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【森博嗣】Vシリーズの読む順番は?全10作のあらすじと一緒に紹介!

森博嗣さんのVシリーズの読む順番について紹介します。本作は『すべてがFになる』から始まるS&Mシリーズの続編です。全10冊から成るシリーズもの。前のシリーズと同じように密室ミステリが多いのも特徴です。

Vシリーズの由来は主人公の瀬在丸紅子のイニシャルから取られています。今回は全作品のあらすじと読む順番を書いてみました。

Vシリーズとは?

本シリーズの主な登場人物は4名。瀬在丸紅子、保呂草順平、小鳥遊練無、香具山紫子です。

旧家の令嬢だった紅子ですが、瀬在丸家が落ちぶれてしまったことで、現在は市が管理する無言亭という小屋が住居。10代の頃に出産した息子と執事の3人で細々と暮らしています。

保呂草は私立探偵を営んでおり、練無と紫子は大学生。紅子を除く3人は阿漕荘というアパートに住んでいます。

そんな彼らの日常に舞い込む不穏な事件の数々。それを探偵役の紅子が解決していくという物語です。(また、この4人に加えて警察サイドの林や祖父江といったキャラクターもいい味を出しています)

前シリーズのようにキャラクターには魅力があり、掛け合いが病みつきになってしまいました。ずっとこの世界を堪能したい気持ちになっていきます。もちろん謎解きや驚きも用意されており、ミステリとしても楽しめるシリーズです。

また、タイトルの意味が秀逸な点も過去作同様。森博嗣ワールドが全開の物語集です。それでは、Vシリーズを読む順番に紹介してきます。

1作目:『黒猫の三角』

一年に一度決まったルールの元で起こる殺人。今年のターゲットなのか、六月六日、四十四歳になる小田原静江に脅迫めいた手紙が届いた。探偵・保呂草は依頼を受け「阿漕荘」に住む面々と桜鳴六画邸を監視するが、衆人環視の密室で静江は殺されてしまう。森博嗣の新境地を拓くVシリーズ第一作、待望の文庫化。(「BOOKデータベース」より)

まだ前作とのリンクは少ないので、どちらかというとシリーズの説明的位置付けにもなっている作品です。

衆人環視の中で起こる殺人事件。心理的密室がキレイに描かれていました。ただ、犯人の検討はつきやすいと思います。ミステリに慣れていると何となくトリックを予想できてしまうからです。

ただそこまで思い至っても「まさかそんなことある?」というネタなので、切り捨ててしまうかもしれません。最後まで読み切るとうまい仕掛けがあったことがわかる。一作目からの壮大な仕掛けをぜひ堪能してみてください。

【感想】奇妙な共通性の意味とは?衆人環視で起きた密室殺人(森博嗣『黒猫の三角』)

2作目:『人形式モナリザ』

蓼科に建つ私設博物館「人形の館」に常設されたステージで衆人環視の中、「乙女文楽」演者が謎の死を遂げた。二年前に不可解な死に方をした悪魔崇拝者。その未亡人が語る「神の白い手」。美しい避暑地で起こった白昼夢のような事件に瀬在丸紅子と保呂草潤平ら阿漕荘の面々が対峙する。大人気Vシリーズ第2弾。

こちらも前作と同じように衆人環視下で行われた密室殺人。劇の最中にどのように凶行に及んだのかを解いていくストーリーです。

今回も犯人やトリックは何となく検討がつきやすいかもしれません。ただ、そこだけで評価できる物語ではありません。本作には事件以外の箇所に驚きが用意されています。

事件後に明かされていく数々の真実。最後の最後まで読者を飽かすことなく進んでいく、ラストでとんでもない展開が待ち構えている。人間ドラマも含めて素晴らしい作品でした。

【感想】Vシリーズの2作目!人形劇で起きた心理的密室の謎(森博嗣『人形式モナリザ』)

3作目:『月と幽咽のデバイス』

薔薇屋敷あるいは月夜邸と呼ばれるその屋敷には、オオカミ男が出るという奇妙な噂があった。瀬在丸紅子たちが出席したパーティの最中、衣服も引き裂かれた凄惨な死体が、オーディオ・ルームで発見された。現場は内側から施錠された密室で、床一面に血が飛散していた。紅子が看破した事件の意外な真相とは。(「BOOKデータベース」より)

オオカミ男が出ると噂される屋敷で起きた殺人事件。密室となった現場では獣に襲われたかのように凄惨な状態で死体は発見されたのでした。見立て殺人の真相を解き明かしていく物語です。

