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【2024年最新版】歴代本屋大賞のおすすめ20選!必読の名作小説をピックアップ

本屋大賞歴代

全国の書店員が「今一番売りたい本」を選ぶ・本屋大賞。その名の通り、本屋さんが選ぶ文学賞となっています。2023年が20回目の開催となります。

今回は、本屋大賞のノミネート作品の中からおすすめの紹介と、大賞作品の一覧を紹介します。

本屋大賞とは?

本屋大賞は、書店員が選ぶ賞として、2004年からスタートしました。一般の文学賞とは異なり、作家や文学者が選考に入ることはない。その名の通り、本屋が選ぶ本の大賞です。

対象となる作品は、開催年の前々年12月1日~前年11月30日までに出版された書籍です。たとえば、第1回の本屋大賞では、2002年12月1日~2003年11月30日までの期間で出版された作品が対象となっています。

まず、全国の書店員が「今一番売りたい本」を選ぶ一次投票が実施されます。一次投票では、それぞれの書店員が「今一番売りたい本」を3冊選んで投票します。期間は12月上旬~1月上旬。その後、一次投票の結果として、毎年1月にノミネート10作品が発表されます。

続いてノミネート作品のランキングを決める二次投票が実施されます。二次投票ではノミネート作品をすべて読んだ書店員が、全作品に感想コメントを書いた上でベスト3を投票します。

投票の得点換算は1位が3点、2位が2点、3位が1.5点。この集計結果をもと、毎年4月に大賞とランキングが発表されます。

おすすめ作品20選

本屋大賞の説明が終わったところで、これまでのノミネート作品の中からおすすめ作品を20冊厳選しました。完全に好みが入ってますが、本選びの参考にしてください。

1.小川洋子『博士の愛した数式』(第1回の大賞受賞作)

「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。(「BOOK」データベースより)

第1回の本屋大賞受賞作品。これはおすすめに入れざるを得ませんでした。

主人公の私と、その息子・ルートと、数学を愛する博士との交流を描いた物語。博士は事故の後遺症で記憶が80分しかもちません。しかし、数学の美しさを通じてルートと仲良くなっていきます。

読後には清々しい気分になれる、愛と感動の一冊。また、数学のネタを調べたくなるような物語です。

2.伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』(第1回の3位)

引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた。彼の標的は―たった一冊の広辞苑!?そんなおかしな話に乗る気などなかったのに、なぜか僕は決行の夜、モデルガンを手に書店の裏口に立ってしまったのだ!注目の気鋭が放つ清冽な傑作。第25回吉川英治文学新人賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

ひょんなことから本屋を襲って広辞苑を盗むことになった大学生を描く現在。猫殺しの犯人を捜して捕まえようとする女性の物語を描く2年前。2つの時間軸で進んでいく物語。

まったく関係のなさそうな2つの時間軸での話が、少しずつリンクしていき、最後には一本に繋がる。

伏線回収が素晴らしいことはもちろんのこと、伊坂作品ならではの魅力的なキャラクターとテンポの良さも特徴的です。

3.恩田陸『夜のピクニック』(第2回の大賞受賞作)

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。(「BOOK」データベースより)

夜通し歩くという高校のイベントを舞台にした物語。謎が少しずつ解決しては、また新しい謎が現れる。ミステリ要素がありつつも、青春小説の良さが盛りだくさん。

「まだ読み終わりたくない」「もっとみんなとこの世界を楽しみたい」

読了間近にはこのような感想を抱いた、ほぼ唯一の作品と言っても過言ではありません。最高な一冊でした。

4.東野圭吾『容疑者Xの献身』(第3回の4位)

天才数学者でありながら不遇な日日を送っていた高校教師の石神は、一人娘と暮らす隣人の靖子に秘かな想いを寄せていた。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、二人を救うため完全犯罪を企てる。だが皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことになる。ガリレオシリーズ初の長篇、直木賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

映画にもなっているガリレオシリーズの名作。天才数学者の石神が仕掛けたトリックを、天才物理学者の湯川は解けるのか。

ミステリとしてのレベルの高さはもちろんなんですが、人間ドラマとしても最高な作品。

トリックをここまで物語とリンクさせたのが素晴らしいです。。ラストの展開には心に刺さるものがあります。

5.角田光代『八日目の蝉』(第5回の6位)

