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【厳選】降田天のおすすめ小説5選!伏線回収が美しすぎるミステリ作家

降田天_おすすめ

第13回『このミステリーがすごい!』大賞で大賞を受賞した降田天さん。映画化もした日本テレビ系列のドラマ「ネメシス」で第5話の原作(脚本)を担当していました。

プロット担当の萩野瑛さんと執筆担当の鮎川颯さんの2人体制で作品を作っているコンビ作家さんです。

このミス大賞の受賞作家ということもあり、どのミステリでも最後に驚きを用意してくれている降田天さん。とにかく伏線回収が素晴らしいものばかりです!

もっとたくさんの方に魅力を知ってほしいので、今回は特に面白かった5つの小説を紹介します。私個人の独断と偏見でランキングにしました。完全に好みの問題なのでご了承ください。

5位『偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理』

老老詐欺グループを仕切っていた光代は、メンバーに金を持ち逃げされたうえ、『黙っていてほしければ、一千万円を用意しろ』と書かれた脅迫状を受け取る。要求額を用立てるために危険な橋を渡った帰り道、へらへらした警察官に声をかけられ――。第71回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した表題作「偽りの春」をはじめ、“落としの狩野”と呼ばれた元刑事の狩野雷太が5人の容疑者と対峙する、心を揺さぶるミステリ短編集。

犯人が誰なのかが最初からわかっているミステリ短編集が5つ収録されています。古畑任三郎やコロンボのようないわゆる倒叙ミステリです。

基本的には犯人視点で物語が進み、元刑事の狩野雷太が理詰めに推理を進めていき、最終的には犯人を追い詰めるという構図。

なんですが、先に挙げた倒叙ミステリとはひと味違った魅力もあるのが本作です。犯人や読者が知らなかった真実も明らかになるなど、+アルファの驚きも提供してくれます。

偽りの春【感想】チャラいお巡りさんが事件を解決!5つの倒叙ミステリ(降田天『偽りの春』)

4位『すみれ屋敷の罪人』

長らく手付かずだった戦前の名家・旧紫峰邸の敷地内から発見された白骨死体。そこで暮らしていた屋敷の主人と三人の姉妹たちは、終戦前に東京大空襲で亡くなったはずだったが…。死体は一体誰のものなのか。かつての女中や使用人たちが語る、一族の華やかな生活、忍び寄る軍靴の響き、突然起きた不穏な事件。二転三転する証言から、やがて戦下に埋もれた真実が明らかになっていく―。 (「BOOK」データベースより

戦前の名家から発見された白骨死体。誰のものだったのか?を調べていくという物語で、二章構成で進んでいきます。

最初の章は、ある男性が何者かに依頼されて、名家に関する証言を集める様子が描かれています。ただ、何が起きているのかよくわかりません。しかし、この章の最後にある事実が明らかになります。

そして、二章に入ってからはページをめくる手が止まりませんでした。読めば読むほどに明らかになっていく過去の出来事。美しくも儚いミステリです。

【感想】白骨死体は誰なのか?証言から推理するミステリ(降田天『すみれ屋敷の罪人』)

3位『朝と夕の犯罪』

別々の人生を歩み、10年ぶりに再会したアサヒとユウヒの兄弟。ふたりはある目的のため、狂言誘拐を実行に移す。その犯罪は成功したかに見えたが、思いもよらない結末を迎えることになった。それから8年後、神倉駅前交番の警察官・狩野雷太は、マンションの一室で衰弱した男児を保護する。男児の傍らには、餓死した妹の亡骸があった。神奈川県警捜査一課の烏丸靖子は兄妹の母親を取り調べるが、彼女がかつて誘拐事件に巻き込まれていたことがわかり、状況は一変する。悲劇的な事件の裏に横たわる、さらなる衝撃とは――。

5位で紹介した『偽りの春』の狩野雷太シリーズ。今回は長編となっています。

別々の人生を歩んでいたアサヒとユウヒの兄弟。ある日、偶然10年ぶりの再会をしたふたりは、狂言誘拐を実行します。成功に見えた狂言誘拐でしたがが、最後に予想外の出来事が起こってしまうのでした…。

