森博嗣『人形式モナリザ』を紹介します。Vシリーズの2作目。今回も衆人環視の中で密室殺人が起こります。犯人はどうやって犯行に及んだのか?
前作のレビューはこちら。
【感想】奇妙な共通性の意味とは?衆人環視で起きた密室殺人(森博嗣『黒猫の三角』)蓼科に建つ私設博物館「人形の館」に常設されたステージで衆人環視の中、「乙女文楽」演者が謎の死を遂げた。二年前に不可解な死に方をした悪魔崇拝者。その未亡人が語る「神の白い手」。美しい避暑地で起こった白昼夢のような事件に瀬在丸紅子と保呂草潤平ら阿漕荘の面々が対峙する。大人気Vシリーズ第2弾。
人形の館で起こる殺人
舞台は長野のペンション。人形の館と呼ばれる場所で事件は起こりました。
人を人形のように見立てた演劇の最中。操り人形役の岩崎麻里亜が何者かに盛られた毒によって、劇中に倒れてしまいます。更に、彼女を操っていた役の岩崎雅代が、何者かに刺殺されていました。
被害者に通じる道はエレベーターのみ。しかし、誰もそこを通る姿を目にしていなかった。衆人環視で起きた殺人。犯人はどのように凶行に及んだのか?
犯行方法を推理する作品
本作はどうやって殺人をしたのか?を考えるのがメインです。心理的な密室で起きた殺人事件。前作よりもヒントが散りばめられている感じがあり、推理はしやすいと思います。勘が良ければ早々に答えは想像できるかもしれません。
また、登場人物が多すぎるあまり、誰がだれだかわからなくなります。そのせいで「何となく犯人ぽい」というアプローチもできるかなと。個人的には推理自体は前作よりは好きでした!
事件以外にも楽しめる点あり!
本作は事件以外にも楽しめる点があります。数年前に亡くなった著名な彫刻家が残した「モナ・リザ」と呼ばれる作品はどこにあるのか?というものです。
答えがわかると、大したことはないのですが、全く気付けませんでした。言われてみればめっちゃ単純なところにあったのに、盲点でした。また、事件に関しては最後の最後である重大なことが明らかにされます。読後には「え?どういうこと?」となりました。(登場人物が多いからというもありますが笑)
事件を解決して終わりではない。最後まで人形にまつわる話が盛りだくさん。対比や描写が上手に感じました。最後まで気を抜かずに読んでほしいなと思います!
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【感想】Vシリーズ3作目!密室で起こった見立て殺人(森博嗣『月と幽咽のデバイス』)