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【厳選】浅倉秋成のおすすめ小説5選!伏線の狙撃手が描くミステリ

浅倉秋成おすすめ

巧妙に張り巡らされた伏線がクセになる。

『ノワールレヴナント』でデビューし、2021年に刊行した『六人の噓つきな大学生』でたくさんの注目を集めた、人気の作家・浅倉秋成さんを紹介します。

“伏線の狙撃手”という異名を持つ浅倉秋成さん。その名の通り、どの作品にも素晴らしい伏線回収が仕掛けられています。

どの作品を読んでも面白いのですが、今回はその中でもおすすめの作品を5つ厳選して紹介します。

5位『九度目の十八歳を迎えた君と』

いつもより遅めの通勤途中、僕は駅のホームで偶然、高校の同級生・二和美咲の姿を目撃した。他人の空似ではなく、十八歳のままの彼女を―。誰も不思議に感じないようだが、彼女に恋していた僕だけが違和感を拭えない。彼女が十八歳に留まる原因は最初の高校三年生の日日にある?僕は友人や恩師を訪ね、調べ始めた。注目の俊英が贈る、ファンタスティックな追憶のミステリ。(「BOOK」データベースより)

営業として働いていた間瀬は、ある日、駅のホームで高校の同級生を見つける。しかし、彼女は高校時代と同じ十八歳のままの姿だった…。なぜ彼女は高校生のままなのか?

理由を探るミステリではあるのですが、この現象がなぜ起こるのかは謎ではありません。作中では、この点についてはそういうこともあるとして処理されます。

彼女が高校生のままの姿でいるのはなぜなのか?という点が謎として描かれるミステリです。理由の解明をしようとする間瀬。彼がたどり着いた真実とは。

ミステリとしての伏線はもちろんですが、心に刺さるような伏線も張られているのが個人的には良かったです。そして、最後のひと捻りは予想外だったので、満足できるオチでした。

4位『俺ではない炎上』

ある日突然、「女子大生殺害犯」とされた男。既に実名・写真付きでネットに素性が曝され、大炎上しているらしい。まったくの事実無根だが、誰一人として信じてくれない。会社も、友人も、家族でさえも。ほんの数時間にして日本中の人間が敵になってしまった。必死の逃亡を続けながら、男は事件の真相を探る。

女子大生を殺した犯人として、SNSで拡散された男。濡れ衣のはずなのに、SNSでは彼が犯人の前提で炎上祭りが始まってしまう…。味方がいない中で、彼は事件の真相を突き止めようとする。

SNSの怖さと、男の逃亡劇を、主に4つの視点で描いた物語。炎上中の男・山縣泰介、彼の娘・夏実、動画の拡散者の大学生、警察官。

それぞれで語り手の心理が丁寧に表現されているのですが、特に大学生のパートは、SNS社会の今をキレイに描いているなと感じます。

もちろん、本作も伏線だらけ。まったく予想していなかったところからの回収もあります。

SNSの怖さと現代ならではのミステリの組み合わせ。スリルも味わえるミステリです。

3位『フラッガーの方程式』

「物語の主人公になって、劇的な人生を送りませんか?」平凡な高校生・涼一は、日常をドラマに変える《フラッガーシステム》のモニターになる。意中の同級生佐藤さんと仲良くなりたかっただけなのに、生活は激変!ツンデレお嬢様とのラブコメ展開、さらには魔術師になって悪の組織と対決!?佐藤さんとのロマンスはどこへやら、システムは「ある意味」感動的な結末へと暴走をはじめる!伏線がたぐり寄せる奇跡の青春ストーリー。

主人公に指定された人間のご都合主義で現実が進んでいく「フラッガーシステム」。このデバックに選ばれた東條涼一は、片想い中の同級生・佐藤さんとのドラマを期待する。

フラッガーシステムでは、主人公やその周囲の人間が立てたフラグをキレイに回収していくというシステム。

まさに伏線回収をメタ的に描写している作品です。ジャンルは青春ラブコメで、ここで紹介しているミステリとはまったく毛色が違います。

ギャグ要素が強いんですが、がっつりと伏線回収をしてくれます。というより、フラグ回収に重きを置いているので、ギャグ的なものが多いですが、伏線回収ばかりしています。ただ、

ラストは伏線の狙撃手の本領発揮です。ここまでのギャグ要素のフラグがなっていて、心地良い伏線回収が始まります。ギャグ作品と油断していたら、予想外の回収がスタートして最高でした…。

2位『六人の噓つきな大学生』

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考の内容は「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。

人気企業の最終選考。それは話し合いによって内定者を1名決めるというものだった。

選考に備えて親睦を深めた六人の大学生たちだったが、突如として敵同士になってしまう。誰もが内定を欲しいと考えているため、議論は平行線を辿ってしまう。

そんな時、就活生の六人の「罪」が何者かによって告発されていく。罪の告発をしているのは誰なのか。そして何のために…?

犯人が誰なのかは言わずもがなですが、動機やそこにいたるまでの展開が見事にハマっている作品。後半は伏線回収が止まらないので、たまりませんでした…!

ミステリとしての面白さだけではなく、人としての在り方や自分の立ち回りについても考えさせられる一冊です。

1位『教室が、ひとりになるまで』

北楓高校で起きた生徒の連続自殺。ひとりは学校のトイレで首を吊り、ふたりは校舎から飛び降りた。「全員が仲のいい最高のクラス」で、なぜ――。垣内友弘は、幼馴染みの同級生・白瀬美月から信じがたい話を打ち明けられる。「自殺なんかじゃない。みんなあいつに殺されたの」“他人を自殺させる力”を使った証明不可能な罪。犯人を裁く1度きりのチャンスを得た友弘は、異質で孤独な謎解きに身を投じる。新時代の傑作青春ミステリ。

高校で起きた連続自殺。しかし、彼らは自殺をするような生徒たちではなかった。自殺の背景には超能力の存在があった。その高校では代々、4人の生徒に超能力が与えられることになっていた。

ある日、主人公の垣内は超能力を取得することになる。そして、超能力を得た何者かが能力を使って自殺をさせていると考え、捜査を始めるのでした。

超能力を特殊設定のテーマにした学園ミステリ。犯人はどのような能力で、どのようにして自殺をさせたのか。

能力に関する伏線もさることながら、事件に隠されていた謎が暴かれるラストは衝撃の連続でした。伏線がいい塩梅に効いているので、読後の余韻も心地よい一冊。

伏線回収に目がない人には絶対に読んで欲しいミステリです。