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

産まれたばかりの赤ん坊を攫った女性。彼女は母として少女を育てるが…。親子とは何か。

完全に感情移入はできないですが、それぞれのキャラクターの気持ちはわかる。

だからこそツライというのが本作の醍醐味でしょう。誘拐犯であるはずの希和子ですら、魅力的に見えてしまう不思議があります。

6.湊かなえ『告白』(第6回の大賞受賞作)

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作。(「BOOK」データベースより)

イヤミスで有名な湊かなえさんのデビュー作。

娘を殺された教師の復讐を描いていますが、さまざまな語り手が登場して、それぞれの視点で物語は進んでいく。事件はどのようにして起きたのか。

とにかくラストが衝撃的です。まだこの衝撃を味っていない人が羨ましいです。

7.原田マハ『楽園のカンヴァス』(第10回の3位)

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに篭めた想いとは―。山本周五郎賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

ルソーの名作に似た絵画。これは本物なのか、それとも偽物なのか。二人の有識者は真贋判定をすることになる。

絵画を巡る謎はもちろん面白いですが、ルソーやその周囲の画家についても知れて、美術に関する知識も増えます。読み終えた直後には美術館に行ってみたくなる。そんな絵画ミステリです。

8.米澤穂信『満願』(第12回の7位)

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、全六篇を収録。史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞。(「BOOK」データベースより)

6つのミステリ短編集。人が抱えている闇を「これでもか!」というほど丁寧に描いていました。ミステリ三冠の通り、謎解きが素晴らしい。

どの作品でも、読者が気になる謎が用意されており、どれも最後にはすべてが明らかにされる形でスッキリします。そこにいたるまでの過程が人間の醜さも含めて鮮やかに描かれている。

9.村田沙耶香『コンビニ人間』(第14回の9位)

「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

第155回の芥川賞を受賞した作品です。コンビニで働いている時だけ、自分は世界にいられるということを実感する女性の物語。

200ページ程度の短い小説なのですが、格言や気付きなど多く、普通とは何か?を考えさせられました。異質な世界観のはずなのに、気付いたら作品に没入している。

自分は普通の生活をしているのか。それは誰から見た時の普通なのか。読後は振り返らされることが多かったです。

10.今村昌弘『屍人荘の殺人』(第15回の3位)

神紅大学ミステリ愛好会の葉村譲と明智恭介は、曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、同じ大学の探偵少女、剣崎比留子とペンション紫湛荘を訪れる。しかし想像だにしなかった事態に見舞われ、一同は籠城を余儀なくされた。緊張と混乱の夜が明け、部員の一人が密室で惨殺死体となって発見される。それは連続殺人の幕開けだった!奇想と謎解きの驚異の融合。衝撃のデビュー作!(「BOOK」データベースより)

夏合宿に参加していた主人公たち一行は、予想もつかないあることが起きて、宿泊所がクローズドサークルになってしまう。新感覚の本格ミステリです。

その状況を用いた謎解きがとにかく鮮やかで、論理的な推理がとても素晴らしい一冊。

11.辻村深月『かがみの孤城』(第15回の大賞受賞作)

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこには“こころ”を含め、似た境遇の7人が集められていた。なぜこの7人が、なぜこの場所に――すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。

不登校の中学生・こころの鏡の世界に現れた美しい孤城。そこには7人の同年代がいた。そこで鍵探しをすることになるが…。

ファンタジーミステリとしての伏線回収が秀逸。それだけではなくメッセージ性もあり、読後には心が温まる作品。前を向こうと思える。自分は一人じゃないと思える。

ツラい時には読み返したくなるそんな優しい物語です。

12.瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』(第16回の大賞受賞作)

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき―。(「BOOK」データベースより)

苗字が4回も変わった優子。親が何回も変わるというのは、傍から見ると可哀想な境遇と思われるかもしれない。しかし、彼女は幸せだった。

親からの愛情をたくさん受けて育った優子と、バトンを受け継いでいった親たちの絆を描いた物語。感動するという表現では足りない。心を動かしてくれる素晴らしさがあります。

13.相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(第17回の6位)

死者が視える霊媒・城塚翡翠と、推理作家・香月史郎。心霊と論理を組み合わせ真実を導き出す二人は、世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かう。証拠を残さない連続殺人鬼に辿り着けるのはもはや翡翠の持つ超常の力だけ。だがその魔手は彼女へと迫り――。ミステリランキング5冠、最驚かつ最叫の傑作!

