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【ネタバレなし感想】『今際の国のアリス』心理戦×仲間×哲学が詰まった最高のマンガ

小説の紹介を主にしている本サイトですが、今回はマンガを取り上げたいと思います。

『キングダム』や『ワンピース』のような超有名で人気な作品ではなく「めちゃくちゃ面白いのに、そこそこしか知られていない」作品を紹介します。

麻生羽呂『今際の国のアリス』です。

本作は全18巻ですでに完結済み。2020年には、山崎賢人さんと土屋太鳳さんのW主演で、Netflixにて実写化が予定されています。

ざっくりとしたあらすじを紹介すると「主人公がある日、不条理なデスゲームに巻き込まれる」という一見するとよくある設定です。笑

しかし、単なるデスゲームではありません。ゲームの楽しさはもちろん、死生観や人間の価値などを考えされる、奥が深い物語です。

今回はこの漫画の素晴らしさと、個人的に好きなげぇむ(作中ではこのように表記されます)を紹介しますよ!

つまらない毎日からの解放

落ちこぼれ高校生の有栖良平(アリス)は、何もうまくいかない毎日にうんざりしていました。つまらない毎日から解放されたい。

大地震やバイオハザードのような、世界的な危機が起こらないかなと、縁起でもないことを考えるアリス。ある日、彼は、友人の刈部大吉(カルベ)・勢川張太(チョータ)と朝まで遊び惚けていました。

「どこでもいいからどこか知らない国にでも行きたい」

そんな、彼らの目の前に大きな花火が打ちあがります。朝4時の花火を不審に思う3人でしたが、次の瞬間、大きな花火の光が3人を包み込みました。

意識を戻した彼らの目の前に広がっていたのは、荒廃した東京。そこで彼らを待ち受けていたのは、生き残りをかけた「げぇむ」への参加でした。

今際の国ってどんな国?

彼らは「げぇむ」をクリアしないと生き残れない国に飛ばされてしまったのでした。「げぇむ」には4つのジャンルと1~13までの難易度があります。

難易度は1が簡単で、数が増えるにつれて難しくなっていきます。参加者は「げぇむ」をクリアすると、難易度と同じ数だけ「びざ」をもらえます。「びざ」はこの国に滞在できる日数を意味しています。つまり、難易度3のゲームをクリアすれば、3日間この国にいれるということです。

「びざ」が0になってしまったら死亡。「げぇむ」をクリアできなくても死亡。今際の国では「げぇむ」にクリアし続けないと生きていけないのです。

この国に巻き込まれてしまった、アリスたちの運命は? そもそも「今際の国」と何なのか?

『今際の国のアリス』の3つの魅力

ここまでが前段の説明でした。(長くなってしまった…)

ここからは何が面白いのか?を話していきます。ここまで読んで「よくあるデスゲームじゃん」と思った方。以下の中に好きな漫画はありますか?

進撃の巨人・キングダム・ハンターハンター・ワンピース・NARUTO・デスノート・カイジ・ライアーゲーム・約束のネバーランド・アクマゲーム・トモダチゲーム・神さまの言うとおり・GANTZ・名探偵コナン・金田一少年の事件簿

上の中に好きな作品があるならきっとハマります。少年マンガの楽しさも心理ゲームの楽しさもどちらも兼ね備えた作品だからです。

①げぇむが面白い

最初に物語の一番の魅力を紹介します。それは「げぇむ」の面白さ。カイジ・ライアーゲーム・(ハンターハンター)が好きな人はハマるだろう特徴です。

先ほど「げぇむ」は4種類のジャンルと13の難易度と書きました。これはトランプを表わしています。

  • スペード:体力型
  • ダイヤ:知能型
  • クラブ:バランス型
  • ハート:心理型

スペード:体力型

スペードのゲームとして「おにごっこ」があります。身体能力や体力がある人がクリアしやすいゲームです。戦略を立てることはありますが、割と体力勝負。キングダムなどの少年マンガ好きにはハマるゲームでしょう。

