!」となりました。

全然違和感なく、むしろ自然にあってびっくりです。笑

儚い羊たちの晩餐

バベルの会が使用していたであろう場所を訪れた1人の少女。「バベルの会はこうして消滅した」と記された本を発見します。そこにはバベルの会を除名された鞠絵の物語が書かれていた…。

バベルの会は先の4作品でも登場した読書サークルの名称です。

5作品目でほかの4作品がリンクをする設定になっていました。(物語がではなく世界観が)

この作品のラスト1行は「ほー」という感想です。笑

「儚い羊たちの晩餐」のラストではなく、『儚い羊たちの祝宴』すべてのラスト1行として、華麗にどんでん返しを見せてくれました。

先の作品と比較するとインパクトには欠けるかもしれませんが、物語のラストとしては素晴らしいと思います。

まとめ

どんでん返しを謳う物語はたくさんありますが、私はこれを上回る作品にはまだ出会ったことがありません。

短編だから1作品が面白かったではなく、すべての作品が上出来でオチのインパクトが凄まじい。

ラスト1行の衝撃を是非皆さんにも味わっていただきたいです。