これはトリックを見破るのは至難の技ではないでしょうか。こんな突飛な発想はなかなかできませんね。その分、紅子の解決シーンは読んでいてスッキリするものがありました。

また、本作では最後までちょっとした謎を残して終わってしまう部分があります。過去作の『笑わない数学者』に似た終わり方で、個人的には好きな作品です。ここまで読むと、Vシリーズの魅力に気づいてくると思います。

【感想】Vシリーズ3作目!密室で起こった見立て殺人(森博嗣『月と幽咽のデバイス』)

4作目:『夢・出逢い・魔性』

20年前に死んだ恋人の夢に怯えていたN放送プロデューサが殺害された。犯行時響いた炸裂音は一つ、だが遺体には二つの弾痕。番組出演のためテレビ局にいた小鳥遊練無は、事件の核心に位置するアイドルの少女と行方不明に…。繊細な心の揺らぎと、瀬在丸紅子の論理的な推理が際立つ、Vシリーズ第4作。(「BOOKデータベース」より)

クイズ番組の収録中に起きた殺人事件。銃声は1つだったのに遺体には2つの弾痕が残っていた。奇妙な遺体が示す事件の真相とは?

犯人の独白と保呂草たちの同行が交互に描かれていく本作。事件のトリックもさることながら、練無の活躍が描かれている点も見所です。

また、タイトルがトリプルミーニングになっているのが個人的には好きでした。『夢・出逢い・魔性』と「夢で会いましょう」と「You may die in my show(続けて読むと夢で会いましょうに聞こえる)」。こうした言葉遊びがあるのも、森作品の魅力ですね。

【感想】Vシリーズ4作目!トリプルミーニングのミステリ(森博嗣『夢・出逢い・魔性』)

5作目:『魔剣天翔』

アクロバット飛行中の二人乗り航空機。高空に浮ぶその完全密室で起こった殺人。エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣をめぐって、会場を訪れた保呂草と無料招待券につられた阿漕荘の面々は不可思議な事件に巻き込まれてしまう。悲劇の宝剣と最高難度の密室トリックの謎を瀬在丸紅子が鮮やかに触き明かす。(「BOOKデータベース」より)

アクロバット飛行の機内で起こった殺人事件。殺害されたパイロットはどう考えてもありえない角度から銃弾を受けていた。そして、同じ日の夜に再び惨劇が起こる。

トリックの謎解きがとてもキレイな作品でした。片方の事件の真相がわかればすべての謎が解けるようになっています。予想外過ぎる展開だったので、かなり楽しめました。

また、徐々にキャラクターが増えてきてシリーズの色もわかってきます。ここまで読めば、あなたもきっとVシリーズの魅力に気づいてハマってしまっているはず。

魔剣天翔【感想】Vシリーズ5作目!飛行機内で起こった密室殺人(森博嗣『魔剣天翔』)

6作目:『恋恋蓮歩の演習』

世界一周中の豪華客船ヒミコ号に持ち込まれた天才画家・関根朔太の自画像を巡る陰謀。仕事のためその客船に乗り込んだ保呂草と紫子、無賃乗船した紅子と練無は、完全密室たる航海中の船内で男性客の奇妙な消失事件に遭遇する。交錯する謎、ロマンティックな罠、スリリングに深まるVシリーズ長編第6作。(「BOOKデータベース」より)

Vシリーズで1番好きな作品です。本作はあまり前知識をいれずに読んで欲しいなと思います。

豪華客船に乗り込んだ保呂草と紫子。密室の部屋から忽然と男性客が消えてしまいます。彼はどこに行ってしまったのか? それとも殺されたのか?

本作は男性客が航海中の客船から消えてしまったというのが大きな謎になっています。死体がないが事件が起きたかもというレベルで一見すると謎が弱いように感じます。実際、本筋は男女の恋物語でした。

しかし、ご安心ください。ミステリ好きでも楽しめる。というかミステリ好きにはたまらない作品になってしまいます。

恋恋蓮歩の演習【感想】Vシリーズ6作目!消えた男性の謎と驚きの真実(森博嗣『恋恋蓮歩の演習』)

7作目:『六人の超音波科学者』

土井超音波研究所、山中深くに位置し橋によってのみ外界と接する、隔絶された場所。所内で開かれたパーティに紅子と阿漕荘の面々が出席中、死体が発見される。爆破予告を警察に送った何者かは橋を爆破、現場は完全な陸の孤島と化す。真相究明に乗り出す紅子の怜悧な論理。美しいロジック溢れる推理長編。(「BOOKデータベース」より)

