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【感想】前向きになれる短編集!悩みを抱える5人の男女の物語(青山美智子『お探し物は図書室まで』)

お探し物は図書室まで

2021年本屋大賞ノミネート作品、青山美智子『お探し物は図書室まで』を紹介します。仕事の悩みや人生の葛藤をキレイに描いている本作。読んでいて前向きになれる一冊でした。

お探し物は、本ですか?仕事ですか?人生ですか?悩める人々が立ち寄った小さな図書室。不愛想だけど聞き上手な司書さんが思いもよらない選書と可愛い付録で人生を後押しします。『木曜日にはココアを』の著者が贈る、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。(「BOOKデータベース」より)

図書館での本との出会いが人生に良い影響をもたらしてくれる。そんな不思議な縁を爽快に描いていました。

無愛想な司書が選ぶ本

本作は5つの短編からなる連作短編集です。話は独立していますが、それぞれのリンクはしているそんな作品でした。

どの話も、悩める男性もしくは女性が図書館にやってくるところからスタートします。そこで、無愛想かつ体の大きな女性司書が、自分に合う本を選んでくれるという展開です。

彼女が選ぶ本は、自分がリクエストした本だけではなく、自分に合っているだろう本も入っているのでした。

例えば、Excelなどのパソコン知識が欲しい人に対して『ぐりとぐら』を選んだり、囲碁の本を探している人に『げんげと蛙』という詩集を選んだりなど。

一見すると、依頼とはズレているように思える選書。しかし、この本たちが5人に大きな影響をもたらすのでした。

悩みを抱える5人の男女

本作は5人の男女が描かれる短編集です。彼らはそれぞれに悩みや葛藤を抱えています。

  • 自分の仕事は役に立つものなのかと悩む販売員
  • 仕事に追われてやりたいことをできない会社員
  • 夢に破れて行動できていないニート など

どの作品でも「わかる」と共感できる内容が多く、胸に刺さる言葉や展開が多かったです。誰もが自分の生活、将来に対して不安や心細さを感じている。

そんな人たちの背中を押してくれる作品だなと感じました。

個人的には2話目の「家具メーカー経理部」の話が好み。というか葛藤が最も刺さった作品でした。自分でお店を持ちたいと思っているけど、将来への不安から行動に起こせない男性の話です。

私自身、やりたいと思っていることを実行できていなかったので、主人公の男性を見て、もっと頑張らないといけないなと思わされました。(後押しもされたように感じます。頑張ろう)

前向きになれる一冊

5つの短編、どれも共感できますし、悩みから脱却するまでの過程には勇気をもらえると思います。

人生にモヤモヤを感じている。このままでは不安と思っている人。自分の仕事は大したことないと思っている人。そんな人たちには是非読んでもらいたい作品でした。

きっとあなたに元気をもたらしてくれますし、場合によっては行動する勇気を得られるはずです。最後に個人的に好きなメッセージを書いて終わりたいと思います。

やることはたくさんあるけど、「時間がない」なんて言い訳はもうよそうと僕は思った。

「ある時間」で、できることを考えていくんだ。

「作る人がいるだけじゃ、だめなのよ。伝えて手渡す人がいなきゃ。」

人生を充実させるために何をするべきなのか。自分の仕事には意味があると感じられる。これらを痛感させられる素晴らしいセリフだなと思いました。