綾辻行人『Another エピソードS』を紹介します。『Another』のサイドストーリーとして描かれている物語です。同時期の物語なので榊原と鳴がちょうど“呪い”の収束を目指していた時の話ですね。
『Another』で語られている“呪い”を調べる途中の話ではありますが、話の核心は触れられていないので、ネタバレにはなっていないかなと思います。
【感想】謎に次ぐ謎の連続!#アナザーなら死んでたって何?(綾辻行人『Another』)聞かせてあげようか。あなたの知らなかった、この夏のお話。異能の美少女・見崎鳴は語りはじめる。1998年、夏休み。かつて夜見山北中学の三年三組で“現象”を経験した青年に会うため、“湖畔の屋敷”を訪れた時のことを。鳴が遭遇したのは、三ヵ月前に謎の死を遂げた青年の幽霊、だった。行方の分からない自分の死体を探す幽霊と鳴の、謎めいた冒険の結末は―!?名作学園ホラー『Another』、驚愕の続編!!
『Another』でもそうでしたが、本作にもとんでもないどんでん返しが待っていました。最初から最後まで上手いように欺かれていたことに、ラストで気付かされました…。
見崎鳴が出会った青年の幽霊
夜見山北中学の三年三組で起こる現象を解決するために、見崎は賢木という人物に会いに行きます。それは、かつて自分たちと同じ現象を経験した、元生徒でした。しかし、彼は今年の春に死んでおり、鳴は賢木の幽霊に出会うのです。
現象についての情報を手に入れたい鳴でしたが、賢木は「行方不明になっている自分の死体を探してほしい」と頼まれます。鳴は賢木の幽霊と一緒に死体探しを始めます。
消えた死体の真相とは?
賢木は自分が死んだ前後の記憶を失っており、気が付いたらこのようになっていたというのです。死の前後にどのようなことが起きていたのか?死体はどこに消えてしまったのか?この謎を解決しようと鳴は賢木と行動をともにします。
『Another』もそうなのですが、設定がかなり巧妙ですよね。幽霊と一緒に死体を探すという本作。この超常現象の中で進んでいくミステリが本作の醍醐味です。
見事などんでん返し
もちろん最後にはすべての謎が明らかになっていきます。賢木の死の前後には一体何が起きていたのか?誰が何のために死体を消し去ったのか?
提示されていた謎が明らかになるのはもちろんなんですが、そこだけで終わらないのが本作のスゴイところ。「そこも伏線だったの?」というポイントがいくつも存在します。最後には予想していなかった展開になり、どんでん返しを存分に味わえました…。
ただ、『Another』のサイドストーリーという期待値の高さが影響してしまい、驚き度は少なめでした。単体で見れば相当な作品なのですが、元のストーリーのラストがスゴイので、期待が高くなってしまいましたね…。
読む順番ですが、伏線が効いてる『Another』を読んでからがオススメです!
【感想】謎に次ぐ謎の連続!#アナザーなら死んでたって何?(綾辻行人『Another』)尚、本作&『Another』から3年後を描いた『Another 2001』のレビューはこちらです。
【感想】死者はわかってる?その上で展開される不穏なミステリ(綾辻行人『Another 2001』)