外部から遮断された研究所で起こる殺人事件。『すべてがFになる』を彷彿させる設定でした。本作も謎がすべて明かされる際の爽快感は顕在です。

研究所内の設定がかなり凝っていて、そこをうまく活用したトリック。そして、謎解きまでの流れ。相変わらず読み応え十分な一冊でした。

シリーズの主要キャラクターもたくさん出てきて、それぞれに活躍しているのも見所かもしれません。

六人の超音波科学者【感想】Vシリーズ7作目!首無し死体と研究所の謎(森博嗣『六人の超音波科学者』)

8作目:『捩れ屋敷の利鈍』

エンジェル・マヌーヴァと呼ばれる宝剣が眠る“メビウスの帯”構造の巨大なオブジェの捩れ屋敷。密室状態の建物内部で死体が発見され、宝剣も消えた。そして発見される第二の死体。屋敷に招待されていた保呂草潤平と西之園萌絵が、事件の真相に至る。S&MシリーズとVシリーズがリンクする密室ミステリィ。(「BOOKデータベース」より)

今作も密室殺人をテーマにしています。舞台は捩れ屋敷という、これまた変わった設定の場所でした。この装置を用いたトリックは相変わらず素晴らしかったです。

そして、本作の1番の注目ポイントは西之園萌絵が出てくるという点でしょう。ここでVシリーズとS&Mシリーズが繋がりました。保呂草と萌絵の掛け合いがあることがなんだか嬉しかったです。(萌絵の敵対心がすごいですが笑)

シリーズを読み進めた人へのご褒美的な一冊。ここから読み始めるのはオススメできません。というかそれだとあまり面白くないと思います。読み進めたら真の素晴らしさに気付ける作品です。

捩れ屋敷の利鈍【感想】Vシリーズ8作目!懐かしの人物も再登場の一冊(森博嗣『捩れ屋敷の利鈍』)

9作目:『朽ちる散る落ちる』

土井超音波研究所の地下に隠された謎の施設。絶対に出入り不可能な地下密室で奇妙な状態の死体が発見された。一方、数学者・小田原の示唆により紅子は周防教授に会う。彼は、地球に帰還した有人衛星の乗組員全員が殺されていたと語った。空前の地下密室と前代未聞の宇宙密室の秘密を暴くVシリーズ第9作。(「BOOKデータベース」より)

7作目の続編というような位置付けの作品。研究所の地下で見つかった何者かの死体。一体誰なのか。

所内に隠された秘密が事件に絡みあってくるのですが、複雑なのと若干アンフェアに感じてしまって…。ただ、密室トリックは結構練られていた良かったです! 動機からトリックまでミステリとしてというよりは、驚きがあって楽しめました。

何が朽ち、何が散って、何が落ちたのか。読み終わった時にはこれらが意味していたことがわかってくるはずです。

朽ちる散る落ちる【感想】Vシリーズ9作目!密室で見つかった死体は誰?(森博嗣『朽ちる散る落ちる』)

10作目:『赤緑黒白』

鮮やかな赤に塗装された死体が、深夜マンションの駐車場で発見された。死んでいた男は、赤井。彼の恋人だったという女性が「犯人が誰かは、わかっている。それを証明して欲しい」と保呂草に依頼する。そして発生した第二の事件では、死者は緑色に塗られていた。シリーズ完結編にして、新たなる始動を告げる傑作。(「BOOKデータベース」より)

赤と名前がつく人の死体が赤く塗装されて発見される。次は、緑と名のつく人の死体が緑色の状態で見つかる。色を用いた奇妙な連続殺人が発生します。

見立て殺人に隠された事件の真相。予想を覆されて最高でした。「簡単じゃん!」と思っていたのですが、そんな単純ではありませんでした笑。

さらにシリーズを通じてのどんでん返しがここで明らかになります。まったく想像していなかったので、ここには度肝を抜かれました。「そういうことだったのか!」となってしまうこと間違いなし。ちょっとアンフェアかもですが。

また、シリーズの最後にふさわしく次のシリーズを彷彿とさせるラストが待ち構えています。『四季』シリーズへの流れも美しくて、素晴らしい締め方に感じました。

赤緑黒白【感想】Vシリーズの10作目!シリーズ最後に待ち受ける大きな謎(森博嗣『赤緑黒白』)

読み終わったら四季シリーズへ!

Vシリーズはこの10作品で終わりますが、次は四季シリーズに繋がります。『すべてがFになる』に出てきた真賀田四季が主人公の物語です。

このシリーズにもS&MシリーズやVシリーズとの繋がりがあって、素敵な作品でした。春夏秋冬の全4冊。ミステリ色はあまり強くはないかもしれませんが、シリーズを好きな人なら読んで損はないはずです。