どんでん返しのある小説として名高い一冊を紹介します。
折原一『倒錯のロンド』です。
精魂こめて執筆し、受賞まちがいなしと自負した推理小説新人賞応募作が盗まれた。
―その“原作者”と“盗作者”の、緊迫の駆け引き。
巧妙極まりない仕掛けとリフレインする謎が解き明かされたときの衝撃の真相。
鬼才島田荘司氏が「驚嘆すべき傑作」と賞替する、本格推理の新鋭による力作長編推理。(「BOOK」データベースより)
ちょっとした遊び心の多い本作。
どんでん返しは一級品で、読んでいて混乱がたくさんの小説です。笑
盗作された小説の行方は?
五年もの間、小説賞に応募を続けている山本安雄。
毎年受賞を逃しているものの今年は一味違った。
自信を持ったプロットで挑むのであった。タイトルは『幻の女』。
友人の城戸に原稿を見せると、その内容の素晴らしさを称賛されます。
喜ぶ山本でしたが、手書き原稿は汚いと指摘され、城戸にワープロでの清書を依頼します。
応募まで城戸がしてくれることになりました。
小説賞発表の当日。受賞作には『幻の女』の文字が。
しかし、作者が自分ではなかった。
白鳥翔という別人が受賞していたのである。
というのも、城戸はちょっとした手違いで原稿を無くしてしまいました。
その原稿を拾ったのが永島一郎。彼が白鳥翔名義で原稿を送ったのでした。
交錯する2人の物語
山本安雄と永島一郎の2人が主に描かれている本作。
『幻の女』を盗作したとされる白鳥翔を探す山本。
本当の作者である山本を殺そうとする永島。
2人の思惑が交錯し、物語は進んでいきます。
しかし、一筋縄で進む物語ではありませんでした。
巧妙に仕掛けられたトリック。
最後に明かされる、大きなどんでん返しはとても素晴らしかったです。
また、緊迫した人間ドラマで描かれる本作は、リズムも良いのでとても読みやすいです。
原作者と盗作者との駆け引き。その背景にあるとてつもない真実。
「え?」となるわけのわからない真相。
そして、後半に用意されている作者からのちょっとしたお遊び。