森博嗣『夢・出逢い・魔性』を紹介します。Vシリーズの4作目。
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【感想】Vシリーズ3作目!密室で起こった見立て殺人(森博嗣『月と幽咽のデバイス』)TV局で起きた密室殺人に紅子たちが挑みます。
20年前に死んだ恋人の夢に怯えていたN放送プロデューサが殺害された。犯行時響いた炸裂音は一つ、だが遺体には二つの弾痕。番組出演のためテレビ局にいた小鳥遊練無は、事件の核心に位置するアイドルの少女と行方不明に…。繊細な心の揺らぎと、瀬在丸紅子の論理的な推理が際立つ、Vシリーズ第4作。(「BOOKデータベース」より)
タイトルが3つの意味を持っている本作。『夢・出逢い・魔性』『You may die in my show』『夢で逢いましょう』。この名付け方が素晴らしいなといつも思います…。
Contents
ミステリとしての評価は…
トリプルミーニングがある本作。タイトルに沿った物語にもなっているので、先が気になる作品にはなっています。ただ、犯人については個人的には「うーん」という感じでした。
トリックは全く気付かず、確かに密室が完成するし、描写に合致するなとは思うのですが、前提が納得できていないので、素直に賞賛はできませんでした…。ただ、密室トリック自体は素晴らしいと思います。
事件以外の面白さも!
また、本作にはある仕掛けが施されています。トリックとは別のポイントに驚ける要素が隠れています。これはあまり語ると驚きが減るのでこの辺にしておきます。
何の違和感もないところから、話が浮かんでくるので面食らってしまうかもしれません。ただ、ある個所の解釈次第では、全く予想外ではない可能性もあるので注意してください。(実は私は後者で、種明かしされても驚けませんでした…)
練無が活躍する作品
キャラクターの個性が魅力のVシリーズ。本作では練無に焦点が当たっています。事件現場で出会った女子高生と練無とのやり取りや彼の少林寺拳法が炸裂する感じなど、カッコいい一面も垣間見れました。
個性豊かな分、こうした楽しみ方ができるのはシリーズの良い点ですね。
尚、なぜ練無なのか?も結構重要なヒントになっているので、その辺も踏まえて読んでいるとより楽しめるでしょう。
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【感想】Vシリーズ5作目!飛行機内で起こった密室殺人(森博嗣『魔剣天翔』)