『贖罪』『夜行観覧車』『リバース』など。様々な作品が映像化されている人気作家・湊かなえさん。
イヤミスと呼ばれる後味の悪い作品が多いのも特徴です。今回はそんな作者のデビュー作を紹介します。
湊かなえ『告白』です。
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!“特別収録”中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。(「BOOKデータベース」より)
松たか子さん主演で映画化もされている本作。最初から最後まで衝撃的な展開過ぎて、とんでもない小説でした…。
先生の「告白」から始まる
この作品は、自分の生徒に娘を殺された先生の語りから始まります。
自分の人生、そして娘が生まれた経緯など、初見ではよくわからない話が続いていきます。
「何の話をしているんだろうか?」という感じで物語が進んでいきますが、ご安心を。しっかりとすべてが繋がっていきます。
すべてが娘を殺したふたりの少年(少年Aと少年B)へのメッセージであるとともに、復讐だったのです。
告白を通じて描かれる教師の復讐劇が描かれている本作。かなり濃厚なのですが、これは最初の1章に過ぎません。
この話を起点に、事件に関連する人物視点で6つの章が収録されているのです!
様々な視点で描かれる物語
この小説は全部で6つの章で構成されています。
1章が先ほど紹介した先生の語り。2章がクラスメイトの女子。3章が少年Bの母の書記。4章は少年B。5章が少年A。
そして6章は…。これは読んでからのお楽しみで!
それぞれが何を考えているのか?
少し嫌な気分になることもありますが、物語の展開がキレイで文章が美しい。気づいたら作品の世界に引き込まれていますよ!
終わり方がとんでもない
この作品の一番の魅力は、なんといっても終わり方でしょう。6章に行き着くまでの過程で描かれる様々な人間ドラマ。
それらを通じて進んでいった物語。最後の最後にとんでもないものが待ち受けていました。
伏線回収やすさまじいどんでん返しがあったわけではありません。ただ、ラストの一行に込められたメッセージがえげつなかったです…。
最初から最後まで復讐というテーマをキレイに描き切った本作。ラストのイヤミス感を含めて、とても楽しめる物語でした!