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【感想】マカロンが増えたのはなぜ?小市民シリーズ最新作!4つの日常の謎(米澤穂信『巴里マカロンの謎』)

日常の謎を扱った、米澤穂信さんの小市民シリーズ。小鳩常悟朗と小佐内ゆきは、小市民に憧れる高校生。穏やかな暮らしをするために、互いを利用し合う互恵関係にあります。

しかし、彼らはなぜか事件に巻き込まれてしまう…。そんな物語はこれまでに3作品が刊行されています。

【感想】小市民を目指す2人の高校生!日常の謎を解く!(米澤穂信『春季限定イチゴタルト事件』) 【感想】小市民第2弾!前作よりもパワーアップした日常の謎(米澤穂信『夏季限定トロピカルパフェ事件』) 【感想】連続放火犯の目的は?小市民シリーズ第三弾!(米澤穂信『秋季限定栗きんとん事件』)

春夏秋と来ていたので、今回は冬かなと思っていましたが、別の切り口での作品が最新作となりました。

『巴里マカロンの謎』は1年生の秋以降を舞台にした4つの短編が収録されています。

 「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店に行ってマカロンを食べます」その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか?小鳩君は早速思考を巡らし始める…心穏やかで無害で易きに流れる小市民を目指す、あのふたりが帰ってきました!(「BOOKデータベース」より)

4つの日常の謎に小市民を目指す二人が挑みます!

巴里マカロンの謎

新しくできたスイーツ店を訪れた二人。小佐内さんのお目当ては店舗限定のマカロンでした。3つのマカロンと紅茶のセットを注文したはずでした。しかし、一瞬、目を離した隙にマカロンは4つに増えていた。誰が何のためにこんなことをしたのか?

マカロンが増えるという珍現象を解き明かそうとする物語。

  • どうやってお皿に追加したのか?
  • 犯人は何のために小佐内さんのお皿にマカロンを置いたのか?

ハウダニットとワイダニットが謎になっています。消去法のように繰り広げられる二人の推理は相変わらずお見事でした。短編なのに伏線もしっかり張られているので流石です!(最後は小市民ってこんなにダークだったっけ?となりましたが笑)

紐育チーズケーキの謎

中学校の文化祭を訪れた小鳩くんと小佐内さん。あることがきっかけで小佐内さんがその学校の生徒に拉致されてしまいます。生徒たちが探していたものを、小佐内さんがどこかに隠したようなのですが…。

文化祭で起こった事件。ちょっとしたことがきっかけで、小佐内さんは悪ガキ生徒が探していたものをどこかに隠してしまいます。小佐内さんを助けるために、小鳩くんは隠し場所を推理します。

本作は、なぜ小佐内さんは隠したのか?どこに隠したのか?

この2つが謎になっていました。「巴里マカロンの謎」と比べると謎は弱いかなと感じました。(少なくともどこは何となく検討がついてしまう)

ただ、なぜ隠したのか?の本当の意味まで行き着くと楽しくなってきますね。笑

伯林あげぱんの謎

新聞部は、新しく記事を書くために、ロシアンルーレットのように、マスタードを入れたあげぱんを食べる企画を行った。4人で1つずつ食べたにも関わらず、誰もマスタード入りは食べてないと言い張る。様々な可能性から、小鳩くんは真相にアプローチしていきますが…。

個人的には一番好きな物語です。マスタード入りを食べた犯人は誰か?を探るために、様々な角度から推理が行われます。

  • そもそもマスタード入りは存在したのか?
  • 食べたけど我慢できるレベルだったのか?
  • 食べたけど気付かないことはあり得るのか?

1つずつ可能性を潰した結果辿り着いた結論は、スッキリしていて良かったです。ただ、犯人が誰か?はすぐにわかります。犯人を解明するまでの過程を楽しむ作品と思ってください!

花府シュークリームの謎

以前、仲良くなった中学生の秋桜から小佐内さんに電話が。参加していないはずのパーティーに行っていたことにされ、謹慎処分を受けたというものだった。なぜ濡れ衣が発生したのか?

飲酒があったパーティーへの参加を疑われた秋桜。なぜそんなことが起きてしまったのか?小鳩くんと小佐内さんはその理由と濡れ衣を着せた犯人を捜し始めます。

意外なラストはありませんでしたが、推理は相変わらずキレイなので、スラスラと読み進められます。また、最後のほっこりするラストは結構良いなと思いました。(小市民はダーク過ぎないくらいがいいなと笑)