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【感想】不思議で奇妙でゾッとする12の短編集(今邑彩『よもつひらさか』)

過去にも何冊か紹介をしている、不気味な物語集。世にも奇妙な物語のような短編集で好きな人も多いのではありませんか?

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幽霊的・超自然的な怖さもあれば、人間の怖さもある。不思議で奇妙、そしてゾッとする物語です。今回はその中でも、タイトルからしてホラー小説という作品を紹介します。

今邑彩『よもつひらさか』です。12の短編が収録されています。

現世から冥界へ下っていく道を、古事記では“黄泉比良坂”と呼ぶ―。なだらかな坂を行く私に、登山姿の青年が声をかけてきた。ちょうど立ちくらみをおぼえた私は、青年の差し出すなまぬるい水を飲み干し…。一人でこの坂を歩いていると、死者に会うことがあるという不気味な言い伝えを描く表題作ほか、戦慄と恐怖の異世界を繊細に紡ぎ出す全12篇のホラー短編集。(「BOOKデータベース」より)

今回はその中でも好きな3作品を紹介します。

ささやく鏡

未来を映す不思議な鏡を手にしたわたし。そこに映る自分は、未来に必ず起こることだった。ある日、そこにはペンダントに喜ぶ姿が。どうやら彼氏からの贈り物のようなのだが…。

不思議な鏡を通じて起こる不思議な物語。未来を映す自分の姿をワクワクしながら体現する“わたし”でしたが、それはあまりにも危険なことでした。

伏線回収はもちろんですが、最後の最後のオチまで含めて素晴らしい作品でしたね。

家に着くまで

タクシーに乗った“私”は運転手とつい最近起こった殺人事件について会話することになった。推理を展開する運転手だったが、どうやら自分を疑っているようで…。

有名芸能人の殺人事件に関する推理合戦が行われる本作。運転手と“私”で犯人が誰かを考えていくのですが、そのストーリー展開はお見事。

後半には何となく予想がつくオチがあるのですが、そこに行き着くまでの伏線は素晴らしかったです。ゾッとするの意味合いが他の作品とはちょっと違いましたね。

よもつひらさか

一人で坂を歩いていると死者に会うと呼ばれる“黄泉比良坂”。そこで死者からもらったものを口にすると道連れにされてしまうという言い伝えがあった…。

黄泉比良坂を歩いていた私はそこである青年に会った。彼はこの坂に伝わる不思議な言い伝えを教えてくれた。そして、自分の身に起きた不思議な現象についても…。

個人的には一番好きなお話。そんなところから伏線があったのかい!となりました。笑

怖いなと思わせる表現や展開が上手でどんどん引きこまれます。怖い話好きには特にオススメ!