【感想】小説好きが絶対に騙される一冊（麻耶雄嵩『蛍』）

まずはあらすじについて。

オカルトスポット探険サークルの学生六人は京都山間部の黒いレンガ屋敷ファイアフライ館に肝試しに来た。

ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所だ。

そして半年前、一人の女子メンバーが未逮捕の殺人鬼ジョージに惨殺されている。

そんな中での四日間の合宿。ふざけ合う仲間たち。

嵐の山荘での第一の殺人は、すぐに起こった。（「BOOK」データベースより）

設定はありきたり。中身は奇抜。

オカルト研究会に所属する大学生6人が、夏合宿で山間地にある屋敷へ向かいます。

そこでは10年前に殺人事件が起きており、肝試しが行われることになっていました。

最初こそふざけ合っていたメンバーでしたが、10年前の事件をなぞるような殺人が起きて……。

あらすじを読めばわかると思いますが、舞台は本格ミステリにありがちなクローズドサークル。

もちろん、作品の大きな謎は“殺人事件の犯人は誰か？”です。

しかし、この作品の面白さはそこではありません。

犯人なんてどうでも良くなるどんでん返しが最後には待っています。

これは、小説に読み慣れている人ほど騙されやすいと思います。

作者はとんでもミステリの鬼才・麻耶雄嵩

見出しの異名は僕が勝手につけました。笑

ただ作者の麻耶雄嵩さんは、一筋縄ではない作品ばかりを書いています。

多くを語るとネタバレになりますが、「ミステリ小説としてはダメでしょ！」と思う内容をいくつか抜粋。

とにかくどこか奇抜な作品ばかり。

ルールを無視してまで、とんでもないオチを用意しているので、どの作品を読んでも驚かせてくれます。その分、好き嫌いもわかれやすいのですが…。笑

『貴族探偵』放送中のTwitterで見る麻耶雄嵩のすごさ

実は2017年に月9でドラマ化された『貴族探偵』も麻耶雄嵩さんが原作です。

最後に放映中のTwitterを紹介して、書評を終わりたいと思います。（後半は麻耶雄嵩の紹介になってしまいましたが。笑）

■放送前

まだ #貴族探偵 の原作を読んでないみんなたちー！来週の「こうもり」は先に原作読んどこうぜ。きっと神改変が来るから読んでた方がきっと面白いし、絶対に原作通りにはならないので大丈夫だよ。え、それでもネタバレが怖い？ 心配するな、「こうもり」は一回読んだくらいじゃワケわかんないから！

— 大矢博子 (@ohyeah1101) June 5, 2017

今日放送の「こうもり」は原作を読んどいた方が良いと見たので、この土日で『貴族探偵』を読了。「こうもり」は映像化不可能と聞いていて、読みながら、うん？なんで？一人二役すれば映像化できるやん…と思ってたら、最後2行で、ぶっ飛んだ。なんだこれ。 #貴族探偵

— Nivea (@niveassnow) June 11, 2017

■放送後

このドラマの感想ツイで良く見かける「神改変」という言葉、これは「原作を上手に改変する」という意味ではなく、「原作をまるっと変えてるのに原作そのもの」という意味だったことがよくわかる回だった。ぜんぜん違う、原作とはぜんぜん違うのに、それなのに、これ「こうもり」だよ…。 #貴族探偵

— 大矢博子 (@ohyeah1101) June 12, 2017

私達がこうもりは凄いぞ映像化不可能だぞ先に読んでどうやるのか楽しみにしてくれってアピールしてた全てがドラマへの伏線になるの凄くない？私トリックに使われたの初めて #貴族探偵

— 阿澄@通販固定 (@2_vr) June 12, 2017

リアルタイムで見てましたが本当にすごすぎました。

一応、今回は『蛍』の書評なので最後にこちらの口コミも。笑

麻耶雄嵩「蛍」
鴉でも思ったんだけど物語を読んでいると思ったらいつのまにか摩耶先生の仕掛けた物語装置の中に私も組み込まれていた感がすげーのよ。あのね、冒頭の人物紹介ズルイよ！！そしてラストの1ページで「ファッ！？」と白目むきました。

— yue (@yue161803) April 16, 2018

麻耶雄嵩の『貴族探偵』の「こうもり」及び『貴族探偵対女探偵』の「幣もとりあへず」を読んで仕掛けに震えたみなさん、未読であれば次は『蛍』を強く強く強くオススメします。長編ですが、最後まで読めば必ずや雷に打たれ悶絶することをお約束します。 #貴族探偵 #麻耶雄嵩

— 回転プリンくん (@hitosara90yen) June 6, 2017

ぜひ味わったことのない衝撃を体感してください！