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【感想】美しいスポ根+どんでん返し(中山七里『さよならドビュッシー』)

あなたは『このミステリがすごい!』大賞をご存知ですか?ミステリ小説でデビューを目指す作家を対象にした新人賞です。

2018年秋に公開された『スマホを落としただけなのに』はこの賞で隠し玉賞に選ばれています。

※毎年発表されたミステリにランキングをつける、「このミステリがすごい」というランキングもありますが、こちらとは別です。

今回は『このミステリがすごい!』大賞で第8回に大賞に選ばれた作品を紹介します。

中山七里『さよならドビュッシー』です。


クラシックには全然興味ないので、「音楽ミステリかー…」と思ったのですが、表紙が気に入ったので買いました。笑

あらすじは以下の通り。

ピアニストからも絶賛!ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。

祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。

それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。

ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する―。

第8回『このミス』大賞受賞作品。(BOOKデータベースより)

主人公はピアニストを目指す15歳の少女、遥。火事に遭い、従妹と祖父を亡くし自身も大やけど。体には障害が残ってしまいます。

逆境に立たされますが、先生とともにピアニストを目指して奮闘。夢の舞台を目指して、努力をするという物語です。「スポ根」みたいですね。笑

しかし、この作品はミステリ小説。もちろん謎の要素は多いです。

主人公の命を狙うのは誰?

遥は体が不自由になりながらも、ピアニストを目指し奮闘します。しかし、そんな遥の身に危険が迫ります。

階段の滑り止めを剥がされたり、松葉杖の留め金がゆるめられたりと、一歩間違えれば命を落としかねない細工が自宅などで施されていたです。

ピアニストになるにも、大きなハンディキャップを背負った遥。犯人は何のために命を狙うのでしょうか?

しまいには、遥の母親が階段から落ちて亡くなってしまいます。事故か殺人か? 殺人であれば何のために?

そこには驚きの理由がありました。

どんでん返しと音楽描写が魅力

本作の大きな魅力はどんでん返しです。

遥の命を狙う犯人とその目的は?母親はなぜ死んでしまったのか?

真相が明らかになった時の衝撃はすさまじいです。
華麗な伏線回収をぜひ味わってください!

そしてもう1つの魅力はピアノの音が聞こえてくるような音楽描写。

全く音楽に触れたことのない僕ですが、読み終わった後にはドビュッシーを聞いてみたくなりました。(ミーハー笑)

ミステリも音楽も好きな人は絶対に楽しめるはず!

美しい奏とともに生まれるミステリを堪能してください。(著者の中山七里さんはピアノをやったことないらしいですが。笑)