殊能将之『黒い仏』を紹介します。問題作とも呼ばれている本作。表向きは宝探しをする探偵と殺人事件を調べる刑事の2つの物語のように見えるのですが…。
九世紀の天台僧・円載にまつわる唐の秘宝探しと、一つの指紋も残されていない部屋で発見された身元不明死体。無関係に見える二つの事柄の接点とは?日本シリーズに沸く福岡、その裏で跋扈する二つの力。複雑怪奇な事件の解を、名探偵・石動戯作は、導き出せるのか?賛否両論、前代未聞、超絶技巧の問題作。(「BOOK」データベースより)
先日Twitterで話題になっていた #クセが強いミステリー作品 でよく目にした作品でした。
7月10日は「納豆の日」だそうですよ。最近は少なくなったかもしれませんが、やっぱり「苦手」という方も多いかもしれません。というわけで本日のお題は #クセが強いミステリー作品 でお願いいたします。好き嫌いがはっきり分かれそうなおすすめ作品、お待ちしています。(み)
— 日本推理作家協会◉広報 (@mwjsince1947) July 10, 2023
どれだけクセが凄いのかなと思っていたのですが、想像の何十倍も驚きの作品でした。
ネタバレなしで本作の魅力を紹介していきます。
2つの視点で話は進む
石動戯作シリーズの2作目で、石動と助手のアントニオが宝探しをする。同時期にある殺人事件が発生しており、警察は犯人を追う。この2つが交差する時に浮かび上がったものとは?
頭から読んでいる時は、この2つの出来事がどこで繋がるのかがよくわかりませんでした。しかし、それぞれで捜査が進んでいくにつれて、徐々に話がリンクしていることが明らかになります。
余談ですが、登場キャラクターのアントニオは、言動がどことなくメルカトル(麻耶雄嵩作品に出てくるキャラクター)に似た雰囲気を感じました。
突然訪れる「まさか」の展開
ここまでは、よくあるミステリ作品の体裁を取っていると思います。2つの捜査が行き着いた先に、1つの事件の真実が明らかになってくる。
本作もこのタイプの作品です。最後には探偵の推理が始まり、事件は解決に向かっていきます。
しかし、本作は一筋縄ではいきませんでした。想像もしていなかった展開が、物語の終盤に訪れるのです。これはまさかでした。
想像できないことが起きるよと言われていても、こんな展開は想像できるわけがありませんでした…。
この作品をあなたはどう思う?
おそらく、本作は人によって好みがわかれると思います。スゴイと感じる人もいれば、こんなのはミステリではないと考える人もいるかもしれません。
私は、後半の展開には思わず笑ってしまいました。もちろん良い意味です。私はこの作品は率直にスゴイと思ってしまいました。
正直、急展開が過ぎるとは思いますが、ミステリをちょっと皮肉ったような内容で個人的には好みのお話でした。
クセが強いミステリでたくさんの方から名前が挙がっていたのも納得です。これはクセが強すぎるなと思いました。
読了した人たちの声が聞きたくなる。読み終わった後にどんな感想を持つのか。この衝撃的な展開をぜひ楽しんでください。