森博嗣『朽ちる散る落ちる』を紹介します。Vシリーズの9作目。
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【感想】Vシリーズ8作目!懐かしの人物も再登場の一冊(森博嗣『捩れ屋敷の利鈍』)7作目で舞台となった土井超音波研究所。そこで見つかった死体の謎に迫る物語です。
土井超音波研究所の地下に隠された謎の施設。絶対に出入り不可能な地下密室で奇妙な状態の死体が発見された。一方、数学者・小田原の示唆により紅子は周防教授に会う。彼は、地球に帰還した有人衛星の乗組員全員が殺されていたと語った。空前の地下密室と前代未聞の宇宙密室の秘密を暴くVシリーズ第9作。(「BOOKデータベース」より)
タイトルや各章の名前が秀逸。それぞれに込められた意味があって、素晴らしい作品でした。今回もネタバレなしで紹介していきます。
7作目の続編ぽい立ち位置
本作は7作目の土井超音波研究所が舞台の物語。そこの地下で見つかった死体の謎を解いていくというストーリーです。正直7作目があまりハマっていなかったので、今作ものめり込むまではいきませんでした…。
所内に隠された秘密が事件に絡みあってくるのですが、複雑なのと若干アンフェアに感じてしまって…。ただ、密室トリックは結構練られていた良かったです!
動機からトリックまでミステリとしてというよりは、驚きがあって楽しめました。
タイトルと各章の意味
森博嗣作品と言えば、タイトルに複数の意味を持たせることでも知られています。S&Mシリーズ5作目の『封印再度』やVシリーズ4作目の『夢・出逢い・魔性』が特に素晴らしいですね。
『朽ちる散る落ちる』の意味も読み終えるとわかります。深みがあって良かった。何が朽ち、何が散って、何が落ちたのか。すべてが作中に書かれているので、こうした楽しみ方もできます。
また、各章のタイトルもその中で語られるストーリーを表現している。こうした趣向が森博嗣作品の魅力でもありますね。
次作でVシリーズも最後!
今回で9作目までが終了。ラストは『赤緑黒白』を残すのみとなりました。タイトルからして面白そうな雰囲気を感じているのですがはたして。
S&Mシリーズとは違って、キャラクターそれぞれの人間関係がどうなるのか?も描かれるのでしょうか。紅子、祖父江、林の三角関係などは個人的には気になっていますね。
次作のレビューはこちらからです。
【感想】Vシリーズの10作目!シリーズ最後に待ち受ける大きな謎(森博嗣『赤緑黒白』)