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【感想】新感覚のユーモアミステリ!ロボットが巻き起こす事件の数々(辻堂ゆめ『お騒がせロボット営業部!』)

独自の設定から展開されるミステリ小説を発表している辻堂ゆめさん。

デビュー作では、人気シンガーソングライターの自分を誰も認識してくれない&死んだことになっている世界が舞台でした。

【感想】驚愕のラスト!自分が認識されない理由とは?(辻堂ゆめ『いなくなった私へ』)

今回紹介する小説は、人型ロボットが様々な事件を巻き起こすミステリです。

ユーモアに溢れているどこか新しいミステリ小説になっています。

辻堂ゆめ『お騒がせロボット営業部!』です。

社運をかけて開発された身長80センチの人型ロボット・パティ。外見はダサく、実用性も低いのに、ある日取引先から「パティが事件を起こした」と衝撃の連絡が。

「パティにそんな能力はない!」と絶対の自信(?)を持つお世話係の朝香、ロボットオタクのイケメン怜央は、真相に迫れるのか―文庫オリジナルの軽快ユーモアミステリー!(「BOOK」データベースより)

メインの登場人物は以下の2人。

パティの営業をしている2年目の女性・外崎朝香。

パティが犯人ではないと考えている、パティ大好きの開発者・内藤怜央。本作では探偵役のポジションです。

パティの周りで起きた、4つの事件が収録されている本作。

失踪したり、車を傷つけたり、詐欺に加担したり、挙句の果てには殺人をした容疑までかけられてしまいます。

低性能なパティが犯罪に関与できるわけがないと言う朝香たち。

事件の真相はいかに?

パティ、失踪する

パティの病院でのトライアルが決まった。

総合受付のような高度なことはできないので、子供の相手が主な役割だった。

トライアルを始めて数日後。パティが失踪してしまったという連絡が入る。

それほどの力もなければ、できるほどの知能もないはず。

パティはどこに消えてしまったのか?

ライトな語り口で進んでいく本作。

事件は起こるのですが、かなり軽いトーンで展開されます。笑

事件の結末については、なるほどと思えるものでした。

謎解きパズルのような答えで、結構面白かったです。

ポンコツなはずなのに、パティが愛くるしくなるお話でした。笑

パティ、外車をダメにする

セレリータ・ジャパンという外車の販売会社でのトライアルが決まったパティ。

支店の多い会社なので、うまくいけば複数台の導入がされるかも。

ウキウキ気分の朝香でしたが、トラブルが起こります。

お客さんの車をパティが傷つけてしまったのです。

パティにそんなことできるはずないと考える朝香たちですが…。

こちらもパティの設定をうまく活用したミステリです。

パティに実装された新機能、人の認識機能が重要なカギを握っていました。

1作目同様、謎解きパズルのようなミステリです。

パティ、詐欺に加担する

珍しくパティを導入してくれているすばる銀行。

ATMの案内役にも活用しようと考えていました。

そんなある日、再び事件が。

パティが振り込め詐欺に加担したというのです。

パティの言う通りにしたらお金をだまし取られたという老婆。

そんな高度な会話できるはずない。

一体何が起こっていたのだろうか?

前2作で展開を読んでいると何となくオチは読めてしまいました。

ただ、ネタバラシのシーンは結構面白かったです。

実際に起こったやりとりの再現シーンは愉快でした。笑

パティ、殺人する

プロローグで語られていた殺人事件についてのお話。

大手外食産業チェーン、ハッピーソルトでのトライアルが決まったパティ。

受注してもらえれば、かなりの大口顧客になる。

ウキウキ気分の朝香でしたが、事態はとんでもない方向へ。

何とパティが、ハッピーソルトの社員、藤谷を刺してしまったのです。

パティにそんなことができるわけないと信じて疑わないロボット営業部でしたが…。

1番好きなお話でした。殺人トリックがしっかりしています。

久しぶりにちゃんとしたミステリを小説で読んだ気がします。

何となく『探偵学園Q』とかに出てきそうだなと思いました。笑

まとめ

作品全体を通してはかなりライトに進んでいく本作。

『いなくなった私へ』ではなく『片想い探偵 追掛日菜子』に似たテイストの物語です。

【感想】ストーカー女子高生が難事件に挑む!(辻堂ゆめ『片想い探偵 追掛日菜子』)

小説に慣れて人でもすんなり読み進められるなと感じました。

これから先もドタバタが続きそうなロボット営業部の様子で終わる本作。

次回作もあったらまた読んでみようと思います!