霊視をもとに推理を組み立てていくという新感覚のミステリ小説。“すべてが伏線”という謳い文句の通り、伏線だらけでした。

途中まではオチがわかりやすいなと思いながら読んでいましたが、ラストで一気に話が変わる。予想をしていなかった角度から、とんでもない衝撃があなたを襲います。

14.小川糸『ライオンのおやつ』(第17回の2位)

人生の最後に食べたいおやつは何ですか――若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。――食べて、生きて、この世から旅立つ。すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。

人生の終わりを安らかに迎えたい人たちが集まる、瀬戸内の島にあるホスピス。主人公の雫は30代前半にして余命宣告を受けてしまい、ここへやってきた。

ホスピスでは、入居者のリクエストで「おやつ」をリクエストできる。この、おやつを通じて描かれる人間ドラマが美しい。あなたは最後に何を食べますか。自分の人生についても考えてみたくなる物語。

15.青山美智子『お探し物は図書室まで』(第18回の2位)

「お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?」仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。自分が本当に「探している物」に気がつき、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。

仕事の悩みや人生の葛藤をキレイに描いた5つの短編集。どの話も読んでいて前向きになれる。主人公たちに共感できて、悩みから脱却するまでの過程には勇気をもらえると思います。

人生にモヤモヤを感じている。このままでは不安と思っている人。自分の仕事は大したことないと思っている人。そんな人たちには是非読んでもらいたい作品です。

16.浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』(第19回の5位)

成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が内定に相応しい者を議論する中、六通の封筒が発見される。そこには六人それぞれの「罪」が告発されていた。犯人は誰か、究極の心理戦スタート。

人気企業の最終選考。それは話し合いによって内定者を1名決めるというもの。議論は平行線を辿っていたが、その途中ある事件が起きる。就活生の六人の「罪」が何者かによって告発されたのだ。

もちろん、犯人は自分の「罪」も告発している。なぜ就職活動の最中にそんなことをしたのか?

伏線の狙撃手・浅倉秋成さんを世に知らしめた一冊。そこかしこに仕掛けられた伏線がとにかく素晴らしい作品です。最後まで気が抜けないのでご注意ください。

17.朝井リョウ『正欲』(第19回の4位)

息子が不登校になった検事・啓喜。初めての恋に気づいた女子大生・八重子。ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月。ある人物の事故死をきっかけに、それぞれの人生が重なり合う。しかしその繋がりは、”多様性を尊重する時代”にとって、ひどく不都合なものだった――。

読む前と読んだ後でまったく印象が変わるプロローグ。さすがは朝井リョウさんという設定です。

多様性についてを考えさせられる一冊。自分の思い描いている世界は、多様性を尊重できているのだろうか。おそらくできていない、というよりも、自分の想像力のなさに気付かされます。

マイノリティーの尊重は簡単なことではない。この当たり前の価値観をド直球にぶつけてくる一冊でした。

18.知念実希人『硝子の塔の殺人』(第19回の8位)

雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。
ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。この館で次々と惨劇が起こる。

硝子の塔という変わった場所で起こる殺人事件。しかも、登場人物の職業は医師、刑事、ミステリ作家、編集者など、いわゆるクローズドサークルミステリに出てくるものばかり。

ミステリファンが思わずクスっとするようなセリフやシチュエーションがあり楽しめます。そして、最後に待ち構えているどんでん返し。新・新本格ミステリと言えるような、極上のミステリ小説でした。

19.凪良ゆう『汝、星のごとく』(第20回の大賞受賞作)

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

島で育った2人の男女。彼らは周囲の人間のせいで重荷を背負って生きていかないといけない状態だった。各年代での2人の様子を、心情描写からとても丁寧に描いた物語です。

明るい物語ではないけれど、イヤな読後感が残るわけでもない。むしろ心地よささえ感じられる締まり方ですらありました。ただ、嫌ではないけど心が詰まる。そんな不思議な物語でした。

20.夕木春央『方舟』(第20回の7位)

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

地下施設に閉じ込められた9人の男女。脱出するには1人が生贄にならなければならない。そんな状況下で、なぜか殺人事件が起こる。

自分が犯人だと知られたら、間違いなく生贄にさせられること。そんな状況で、なぜ人を殺そうなど思ったのか。

ミステリとしての面白さはありつつも、途中まではそこまでスゴイとは感じませんでした。しかし、本当の最後に衝撃的な展開がやってきます。読後は放心状態からしばらく抜けませんでした。

歴代大賞作品を紹介

最後に歴代の本屋大賞の受賞作品の一覧をあらすじとともに紹介します!

