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【感想】小説だからこそのトリックも!トロイの木馬は誰?(金田一少年の事件簿『電脳山荘殺人事件』)

大ヒット推理漫画・金田一少年の事件簿。

名探偵コナンと並び称される、ミステリ漫画の金字塔ですね。

金田一少年の事件簿では、各事件で特徴的な犯人が登場し、別名(怪人名)がつけられています。

読者にも解けるようにヒントも出されていて、犯人当てミステリとして人気が高いです。

そんな金田一少年の事件簿ですが、小説があるのはご存知でしょうか?

今回は小説版の金田一を紹介します。

天木征丸『電脳山荘殺人事件』です。

パソコン通信で知り合った互いの本名も素性も知らぬ七人の男女。人里離れた山荘で彼らが初めて顔を合わせた夜、恐るべき殺意の罠が始動した。皆殺しを目論む犯人の意外な動機、金田一少年が看破した殺人トリックとは?

マンガが原作だからと侮るなかれ!

本作はトリックが素晴らしく、マンガシリーズと比較しても上位に位置する面白さです。

そして、小説ならではの仕掛けも用意されています!

ハンドルネームで語られる物語

本作の舞台は雪の山荘。いわゆるクローズドサークルです。

集まったのは、ミステリ好きという共通点でオンラインチャットをしていたメンバー。

彼らにとっては初めてのオフ会でした。

補足
ちなみに本作が最初に世に出たの1996年なので、公衆電話とかの描写もあります。笑

今まで会ったことのない人たちが集まるオフ会。みんな、他人の素性、本名は知りません。

小説内では、全員がハンドルネームで呼ばれます。

登場人物

  • 一流商社マン〈僧正〉
  • 医大生〈ワトソン〉
  • 女流漫画家〈ぱとりしあ〉
  • バンドマン〈シド〉
  • 大学生〈乱歩〉
  • 大学生〈スペンサー〉
  • 高校生〈アガサ〉

綾辻行人『十角館の殺人』に似たような雰囲気がある作品なのです。

【感想】たった1行で世界がひっくり返る(綾辻行人『十角館の殺人』)

そして、本作の犯人は琢磨です。

ネタバレするなよ!という声が聞こえてきそうですが、これはネタバレではありません

上で紹介の通り、本作品では、みんなハンドルネームで描写されます。

たまに人名が出てきますが、誰がどのハンドルネームなのかはわかりません。

そのため、琢磨のハンドルネームは何なのか?が犯人当てクイズになっているのです。

このハンドルネームを使ったトリック、展開が素晴らしい作品です!

金田一らしい進み方

小説とはいえ、金田一シリーズの本作。

殺人事件につながる過去の話(プロローグ)。場面が変わって現在。

「電脳山荘」というミステリ好きのオフ会メンバーが雪の山荘に集まりました。

お互いにネット上での情報しか知らない7人の男女。

しかし、犯人である琢磨(怪人名:トロイの木馬)にとっては復讐の場所でした。

閉ざされた山荘で、連続殺人が巻き起こるのです。

アリバイトリックとダイイングメッセージの意味が秀逸!

その日の夜に最初の殺人事件が起こります。

しかし、事件があったであろう時間には全員にアリバイが。

トロイの木馬はどのようにして、自分のアリバイを確保したのか?

そして第二の殺人。被害者は「ぱと」というダイイングメッセージを残します。

このメッセージに込められた意味とは何か?

このトリックが秀逸過ぎるし、ダイイングメッセージの謎がスゴイ!

金田一らしさ全開の華麗なトリックがそこにはありました。

小説だからこそ描ける犯人の心理。そして、小説ならではのトリックが少しあります。

金田一好きはもちろんですが、読んだことない人でも絶対に楽しめる本作。

小説好きの人にはオススメの作品です!!

是非、犯人当てにも挑戦してみてください。