ダイヤ:知能型

ダイヤは「ぶらっくじゃっく」などの頭の良さが大事になってくるゲームです。体を動かす要素はなく、知略だけで戦います。カイジやライアーゲームが好きな人が好きそうなゲームですね。

クラブ:バランス型

クラブは体力と頭脳を掛け合わせたゲームです。例えば、本作1番最初のゲームは「クラブの3・おみくじ」。ルールは「げぇむ」に参加した4人がおみくじを引けばクリアというもの。

おみくじには数字が答えになるクイズが書かれており、正解と誤答の差分だけ火矢が飛んでくる。クリアするためには、頭も使うし、体も使うというどちらも大事なゲームなのです。

ハート:心理型

最後にハートのゲーム。このゲームは「人間の生きたいと願う心理」を弄ぶゲームです。

「おみくじ」というゲームに参加した際、アリスたちが出会った、シブキという女性キャラクターがいます。彼女が最初に参加したのが、ハートのゲームでした。

ルールはとてもシンプル。電車に乗って4両先にある先頭車両までたどり着けばクリア。ただし、4両のうち1つの車両には毒ガスが充満している。

手元には3つしか酸素ボンベがないので、1両だけは、酸素ボンベなしで車両を進まないといけない。「自ら死に行くかもしれない恐怖」に抗わないといけないゲームなのです。「生きたい」という心理に打ち勝って、冷静な判断をしなければならない。そんなゲームです。

②生きることを考えさせられる

よくあるデスゲームとの違いは、常に「生きるとは何か?」を読者に語りかけてくることです。

先ほどのハートのゲームもそうなのですが、単に人が死ぬだけではないんです。脇役キャラクターも含めて、全員に人生というストーリーがある。

「他人を蹴落としてまで生きることは正しいのか?」

「何のために人を殺すのか?」

「なぜゲームに参加しているのか?」

「他人を信じることはできるのか?」

「自分は何のために生きているのか?」

それぞれのキャラクターが葛藤を抱えながら人生を過ごしてきて、「今際の国」でゲームに参加している時も存在価値や行いの正しさを考えている。

本作では18の「げぇむ」が描かれるのですが、実は半数以上に主人公のアリスは登場しません。本筋とは関係のないストーリーがかなりの尺を使って描かれているのです。それなのに面白い!

後ほど紹介しますが、私の好きな上位2つの「げぇむ」にはアリスは出てきません。笑

それほどまでに、登場するすべてのキャラクターにキャラが立っている。個性が強い。共感できるキャラクターがきっといるはずです。

少年マンガにある「学び」がたくさんある。自分の好きなキャラクターを言い合うのもまた一興だと思いますよ。

③考察のしがいがある

最後の魅力です。ミステリ好きにたまらない点です。

  • 今際の国とは何?
  • 元の世界に戻ることはできるのか?
  • 「げぇむ」をクリアした先には何がある?
  • 「げぇむ」は誰が何の目的で開催しているの?

考察のしがいがある、様々な謎が提示されており、徐々に謎が解けていきます。そして、話が進むにつれて新しい謎が姿を表わす。

「げぇむ」やキャラクターの魅力はもちろんなのですが、ミステリとしての楽しさもこの作品の魅力です。既に完結しているのですが、私はこのラストは結構好きでした。賛否両論ありますが「どちらにもなぜそうなのか?」という意見があるのが面白いです笑

個人的に好きなげぇむを紹介!

最後に、個人的に好きな「げぇむ」を3つ紹介します!

個人的には「はあと」の「げぇむ」が好きなので多くなってしまいましたが、参考までにどうぞ!

