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【感想】どんでん返しの応酬!生々しい描写だらけのミステリ(中山七里『連続殺人鬼カエル男』)

『このミステリーがすごい!』大賞で最優秀賞作品を受賞してデビューした中山七里さん。

どんでん返しの帝王とも呼ばれており、受賞作の『さよならドビュッシー』はかなりの衝撃度でした。

【感想】美しいスポ根+どんでん返し(中山七里『さよならドビュッシー』)

デビュー後も華麗などんでん返しをたくさん披露してくれる中山さん。

そんな中山七里さんですが、実はとんでもない偉業を成しえています。

『さよならドビュッシー』を受賞した第8回の大賞時に、もう1つの作品も最優秀候補作に残っていたのです。

今回はその作品を紹介します。

『連続殺人鬼カエル男』です。

口にフックをかけられ、マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体。

傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。

街を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の犯行だった。

警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに…。

無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の目的とは?正体とは?警察は犯人をとめることができるのか。(「BOOK」データベースより)

ラストの衝撃度はドビュッシー以上

カエル男を名乗る者から行う連続殺人の真相を追う物語。

衝撃度は、受賞作の『さよならドビュッシー』以上でした。

キレイに張られた伏線と衝撃のラストのインパクトが強い『さよならドビュッシー』。

一方で本作は、どんでん返しに続くどんでん返しの応酬が凄まじい作品でした。

真実だと思っていたことがひっくり返され、驚きの事実が明らかになる。

こうした展開がどんどん出てくるので、後半はページをめくる手が止まりませんでした。

描写がかなりグロい

とんでもないどんでん返しが用意されている本作ですが、注意が必要です。

それは、作中の描写でグロいシーンが多々あることです。

そもそも惨殺死体がたくさん出てくる上に、連続して殺人が起こります。

猟奇的な殺人シーンは人によっては嫌だなと感じることでしょう。

こうした描写が苦手な人は避けた方が良いですね。

若干の中だるみもある

また、真相に向かうまでの過程でちょっと中だるみしてしまうシーンもあります。

必要なのかな?と思ってしまう様子がいくつか続くので、少し読むのが大変でした…。

ただ、その先には二重、三重のどんでん返しが用意されていました。

「そういうことだったのか!」で終わることなく、驚きの事実が幾重にも明らかになります。

怒涛の伏線回収が行われる後半は息つく暇もありません。

更に、ラストの1行でまたしても度肝を抜かれます。

こんな展開は誰も予想しないだろうなと…。

とてつもないどんでん返しと衝撃のラストを思う存分に堪能してください。