第20回(2023年)凪良ゆう『汝、星のごとく』

風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。

第19回(2022年)逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』

独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。

第18回(2021年)町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』

「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。

第17回(2020年)凪良ゆう『流浪の月』

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたい――。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。

第16回(2019年)瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない“父”と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき―。(「BOOK」データベースより)

第15回(2018年)辻村深月『かがみの孤城』

学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこには“こころ”を含め、似た境遇の7人が集められていた。なぜこの7人が、なぜこの場所に――すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。

第14回(2017年)恩田陸『蜜蜂と遠雷』

近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。その火蓋が切られた。(「BOOK」データベースより)

第13回(2016年)宮下奈都『羊と鋼の森』

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。ひたすら音と向き合い、人と向き合う外村。個性豊かな先輩たちや双子の姉妹に囲まれながら、調律の森へと深く分け入っていく―。一人の青年が成長する姿を温かく静謐な筆致で描いた感動作。(「BOOK」データベースより)

第12回(2015年)上橋菜穂子『鹿の王』

強大な帝国・東乎瑠から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!?たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かう。壮大な冒険が、いまはじまる―!(「BOOK」データベースより)

第11回(2014年)和田竜『村上海賊の娘』

時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊―。瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景だった。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く―。本屋大賞、吉川英治文学新人賞ダブル受賞!木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編。 (「BOOK」データベースより)

第10回(2013年)百田尚樹『海賊と呼ばれた男』

一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。(「BOOK」データベースより)

第9回(2012年)三浦しをん『舟を編む』

出版社の営業部員・馬締光也は、言葉への鋭いセンスを買われ、辞書編集部に引き抜かれた。新しい辞書『大渡海』の完成に向け、彼と編集部の面々の長い長い旅が始まる。定年間近のベテラン編集者。日本語研究に人生を捧げる老学者。辞書作りに情熱を持ち始める同僚たち。そして馬締がついに出会った運命の女性。不器用な人々の思いが胸を打つ本屋大賞受賞作!(「BOOK」データベースより)

第8回(2011年)東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』

国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な『宝生グループ』のお嬢様。『風祭モータース』の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中だ。大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は“執事兼運転手”の影山。「お嬢様の目は節穴でございますか?」―暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。(「BOOK」データベースより)

第7回(2010年)冲方丁『天地明察』

徳川四代将軍家綱の治世、ある「プロジェクト」が立ちあがる。即ち、日本独自の暦を作り上げること。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ずれが生じ始めていた。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していた。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕開く―。日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた傑作時代小説。(「BOOK」データベースより)

第6回(2009年)湊かなえ『告白』

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作。(「BOOK」データベースより)

第5回(2008年)伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ?何が起こっているんだ?俺はやっていない―。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。(「BOOK」データベースより)

第4回(2007年)佐藤多佳子『一瞬の風になれ』

春野台高校陸上部、一年、神谷新二。スポーツ・テストで感じたあの疾走感…。ただ、走りたい。天才的なスプリンター、幼なじみの連と入ったこの部活。すげえ走りを俺にもいつか。デビュー戦はもうすぐだ。「おまえらが競うようになったら、ウチはすげえチームになるよ」。青春陸上小説、第一部、スタート。 (「BOOK」データベースより)

第3回(2006年)リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

オカン。ボクの一番大切な人。ボクのために自分の人生を生きた人―。四歳のときにオトンと別居、筑豊の小さな炭鉱町で、ボクとオカンは一緒に暮らした。やがてボクは上京し、東京でボロボロの日々。還暦を過ぎたオカンは、ひとりガンと闘っていた。「東京でまた一緒に住もうか?」。ボクが一番恐れていたことが、ぐるぐる近づいて来る―。大切な人との記憶、喪失の悲しみを綴った傑作。 (「BOOK」データベースより)

第2回(2005年)恩田陸『夜のピクニック』

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために―。学校生活の思い出や卒業後の夢などを語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。(「BOOK」データベースより)

第1回(2004年)小川洋子『博士の愛した数式』

「ぼくの記憶は80分しかもたない」博士の背広の袖には、そう書かれた古びたメモが留められていた―記憶力を失った博士にとって、私は常に“新しい”家政婦。博士は“初対面”の私に、靴のサイズや誕生日を尋ねた。数字が博士の言葉だった。やがて私の10歳の息子が加わり、ぎこちない日々は驚きと歓びに満ちたものに変わった。あまりに悲しく暖かい、奇跡の愛の物語。(「BOOK」データベースより)