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【感想】描かれなかった映画のラストとは?(米澤穂信『愚者のエンドロール』)

以前、初心者におすすめの小説として紹介した1冊。『氷菓』。

【感想】小説初心者でも楽しめる傑作(米澤穂信『氷菓』)

テンポが良く、日常の小さな謎を解決する物語展開は、普段小説を読まない人にも受け入れらることでしょう。実はこのシリーズは古典部シリーズと言われており、アニメ化もされた人気作品です!

そこで今回は『氷菓』の続編を紹介します。

米澤穂信『愚者のエンドロール』です。

「折木さん、わたしとても気になります」文化祭に出展するクラス製作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか?その方法は?だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した!さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリの傑作。(「BOOK」データベースより)

終わりのない物語の最後とは?

時は文化祭前。女帝と呼ばれる2年生・入須に招待され、クラス展示用の映画の試写会に行くことになった奉太郎たち古典部。

内容はミステリー映画だった。

文化祭の出し物のために廃村の取材をすることにしたあるクラス。

実地調査のために廃村に向かった6人の男女だったが、休憩していた廃屋のある部屋で少年が腕を切り落とされて死んでいたのだった。

状況的に部屋は密室。

犯人は誰、でどのように殺人をしたのか?

しかし、映画では結末が語られなかった。少年が死んでいるシーンで物語が終わってしまったのである。話を聞くと、脚本を担当した本郷が体調不良でこの先を書けなくなってしまったそう。そのため、未完の物語になってしまったのだ。

このままでは、文化祭に出展できない。入須は奉太郎に、この物語の「探偵役」を依頼するために映画を見せたのだった。

探偵ではなくオブザーバーで推理をしていく

探偵役は拒否した奉太郎。そこで入須は、「探偵役」を名乗り出た3人の推理が正しいか?をチェックしてほしいと依頼する。

観察者(オブザーバー)として、2年F組の3人の生徒の推理を聞くことになった。物理トリック、心理トリック、そもそも根底を覆すトリックなどなど。

推理を推理で論破するテイスト

本作は長編作品になっています。“映画のラストは一体何なのか?”という大きな謎を解き明かすストーリーです。前作は、氷菓の謎を解く過程で、様々な日常の謎が起こっていました。

今回は、「探偵役」推理したラストが正しいかどうか?を奉太郎が考えます。奉太郎が推理の穴を論理的に指摘するシーンは読んでいて面白かったです。そして、最後には奉太郎がラストを考えます。

奉太郎が推理した映画のラストとは?

相変わらず伏線回収が素晴らしい

もちろん「映画のラストとは?」が大きな作品の肝ですが、それ以上に大きなどんでん返しも用意されています。映画のラストは明らかになる真実の序章に過ぎなかったのです。

前作同様、軽い心地よいテンポで描かれる物語ですので、とても読みやすい。その上、衝撃的なラストやどんでん返しが用意されています。小説をなかなか読まない人でもハマるはず。

気になった人はぜひ手に取ってみてくださいね!

古典部シリーズの他の作品は以下でまとめています!

【古典部シリーズ】米澤穂信『氷菓』の読む順番と全作の感想