3位:はあとのなな・かくれんぼ

ルール

 

植物園を舞台にした「げぇむ」。参加者は「おおかみ」と「ひつじ」にわけられる(「おおかみ」は1名だけ)

 

制限時間の10分が経過した時に「おおかみ」だったプレイヤーが勝者となる。

 

「おおかみ」のプレイヤーが「ひつじ」を見つけると、事前にとりつけたセンサーが作動して、「ひつじ」と「おおかみ」が交代する。

「ひつじ」のプレイヤーが勝つためには、「おおかみ」に見つけてもらわないといけない。「かくれんぼ」という「げぇむ」なのに、探す&見つける構図が逆になってしまってる。名前に対して「げぇむ」が破綻しているのですが、さすが「はあとのげぇむ」でした…。

3巻に収録されている「げぇむ」なのですが、序盤の山場です。ここまで読んでハマらなかったら、この先を読んでもつまらないと思います。

『今際の国のアリス』を読み始めたら、この「げぇむ」までは読んでください。ここまで読み終えたら絶対にハマります。そして「はあとのげぇむ」の残忍さを痛感するでしょう…。

2位:くらぶのよん・らんなうぇい

ルール

 

トンネルを舞台にした「げぇむ」。制限時間内にゴールに辿り着き、4つの試練を乗り越えればクリアというもの。

 

時間が一定時間が経つにつれて、チーターが襲ってきたり、洪水が迫ってきたりとした試練が発生する。

 

どう考えても、体力系の「スペード」に感じるのだが…。

 

※アリスは登場しないゲームです

トンネルにあるゴールを目指すという「げぇむ」で、試練内容もかなりえげつない…。チーターに追われるって…。一見すると「スペード」らしさ全開に見えます。でも、本質は「クラブ」らしさ全開でした。

最後の最後のどんでん返し、伏線回収が素晴らしくて第二位にしました。2話分の「げぇむ」なんですが、めちゃめちゃ面白いです。これだけでも読んで!というレベルで素晴らしい「げぇむ」です。

1位:はあとのじゃっく・どくぼう

ルール

 

刑務所を舞台にした「げぇむ」。参加者20名の中に紛れ込んでいる「じゃっく」を殺せばクリア

 

参加者は首輪を装着し、ゲーム開始と同時に首輪の後ろ(自分では見えない)にトランプのマークが浮かんでくる。

1ゲーム1時間。終了の5分前に、1人ずつそれぞれのどくぼうへ入り、自分のマークを回答する。

 

無回答、誤答だった場合には首輪が爆発する。つまり参加者から「じゃっく」を特定して、嘘のマークを教えれば勝てる。

 

※アリスは登場しないゲームです

「はあと」らしさ全開の心理戦!

前提として自分のマークは誰かに教えてもらわないといけない。信じられる仲間を見つけてお互いにマークを教え合わないといけない。しかし、その仲間はもしかしたら「じゃっく」かもしれない。疑心暗鬼が疑心暗鬼を呼ぶ、負の連鎖。人間の脆さを映し出す残忍なげぇむでした。

この「げぇむ」の魅力は「誰がじゃっくなのか?」を推理して読むのが楽しい点。怪しいやつだらけだし、どんな戦略で生き残ろうとしているのか?を考えるのも面白いです。

そして「じゃっく」にどうやって勝つのか?(というかそもそも勝てるのか?)という結末が気になる「げぇむ」でもあります。ラストはめちゃめちゃ凄かったとだけ言っておきます。

まとめ

ここまで長々と『今際の国のアリス』の魅力を紹介してきました。

  • デスゲームが好き
  • 心理戦が好き
  • バトル系が好き
  • 魅力的なキャラクターが多い作品が好き
  • 哲学が好き

全18巻なので読み切るのも大変というほどではありません。むしろ、ハマったらどんどん読んでいると思います。また、主人公がいない「げぇむ」も多くても楽しめるほどキャラクターが魅力的です。

シンプルな「げぇむ」が多いので、わかりやすく誰でも楽しめます。

とにかく面白い!

めちゃめちゃ面白いので少しでも気になったら手に取ってみてください!

(近いうちにNetflixで話題になっているはずですので、今のうちに読んでいても損はないでしょう笑)