ここまででも十分に面白いのですが、この作品はここから更に加速していきます。

狂言誘拐から8年後。交番勤務の狩野雷太は、通報を受けてあるマンションを訪れます。そこには、餓死した女児とかろうじて生きていた男児の姿がありました。そして、彼らの母親は狂言誘拐に関わったとされていたのでしたが…。

本作も、基本的には犯人視点で物語が進む倒叙ミステリです。しかし、先が全く読めなくて、最後にはどんでん返しを用意している。素晴らしい一冊でした。

朝と夕の犯罪【感想】倒叙ミステリなのに”何が起こっているのか”わからない(降田天『朝と夕の犯罪』)

2位『女王はかえらない』

小学三年生のぼくのクラスでは、マキが女王として君臨し、スクール・カーストの頂点に立っていた。しかし、東京からやってきた美しい転校生・エリカの出現で、教室内のパワーバランスは崩れ、クラスメイトたちを巻き込んだ激しい権力闘争が始まった。そして夏祭りの日、ぼくたちにとって忘れられないような事件が起こる―。伏線が張りめぐらされた、少女たちの残酷で切ない学園ミステリー。(「BOOK」データベースより)

小学校でのスクールカーストを題材にしたミステリで、第一章「子どもたち」、第二章「教師」、第三相「真相」という3つの章で構成されている作品です。最初の章は小学生視点でクラス内の状況が描かれています。

マキという女子児童がクラスのトップに君臨しているクラス。しかし、エリカという転校生がやってきたことでクラスに徐々に変化が…。そして、夏祭りの日にとんでもない事件が起きてしまいます。

そして、事件後の教師の話を描く第二章。最後に、すべての真相が明らかになる第三章への物語は進みます。正直、途中でオチが読めたと思ったのですが何てことありませんでした。盛大に騙されました。

幾重にも張られていた伏線の数々が、ラストであなたを待ち受けています。安心して読み進めて騙されましょう。また、タイトルの意味もかなり秀逸でした…。

「そりゃ『このミステリーがすごい!』大賞を受賞するわ…」というくらいにレベルが高かったです。

女王はかえらない【感想】伏線が多すぎる!スクールカーストを舞台にしたミステリ(降田天『女王はかえらない』)

ちなみに、この時の『このミステリーがすごい!』大賞で優秀賞を受賞している辻堂ゆめさんもかなりおすすめの作家さんです。

【厳選】辻堂ゆめのおすすめ小説7選!ミステリ好きは読み逃し厳禁!

1位『彼女はもどらない』

雑誌編集者の楓は、娘の衣装を自作する人気ブロガーに批判的なコメントをしたことから、自身の過去のブログを匿名掲示板で晒され、陰湿なストーカー被害に遭うようになった。一方、寝たきりの妻を抱える官僚の棚島は、家庭や職場でのストレスを解消するため、ブログで執拗に絡んできた女を破滅に追い込もうとする―。ネット上の二人が現実で交叉したとき、驚天動地のどんでん返しが炸裂する。(「BOOK」データベースより)

物語の最初。裁判所で棚島は「楓を殺した」と告白している描写が描かれています。そして、そこに至るまでに何があったのか?棚島の二人の視点で進んでいきます。

OLの楓とパパブロガーの棚島。二人はネットでの書き込みをきっかけにお互いを攻撃するようになってしまいます。事件の背景は。そして、何が起きていたのか?

『女王はかえらない』と同様に何となく予想していたことの、遥か上を行くオチが待ち構えていました。どんでん返しは1つや2つではありません。

どんでん返し好きにはたまらないくらい、思い切りひっくり返されまくります。特に最初のどんでん返し。あまりにも意外過ぎて該当箇所を何度も読み返しました。

ミステリが好きなら読んで損はない。というか読まないと損な一冊です。

【感想】予想外過ぎ!どんでん返しが渋滞してる一冊(降田天『彼女はもどらない』)