【感想】伏線回収は一級品!心温まる7つの短編(辻堂ゆめ『あの日の交換日記』)

第13回『このミステリーがすごい!』大賞で優秀作を受賞し、デビューした辻堂ゆめさん。(どの作品も面白い!私のお気に入りの作家さんです!)

今回は4月21日に発売された辻堂さんの新作を紹介します。『あの日の交換日記』です。

「クラスの大杉寧々香を殺します」 私は先生との交換日記にこう書いてみた。その時の先生の反応は? 全7話の連作短編。 いろいろな「ふたり」がやりとりする交換日記には、謎が――。(作者のブログより)

7つの連作短編集で構成される本作。小学校の先生を中心に、交換日記を題材にした物語が展開されています。

どの作品も心温まる人間ドラマがありつつ、最後にはちょっとしたどんでん返しが待っています。どの作品も「え?そういうことだったの?」という驚きがありとても楽しめました。

7つの短編それぞれで異なる騙し方をしてくれるので、とても満足できました。私の中では、辻堂作品で1番良かったです!

これから、それぞれの作品のあらすじをネタバレなしで紹介していきます!(各話のあらすじは作者のブログから引用させていただきました)

入院患者と見舞客

愛美は重い病気になり、長い間入院している。そんな愛美のために病室に通ってきて勉強を教えてくれる学校の先生が、交換日記に付き合ってくれることになるが――。

病気のせいで入院している小学四年生の愛美学校の先生との間で交わされる交換日記。愛美は学校の友達に会いたく仕方ありません。そんな愛美のために、先生は学校の様子をこと細かに伝えてくれます。

病気を治すために健気に奮闘する愛美と、それを励まそうとする先生の物語に、読んでいて胸が温かくなりました。手術を受けるかどうかを悩むシーンなど、先生や両親の言葉がとても沁みます。

人間ドラマとしても素晴らしい物語なのですが、最後がスゴイ。あることがわかるラスト一行にはビックリですね。「そういうことね!」となりました。

教師と児童

「クラスの大杉寧々香を殺します」

学校が大嫌いな私は、先生との交換日記にこう書いてみた。止まらない殺害計画。そのときの先生の反応は――?

2作目はクラスの生徒と先生との交換日記。「クラスの人間を殺す」という突飛な文章からスタートします。小学生でこの発言はなかなかですよね…笑

こんなことを言っている生徒を先生はどのように更生させるのか?

先が気になる物語でした。この話も最後にやられましたね…。気付かなかった…。

姉と妹

双子の姉妹・さくらとすみれは、交換日記の中で悪口をぶつけあう。そのきっかけは、すみれの頬にある古い傷跡ができた理由を二人が知ってしまったことだった――。

今回は双子の姉妹で行われる交換日記。暴言が飛び交う文章で激しい展開です。お互いに不満を感じていて、地の文でもその描写が語られています。

ひょうなことから、母親に交換日記を見られてしまうのですが、そこからは急展開でした。思ってたのと全然違うじゃん…。という驚きに包まれました。兄妹や姉妹っていいなと思える作品ですね。

母と息子

小学2年生の息子が、突然「交換日記をしよう」と言い出した。しかし、息子がノートに書くのは母の返事を無視した不可解な日記ばかり。息子は一体何を考えているのか――?

息子が何を考えているのか?

気持ちを汲み取れない。息子も自分のことを知ろうとしない。わかり合えないことを苦しんでいる母の物語です。今回は母と息子の間で交換日記がされます。

驚きは前の3作に比較すると少し劣るかもしれませんが(というか前の3作が凄すぎる)、今回も最後にはビックリする展開が用意されてます。息子の不可解な日記の謎が解けた先にあるラストに、少しほっこりしました。

加害者と被害者

飲酒運転中に赤信号を無視して歩行者の女性をはねてしまった礼二は、毎日女性のお見舞いに通っていた。そんな中、被害者の女性に、交換日記に付き合ってほしいとお願いされ――。

伏線回収やラストがどえらいことになっている話です。「伏線が巧妙すぎる…」と思わず唸ってしまいました。そんなことになっているなんて騙されるまで気づきませんでした。

また、ラストに行き着くまでの人間ドラマも素晴らしく、被害者と加害者の関係とは思えないくらい微笑ましいです。(現実には絶対ありえない状況だろうな…と思いました笑)

そして、伏線が回収しきった後に、とんでもない展開が待っていました。

ここまで読んじゃうと、先が気になって仕方なくなります。皆さん、この章は時間がある時に読んでください。最後まで一気読みしたくなってしまうので…。

上司と部下

毎日手書きの日報を作成しなければならない会社に勤めている篠崎。ひょんなことからある新入社員女子について、課長に相談することに。上司と部下の奇妙な交換日記が日報上で始まる。

篠崎は、なぜ新入社員女子に対してわだかまりをを抱えているのか?

交換日記を通じて徐々に明かされていくのですが、今回も日記をうまく使ったトリックがそこにはありました。納得感のある驚かせ方、種明かしなので、素直にビックリします。

夫と妻

切迫早産で入院中の妻に、「現実には持ち込まない交換日記」をしよう、と持ちかけられた葉山。出会った頃のことなどを振り返っていくが、妻は夫に対して、ある疑念を抱いているようで――。

連作短編集の最後のお話。これまでの6つの話が一本に繋がりました。

実は読んでいる中でところどころに違和感はあったんですよ。でもそのモヤモヤが何なのかわからない。この引っ掛かりの正体が、本章では明らかにされていきます。そして、読んでいた世界がひっくり返りました。

思い浮かべていた世界と違いすぎたんです。正しい情報でもう一度読み返したくなりました…。

それぞれの短編集でどんでん返しが用意されているのに、物語全体を通じても、とんでもないラストが用意されている。

飽きずに読み進められて、読み終えた先には最高のラストが待っている。テンポよく読めるので、あまり本を読まない人にもおすすめできる作品ですよ!

他にも面白い作品がたくさん!

辻堂作品には『あの日の交換日記』以外にも伏線回収が素晴らしく、心地よい物語がたくさんあります。他のおすすめ作品はこちらをチェックしてください!

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