映像化不可能作品と言われて何を思い浮かべるでしょうか?
このように呼ばれる作品の共通点は、小説だからこそのトリックでしょう。
以前は綾辻行人さんの『十角館の殺人』を紹介しました。
【感想】たった1行で世界がひっくり返る(綾辻行人『十角館の殺人』)どんでん返しはもちろんですが、この手の作品は二度読みをしたくなる点も大きな特徴でしょう。
一度目と二度目で解釈が大きく異なる。同じ文章なのに、全然意味合いが変わってくるのです。
今回はそんな小説の中でも、絶対に二度読みをしたくなる小説を紹介します。
乾くるみ『イニシエーション・ラブ』です。
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。
甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しい筆致で描いた青春小説―と思いきや、最後から二行目(絶対に先に読まないで!)で、本書は全く違った物語に変貌する。
「必ず二回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリー。(「BOOK」データベースより)
よくあるただのラブストーリー
主人公の僕がマユという女性に出会って恋するという物語。本作は2つの章に分かれています。
出会って付き合うまでの過程を描いた章。付き合ってからの2人を描いた章。
単なる男女の恋物語として進んでいくので「何がミステリなのか?」と感じられずにはいられませんでした。
しかしご安心を。最後の最後にとてつもないことが起こります。
最後に明かされる驚愕の事実
この物語はラスト2行で世界が変わります。
「今まで読んでいた作品は何だったんだ?」となること間違いなし。
世界が反転どころではない状況が訪れます。
しかも、伏線は冒頭から巧妙に張られていました。
タネがわかってから読み返すと、こうした1つ1つの伏線に感動すら覚えます。笑
二回目は全く違う視点で物語を楽しめるので、二度楽しい小説です。
実は映画化されている!
冒頭で映像化不可能作品と言っていますが、実は『イニシエーション・ラブ』は既に映画化されています。
もちろん映像作品でもこの衝撃を得られますが、個人的には小説で読むことをオススメします!
文章だからこそ、感じる印象の違いを是非味わってもらいたいなと思います。